謎の白い粉が出続ける家具を作ってしまった件。#クレーム発生

令和3年1月9日 曇り

豪雪お見舞い申し上げます。

最強寒波の影響で寒い週末となりました。信越や東北では何十年に一度と言われる豪雪に見舞われているようで、昔、信州に住んでいた時いくら除雪しても雪を除けた尻からドカドカと雪が降り積もり、朝起きて外に出ようとすると玄関が開かずに恐怖したことを思い出しました、今日は私たちの住む瀬戸内に面した温暖な気候の神戸でさえ、日中の気温が3度程度までしか上がらず、寒さが骨身にしみました。大雪に見舞われている方には心よりお見舞い申し上げます。

クレーム対応mtg

そんな寒さに震えた今朝もやっぱり早朝から起き出して工務スタッフとの1to1mtgをみっちりこなし、そのまま午前中は昨年末、造作家具を収めたお客様先で起こった面材の不具合のクレーム対応で材料メーカーとの協議の結果の報告と今後の善後策の提案をさせて頂きました。今まで長年使ってきた化粧面材が思わぬ商品特性を持っており、収納家具としての目的を達せるものでは無かったのは、完全に私たちの落ち度であり、材料に対する勉強不足で大変なご迷惑をおかけしてしまいましたが、担当したスタッフの真摯な態度をご評価いただき、前向きなご回答を頂けたのは本当によかったと胸を撫で下ろすと共に、理解ある顧客に恵まれていることを深く感謝した次第です。

謎の白い粉。

今回発生したクレームは、衣服の収納用の造作家具のご注文を頂き、多機能なオーダーメイドの収納家具の製作と取り付けをさせた頂いたお客様先で、家具の面材から白い粉が出続けるとの連絡を頂いたのがきっかけです。その材は建築面材のトップメーカーであるアイカ社の製品でBBボードと言われる耐摩耗性に優れた面材で、建具や腰板などにもよく使われている商品です。私としてはこれまで何十年もその材を使って来ており、そのようなクレームは初めての経験で、きっと製品不良だろうと思い、メーカーに問い合わせるように指示しました。しかし、アイカ社の担当者からの返事はその製品に不良などの問題があるのではなく、そもそもそのような商品です。との回答が返って来ました。これには私も随分と驚きました。

耐摩耗性が強すぎる面材。

実際に現場にアイカ社の担当者と一緒に出向きお客様への説明を聞かせてもらうと、このBBボード、非常に表面が強化されていて、10円玉で擦ると白い粉が表面に付着するのですが、それは面材ではなく10円玉の方が削れてピカピカになるのです。なので、指や衣服で擦れると摩擦で擦れた方の物体が削れてボードの表面に付着するとの事でした。BBボードが摩耗性に優れ、傷がつきにくいことは知っていましたが、ここまで強いというか、擦れた相手を削ってしまうとは知りませんでしたし、この事実を目の当たりにして私も随分と驚きました。お客様も同様に驚かれておられましたが、製品不良とかではなく、化学物質が出て来ていないことにとりあえずご安心頂けたようでした。

使えない家具。

BBボードの表面が強すぎて接触した相手を削って白い粉を出してしまうことは理解したのですが、今回の場合、引き出しの内面などにも全て同じ面材を使用しており、BBボード同士が擦れ合う部分にも多くの白い粉が発生しており、これでは、使い方云々以前に収納家具として使えないということで、全て引き上げて全て作り直すという判断をさせて頂きました。お客様には随分とご負担頂くことになり、収納されている中の衣類を全て出して頂いて年末に撤去させてもらいました。もちろん、設計の段階で面材の選定を行ったのはつむぎ建築舎の設計スタッフであり、全ての責任は私達にあるということで、当然ながら、撤去、作り直し、再設置にかかる費用は全て私どもで負担することになります。

家具に使えない家具面材。

ただ、長年使って来た材料が思わぬ特性を持っていたのを知らなかった不勉強、知識不足を悔いるのと同時に、面材同士が接触するような部位に使用する場合の注意喚起くらいはしておいて然るべきではないかとの疑問が湧いて来て、カタログや  HPを確認して見たところ、「耐摩耗化粧合板 マーレスボードという表記と「低価格でハイクオリティ。耐摩耗性、耐汚染性、耐薬品性、耐溶剤性に優れた高機能の化粧ボードです。」という説明書きがあり、webカタログで商品検索をしてみると、商品で選ぶ→家具・木工向け→化粧ボード→耐摩耗化粧合板となんの違和感もなく、商品選択に進んでしまう作りになっていました。昨日、アイカの担当者と支店長にお越し頂いてこの辺りの説明と、注意喚起の必要性を私の方から示唆しておきましたが、反映されるかどうかは今の時点ではなんとも言えません。

犯人探しではなく責任の所在。

また、私達が家具の内部にBBボードを選択した時点で使用に耐えないものになったと認めて全面的に仕様を変えて作り直す判断をした件についても、メーカー側に責任の所在は無いか?今回の件は全て私達の知識不足、勉強不足だけの問題として処理されるのかも問うておきましたが、まだ結論は出ておらず、まずはお客様に納得いただける状態になってから最終的な話し合いをして判断しようということになりました。とにかく、引き出しを出し入れする度に白い粉が出続ける収納など使い物にならないし、その責任の所在が誰にあるかなどはお客様には全く関係の無いことであり、出来るだけ速やかに注文通りの家具が使えるようにしなければなりません。ただ、使えない家具を作るような誰も喜ばない様な今回と同じような事が2度と起こらないようにすべきだと思いますし、実は表面に現れていないだけで、すでに全国各地で同じような問題が起こっている可能性も無きにしも非ず。お客様にご納得頂いた後に、その辺りもしっかりと煮詰めなければと思っています。

届きそうで届かない、近そうで遠いクレーム撲滅

私達株式会社四方継はこの新年から21期目をスタートさせました。創業からずっと私が目指し、言い続け、取り組んできたのはご縁を頂いたお客様に一生付き合ってもらえるくらいの圧倒的な顧客満足を提供する事、そしてその大前提としてのクレームゼロです。その為にこの20年間様々なことに取り組んできました。が、しかし、結果的に今回もまたお客様に多くのご負担をおかけする問題を発生させてしまいました。今回、お客様には担当しているスタッフに対して非常に好意的に接してくれて頂いてはおりますが、せっかく使えると思って衣服を収納した家具を撤去して、衣類を全て洗濯し直してまた収納し直す、本日もとても冷静に、建設的にお話いただきましたが、不便さと、そこに付帯する苛立ちや怒りは表面的に出されていなくてもきっとあると思います。私達はそのことを忘れることなく、不満を「良かった」に転換してもらうくらいの意識を持って真摯な対応を心掛けねばならないと思いました。クレーム完全撲滅、絶対にやらねばならない目標にもかかわらず、なかなか辿り着けません。。

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