弔辞。

3月7日 曇り

巨星墜つ

朝は霧島連山の噴火のニュースからスタート、今日から鹿児島での職人起業塾の第2講第三講のアクティブブレインセミナーのスタートで大丈夫なのかとびっくり。霧島の皆様、お見舞い申し上げます。

昼前に仙台、東京への巡業?から帰神。神戸に到着してそのまま一件蕎麦をすすりながらのMTGを済ませてから定休日で静まり返った事務所に出社、午後からの予定が明日に変更になったのを受けてしっぽりとデスクワークに勤しみました。事務所にいたら何故か不思議と普段は殆んど鳴る事がない電話がよくかかってくるもので、わさわさと電話の対応をしていると、JBN京阪神木造住宅協議会の事務局から突然の訃報がもたらされ、時を待たずして東京のJBN本部からも青木会長がお亡くなりになったとのFAXが舞い込みました。
工務店のあるべき姿を示し、時代の流れから乖離して廃れつつある工務店に対して業界団体としての結束を呼びかけ、国との橋渡しをしながら未来を標榜してきたJBN青木会長の訃報は一つの時代の終わりの示唆のように感じました。心からご冥福をお祈りいたします。

JBN青木会長講演

JBN青木会長講演

青木会長からの大いなる承認とエール

青木会長には2年前まで京阪神木造住宅協議会の総会に基調講演に毎年のようにお越しいただいておりました。私が推し進めてきた大工の正社員化、他業種に負けない社会保障をつけた上で単なる作業員ではない、経営者感覚を持って会社の代表として顧客の対応に向き合うようにマーケティング理論の根本を紐解いた教育を行うという建築業界では随分と珍しい取り組みに対して深い理解を示し、力強いエールを送ってくださりました。工務店業界のトップと言っても過言ではない方に手放しで承認を頂けて、私自身大きな自信を頂いてきましたし、その言葉を胸に職人の正規雇用、内製化を強く勧めてきた経緯もあります。そんなご恩を感じながら、青木会長との思い出を書き綴ってある昔のブログを読み返して思い出に浸ってしまいました。追悼の意味を込めて再度アーカイブを以下にご紹介しておきます。

2015年の総会の時の青木会長のお話→既に若年層の大工はいないも同然。
青木会長からの手紙を紹介しつつ研修講師をはじまた頃→職人起業塾からの提言 〜その1〜
2016年の青木会長と一緒に登壇させて頂いた総会→『強み』から『卓越の法則』へ。

大工社員化の挫折と蹉跌

青木会長とのやりとりの中で最も印象に残っているのは、上述の過去のブログにも書いてありましたが、青木工務店で大工を社員にした際にタイムカードの機械の前で大工が定時になるのを待って時間を潰しているのを見て「これはダメだ」と完全常用の大工の雇用形態を諦めたという話です。成果も仕事量も関係なく給料がもらえるようになった大工を雇っていては会社が潰れると思い、もう一度手間受け、請取り制に戻したと言われておりましたが、その考え方が今の職人不足に繋がったことも十分にご理解されており、その上で私たちの取り組みを評価して頂いたのは非常に真実味があり、嬉しく感じたのを今もよく覚えています。結局のところ、青木会長が当時諦められたのは職人の意識改革であり、技術面以外の教育の難しさだったと思います。主体性を持って仕事に向き合うとか、経営者感覚を持って現場作業に勤しむなんてことを職人に言葉だけではなく実際の行動に移してもらえるまで根気よく教え、理解してもらうのは一筋縄では行きません。しかし、そこを諦めると違う人員での補完が必要になる訳で、現場監督や施工管理者を育てる必要が出てきます。そのコストを鑑みても実際は職人の意識を変えるよりはその方がハードルが低かったのだと思います。

現場への経営者感覚の落とし込みは必須

実は、職人でも施工管理でも同じですがその部分の意識改革こそが建築業界の現場マネジメントでは最も重要だと思っていて、最近のオープンセミナーで私は改めてドラッカー博士のマネジメントからの引用を紹介するようにしています。以下はドラッカーの責任労働者・経営組織論からの抜粋です。

誰もが,自分を『経営者』とみなして,基本的には経営責任 である重責を全面的に引き受けるというような組織 をつくりあげて指導していく課題もあるのである。基本的な経営責任というのは,自分自身の職務や仕事仲間に対する責任,組織全体の業績と成果に対する自分自身の貢献に対する責任 ,職場社会の社会的な課題に対する責任 のことである

(勝手に)遺志を継ぐ。

あらゆる事業所の目的は理念の体現であり、それを私たち建築業界で具現化するには建築現場において担当者が経営者と同じ思考、意識を持って顧客に相対し、理念に沿った判断、行動を積み重ねる事が不可欠であり、またこの実践こそが顧客との確固たる信頼関係構築に必要だと考えた時、いかにハードルが高くても職人に対する意識改革の取り組みを諦めるわけにはいかないと思うのです。と、故青木会長を前にそんな青臭い原理原則論を熱く語った時のことを思い出します。今振り返ると冷や汗が出ますし、私の取り組みもまだまだ完全には程遠い道半ばですが、「そうだ、そうだ」と頷いて下さった青木会長の言葉を胸に勝手に遺志を継ぐつもりで理想を追い続け、これからもスタッフと共に試行錯誤を繰り返して歩みを続けたいと思います、青木会長、本当にお世話になりました。安らかにお眠りください。

合掌。

今日のアタリマエ

  • モノづくりの担い手の育成をしなければモノづくりは出来ない
  • 建築会社の評価は全て現場にある
  • 建築職人の徒弟制度が崩壊した今、工務店が若手の育成に取り組まなければ業界の未来は無い
  • 職人の正規雇用、育成にはコストがかかり、また言われたことしかやらないような意識の低い人材にはそのコストはかけれない
  • 建築現場で作業する末端の職人こそが最も重要で濃密な顧客接点になる
  • 現場担当者への経営者感覚、顧客からの信頼を得る責任を持つ意識づけこそが現場マネジメントの根本
  • 人は必ず死に至るが志を継ぐ者がいれば死は終わりではなく始まりになる

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