漏水調査と固定概念。

令和2年7月6日雨

またもや観測を史上最大の豪雨。

九州では熊本の球磨川流域を始めとして堤防の決壊や土砂崩れが相次いで起こっており、腹横筋を立って避難勧告が出されているとの事。今日は鹿児島でも50年に1度の記録的な降水量を記録しているらしく、神戸でも1日中激しい雨が降り続き、たかが雨と侮れない、少し恐怖を覚えるほどでした。環境破壊を繰り返してきた人間への罰として、天の怒りを買ったのか、大自然の摂理による気候変動なのか、よく分かりませんがとにかくこれ以上の被害が出ないことを祈るばかりです。

コロナ第二波到来?

1週間のスタートとなった月曜日の今日は午前中、店舗付き住宅の新築工事のファーストプランのプレゼンテーションに同席、昼からは新築保育園のご相談や、木製高級玄関ドアの再生のご相談、メンテナンスを請け負っているマンションの漏水調査など、土砂降りの雨の中、忙しく走り回る1日になりました。東京では連日、コロナの新規感染者が100名越えとなり、まるでコロナの第二波がやってきたかのような報道が繰り返されておりますが、神戸の片田舎ではすっかりコロナの影響を感じない平常時と同じになってきました。

雨が降ると忙しい。

台風や梅雨の季節、大雨が降ると必ず何件かの問い合わせや相談の連絡が入ります。私などは暴風雨や土砂降りになるとの天気予報を見ると、緊急対応で忙しくなると思う癖がすっかりついてしまっています。しかし、激しい雨が降りしきる最中に雨漏りの現場に足を運んだからといってできる事は極々限られており、気休め程度の応急処置しかできないことがほとんどですが、逆に雨が降っているときに足を運んでみなければわからないことも稀にあったりもします。今日の夕方に向かったマンションでは、何年も前から原因不明の漏水に悩まされておりましたが、このところ激しく雨が降った時に合わせて数回現地で状況を確認した結果、ようやくその原因を突き止めることができました。

答えは現場にあり!

その現場では数年前からごくたまに、強風を伴った豪雨の時にマンションの廊下部分に小さな水たまりが発生して、雨が上がった後に確認に行ってもその経路を特定することができないままでした。外壁や屋上周りの怪しい箇所をしらみつぶしに防水処理をしても、少し時間が経ってから思い出したようにその水たまりが発生し、頭を悩まされていました。つい先日、土砂降りの真っ只中に現地を確認に行ってもらったところ、天井ではなく壁についている分電盤の裏から水が出てきていることを突き止めて、今日、屋上の塔屋の壁にある防水コンセントの周りにかびや苔が発生しているのを確認してテレビアンテナのケーブル配管の(中ではなく!)外を伝って水が侵入しているという原因に漸く辿り着くことが出来ました。

固定観念の弊害。

原因だけわかってしまえば、処置は簡単ですし、何の事は無い単純な水漏れで、これまで何年も不思議な出来事があるんだと思っていたのが非常にばかばかしく感じました。それにしても、防水コンセントの周囲から電気配管の外を伝って雨水が侵入してくると言う事例はこれまでの長い経験の中でも一度もなかったことで、完全に防水コンセントは防水できているはずだと言う自分の固定観念に縛られておりました。反省するところ大ですし、自分自身を振り返ってみると固定観念に縛られて、物事の本質を見失っていることが自分では気づかないだけでひょっとしたらたくさんあるのではないかと心配になってしまいました。

経営理念など要らない。

先日、このブログで紹介したティールを超えると副題がついた「自然経営」と言う書籍の中に、私が長年、理想に掲げてきたスタッフが主体性と働き甲斐を持って個性を発揮しながら働く、有機的な組織を作り上げることの障壁の1つに経営理念があると書かれておりました。経営者の思い込みの塊である経営理念等、必要がない。と理念経営を学び続けて来た私にとっては斬新すぎる意見が書かれてありました。スタッフ個々に主体性を持ってもらうには、自分で考え、自分で判断し、自分で行動してもらう必要があり、経営者が「〜するべき。」と言う押し付けをした時点でそれをそいでしまうと言う理屈です。私にとっては経営の根幹を叩き壊されるような衝撃で、これも固定観念に縛られているだけなのかと自問自答を繰り返す事になりました。

〜べき論は悪か?

悶々とした気分であれこれと思索を繰り返した結果、私がたどりついた答えは、押し付けの〜べき論は排除すべきだと言うことで、スタッフに対して考え方や行動の選択についてこうすべきだと押し付ける事はやめようと思いました。しかし、同じ事業所で働く仲間の目的が揃わないまま、それぞれが好き勝手なことを行っていては事業は成り立たないのもまた事実で、目的に対する価値観は押し付けるのではなく、しっかりコンセンサスをとって共有しなければならないと思いますし、事業所として何のために事業を行っているのか?と言う問いに対する答え、方向性やあり方は「かくあるべき」としっかりした軸を持つべきだと思うのです。これもまだ固定観念に縛られているだけなのかもしれませんが、今後も柔軟な態度で学び続けることによってその検証を続けていきたいと思います。固定観念に気をつけて。


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1億総(ソフト)輩時代?!#逆転の世界に生きる

令和2年7月4日雨

ニュースタンダード。

今日の神戸は雨が降ったりやんだりのうっとうしい天気でした。昨日のブログで半夏雨に注意をしないと、と書きましたが、熊本の八代市では球磨川が何カ所も決壊し、またもや死人や多数に行方不明者が出る大きな被害とのこと。八代市と言えば堺建設さんと言う大工育成を熱心に行われている職人起業塾の参画企業があり、塾生が頑張っている土地でして、他人事とは思えずとても心配しています。それにしても、50年に1度の大雨が毎年日本列島を襲うのがごく当たり前になってきました。これも、今までとは全く違う世界に時代が変わった表れ、私たちは事実をまっすぐに受け止めて、そろそろ新しい常識を身に付けなければなりません。

逆転の世界。

コロナ禍をきっかけに世界が大きく変わったのは多くの人が感じられていると思いますが、私は以前の価値観がひっくり返ってすっかり逆転したと思っています。しかもそれは、コロナによる影響だけではなく、それ以前からも既に変わりつつあったと感じていて、インターネット、スマートフォン、SNSの普及と一般化、情報、IT革命の進行が最も大きな要因ではないかと思っています。誰もが簡単に、しかもすぐに世界に向けて情報の取得、そしてまるで自分のメディアを持っているかの如く配信をできるようになったのは、世の中の構造をがらりと変えたと思うのです。

弱者に食い殺される強者

最も顕著な例は、日本国の国政の長たる安倍首相がインターネット上では呼び捨てにされ罵詈雑言を浴びせられていることではないでしょうか?国の権威なんてあったもんじゃありません。弱いものが強くなり、自分を強いと驕るものこそ弱い立場に追いやられているのではないかと感じます。次々に不祥事で消えていく政治家、高級官僚、大学の理事長にカリスマアメフト監督と、弱者の逆襲に遭い、日の当たる場所から消え失せた人は枚挙にいとまがありません。昨年、映画化された「新聞記者」と言うノンフィクションノベルでは、朝日新聞の女性記者が書いた内閣官房長官を始めとする政府中枢への批判と告発が延々と綴られており、世間でも随分と話題になりました。どちらが正しいとかではなくて、それによってその記者がメディアの中で大きな発言が出来るポジションを得たと言うのは間違いのない事実です。

弱者が自粛警察に変わった

権威の逆転の構造自体は、私は別に悪いこととは思ってませんし、私たちのような中小零細企業の事業主にとってはどちらかと言うと歓迎すべき流れだと思っています。しかし、同時に弊害も多くある様に感じていて、自分の価値観に凝り固まった正義を振りかざし、自分勝手な主張を押し通そうとする風潮が世に蔓延っていないかと危惧しています。コロナ騒動の時の自粛警察は、自治体からの要請を断って夜8時以降に営業していた店に石を投げたり、道端でマスクをしていない人に罵詈雑言を浴びせたり、他府県ナンバーの車と言うだけで文句を言ったりと、別に法律で決まっている訳でも無い、個人的な判断に委ねられていることさえも、やもすれば暴力沙汰になってもおかしくない様なトラブルが各地で発生していたと聞きます。

金物屋さんからの迷惑料の請求事件。

ちなみに、私の身近でも最近おかしなことがありました。とある学校の現場に建築資材を注文し、メーカーから直送で送ってもらいました。なんのトラブルもなく到着予定日に無事に着いたのですが、後日、金物屋さんからさも困った感じの声で電話がかかってきて、相談があるとのことでした。内容を要約すると、「つむぎ建築舎の事務所から送られた発注書の現場住所が地番で、住所ではなかったので、運転手が送り状の電話番号に連絡を取ったら、現場担当は上棟工事中で電話に出られず、結局3時間待ちぼうけを食らったので、迷惑料を払え」とのことでした。私が調べてみると、確かに地番は1−2−3で、住所は1−11−2となっており、住所欄に地番を書いていた様で、確かに迷惑をかけたのは事実なので迷惑料を払えと言うなら払います。とお答えしました。

間違ったものが全て悪い。

金物屋さんは運送会社からその様な請求が来て随分困っていたようで、私に相談という形で電話してこられ、奇特なことに迷惑料の半分は私が払います、と言ってくれておりましたが、責任は全て私たちにあるので、それは結構です、私が全て払います。ときっぱりと断りました。しかし、その言葉を発した後で、なんだかしっくりこないというか、モヤモヤした感じがこみ上げてきて、金物屋さんに「責任は確かに私だが、運送屋のプロなら学校宛の荷物の住所の枝番が違うくらいで電話がつながるまでじっとしていたなんて考えられんし、今時小学生のガキでも機転を利かせてスマフォで検索して探すやろ、迷惑料を払う代わりにその運送屋の社長から直接私に電話をかけてもらってください」と依頼しました。私としては、そのトラック運転手が3時間もの長い間、何をしていたかが非常に重要だと思ったし、もし、3時間、同じ町内にある学校を探しもせずにじっとトラックの中で電話をかけ続けていたとしたら、運送会社の社長に、「あんたの教育は一体どうなってるんや?」と聞きたかったのです。

弱者ほど暴走しがち。

今回の、前代未聞の住所を書き間違えたから迷惑料を払えと言われた事件の最終的な顛末は、私が運送会社の代表者からの電話を待っていたのに結局掛かって来ず、代わりに金物屋さんから電話があって、「もういいです。とのことです。」の一言でおしまいでした。昔の私なら、吐いたツバ飲むんか!と食い下がって運送会社を突き止めているところですが(笑)、今回はそうですか、と何事もなかったことになったと、随分と困っていた事務所の担当に伝えました。後で考えると、運送会社は長い間、厳しい競争に晒され続けて、随分と疲弊していた業界で、昨今の人手不足を機に、ヤマト運輸が低価格で契約していたamazonとの取引を断ったり、他の運送会社も含めて人員不足を理由に値上げに踏み切った、弱者が強者に転換したことが背景にあるのでは無いか、なんて思いました。虐げられていた弱者程、力を持った時に暴走するのは歴史が教えてくれる世の常、今回のことを他山の石にして自分への戒めにしなければと思った次第です。気をつけましょう。(笑)


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半夏雨に思ふ。

令和2年7月3日 雨

半夏生に降る雨。

大人しくしていた梅雨前線がまたまた活発になってきたとかで、この週末は随分とまとまった雨になるそうです。半夏生の時に降る雨を半夏雨と呼ぶらしいですが、昔から田植えを終えて百姓が一休みできる頃、まとまった雨が続いて川の氾濫などが起こりやすい季節の雨で注意喚起の名前だそうです。ここ数年、夏から秋にかけて50年に1度とか、100年に1度の大雨や、生まれてこの方見た事がないほどひどい被害に見舞われる台風が毎年のように襲来しては大きな被害をもたらしています。避難所に逃げ込んだらコロナの感染が危惧される今、半夏雨があまりひどい雨にならないことを祈るばかりです。

工務店の使命。

二四節気の暦通りに降る雨に足並みを合わせた形のように、今日は朝から漏水関係の問い合わせや相談が事務所に相次いで入りました。私のiPhoneにも創業当時のずいぶん昔から仲良くさせていただいているお客様から電話が入り、私も緊急対応に出動したりしました。決して人様の困った顔を見るのが好きなわけではなく、人の不幸を喜んだりはしませんが、それでも豪雨や台風、地震などの自然災害に見舞われ度に私たち建築業界は否応なしに忙しくなります。因果な商売だと思うこともしばしばですが、今日のように緊急の水漏れで困っておられるお客様宅に行って、即日に問題を解決できた時は嬉しいものですし、それこそが地域に密着した建築会社の最も重要な使命ではないかなんて思います。

施工力こそが本質。

今日も改めて感じたのは、困り事の電話が入った際に、すぐに様子を見に行く事も大事ですが、そこで原因を解明したり応急処置を施していてこそ本当の価値があると思いました。被災現場を見に行ってえらいことですねと、同情したところで何にもならないですし、それから職人を手配しますと時間をかけてしまったら問い合わせから早い対応をしたところで大した意味はありません。現場に必要なのは施工力に基づいた経験と知識であり、実際に工事ができる力なのは誰しもが認めるところだと思います。地域の方が求めているのは、見に来てくれる人ではなく、直してくれる人なのです。

モノづくりの力。

先日のブログにも、建築会社、地域に根ざした工事店こそが時代の変化に押し流されることなく、長きにわたり事業を継続できやすい業態だと書きましたが、それは、地域に住む人のインフラやライフラインを支えている重要かつ不可欠な職種であるというのが非常に大きな要因です。自然災害等で多くの人が困ったときに、頼りになる存在であればこそ、その存在価値を発揮できるわけで、白いシャツを着てネクタイをしめた営業マンが束になっていても非常時には一切役に立ちません。本質的な価値を守り、多くの人に必要とされるようになるには、建築業はやはり、本質であるものづくりの力を蓄え磨くべきだと思います。

つくり手と住まい手の乖離。

しかし、本当に残念なことですが、現在の住宅業界は作り手と住まい手が直接つながって家を作ることが非常に少なくなっています。建売と言われる分譲住宅は、不動産販売に強みを持った会社が建てて、法律に従って10年保証が付加されていると建前上はなっていますが、現実は売りっぱなしでおしまいです。数少ない注文建築の分野では、大手ハウスメーカーと言われる広告宣伝と、営業力に長けた会社が大きなシェアを握っており、しかも、資本力があることを背景に安心をウリにしていたりします。神戸の震災の時もそうでしたが、被災者がハウスメーカーの営業マンに助けを求めても、屋根のブルーシート1枚かけられない、と嘆いていたのを今もよく覚えています。

顕在化し始めた圧倒的な職人不足。

大自然の大いなる力の前には私たち人間はあまりにも無力です。半夏雨も台風もただ黙って受け入れ、やり過ごすしかありませんが、そのリスクを回避するためには私たちのような作り手を育てる会社がもう少し増えていかなければなりません。朝の情報番組で大雨が降りそうな気配を前に昨年の台風で甚大な被害を被った千葉の被災地を取材していましたが、1年近く経った今も未だブルーシートをかぶったままの住宅が数多くあるとの事でした。圧倒的に減少を続ける職人、それを育てる会社が力を失った事により、被災地の復旧、復興が遅れており、これまで水面下で進行してきた職人不足が日本全国で顕在化し始めています。それを防ぐにはつくり手を育てる会社が販売力、その存在と価値の認知を広げる力を手に入れて、住宅販売会社やブローカーの様なハウスメーカー、ビルダーからシェアを取り戻すしかありません。

人材育成はマーケティングと表裏一体。

私が建築会社の経営を行いながら、古典的マーケティング理論を切り口にした研修や勉強会を主催し続けている理由はそこにあり、地域に根ざしたモノづくりの会社が自社の強みを磨き、それを広く知ってもらう力を身につけると同時に、建築会社の本質であるつくり手の人材育成を行える財務体質を整えてもらいたいとの想いを強く持っているからに他なりません。そして、先行投資でもある人材育成とマーケティングの構築は常に一体です。稼ぐ力を身につける事こそが地域を守る存在になれると考えています。そんな無料の勉強会を今月もオンライン併用で開催します。全国どこからでも気軽に参加して頂けますし、原理原則に則った商売の理論構築に向き合ってみる事で視野を広げ、視座を高めるきっかけを見出してもらえる様にしたいと思っています。お気軽にご参加ください。→第83回【元祖】職人起業塾改め「継塾」#無料オンライン開放


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コミニケーションツールとしての散髪。

令和2年7月2日晴れ

カリスマからの学び。

多くの刺激と気づきと学びをもらった津を後にして神戸に戻ってきました。午前中はいつも何かとお世話になっているカリスマ左官、淡路島の植田親方が神戸の観光名所、北野にある異人館の修復工事を建設当時の伝統的な工法で修復されているのをfbで見かけて、後学のために無理をお願いして現場を見学させて貰いに行きました。植田親方にはいつも伝統的な左官技術の素晴らしさと、本質を守りながら最新の技術を取り入れる柔軟さを、業界の第一人者である圧倒的な説得感でご教示いただいています。今回も、神戸を代表する伝統的な建築物を今ではすっかり使うことがなくなった昔ながらの技術で施工されているのを細かくご説明いただき、非常に勉強になりました。世界に誇る日本の技術が廃れない様に次世代の職人に受け継いでもらえる業界にしなければと改めて感じた次第です。

継ぐ使命。

昼からは、15年ほど前に新築工事をさせていただいたお客様宅に、メンテナンスのご連絡をいただいて伺いました。「お久しぶりでございます、お変わりなく何よりです。」とご挨拶をしながら、近況を伺うと、工事をさせてもらっていた当時、まだ小学生だった子供が立派な大人になっていたり、お孫さんがたくさんできていたりと、あっという間のように思っていた15年の年月の大きさを感じさせられました。何かあるたびにお声掛けいただき、長いお付き合いができるのは本当に建築屋冥利に尽きるもの。工事を終えた後のアフターフォローはお客様と私達との約束であり、私達が建てた家が次世代に引き継がれる事を考えれば、これからも安心して暮らしていただけるように、永遠に続く会社になるように頑張りたいと思いました。

コロナの思わぬ影響。

夕方、事務所に戻ってきてからしばしの時間を見つけて、近所の床屋さんに散髪に行きました。私は、短髪で髪の毛が伸びるのが目立ちやすい髪型なこともあり、10日に1度、月に3回程度散髪に行くようにしています。このところ、コロナの影響で散髪屋さんが営業自粛しておられていたり、緊急事態宣言明けと同時に改装工事で営業されていなかったりが続き、なかなか散髪に行くことができずに、近年まれに見る位髪の毛が伸びてしまいました。私を含めおっさん連中は大体皆さん同じだと思うのですが、行きつけの床屋さんに行くと「いつもの通りで良いですね?」と言われるがまま、ずっと同じ髪型になってしまいがちです。この度、期せずしていつになく髪の毛が伸びたのでこれを機会にイメージチェンジを図ってみようかと密かに考えておりました。

モデルはブレない男

床屋さんの椅子に座って、マスターに「いつものように」ではなく、何かイメージチェンジをしようと考えていると伝えたのですが、だからといって急に長髪になるわけでもなく、時間をかけてパーマをあてたりしたいわけでもなく、結局普段より少し長めに髪の毛を残しておく程度になってしまいます。どうしたものかと考えてふと頭に浮かんだのは、コロナの間にすっかりハマったNetflixで見た韓国ドラマ『梨泰院クラス』の主人公の短髪だけども特徴的なイガグリ頭です。多分、生まれて初めてだと思うのですが床屋さんで韓流スターの写真を見せて、「こんな感じでお願いします。」と恥ずかしげもなく頼んでみました。マスターは含み笑いをしながら、「髪質も違うし、セットしなければこんな風には、なりませんよ。」と前置きをして、それでも一応、圧倒的にぶれない男として人気を博している主人公のパクセロイに沿った感じで髪の毛を切ってくださいました。

ミーハーなオヤジ。

髪型が変わったくらい、見た目が少し変化したからといって別段、人としての中身が成長するわけはなく、あまり大した意味は無いと思っていたのですが、散髪を終えた後、ガラス窓に映った自分の姿を見てみると少し韓国風の仕上がりになっていて、信念を貫き、「人」と「信頼」を理念に掲げ、韓国経済界でのし上がっていった主人公の面影を自分の中にほんの少しですが見出してしまいました。(笑)  その後、同業の経営者さん達と食事に行ったのですが、その際に、ぶれない男と同じ髪型になった私は、(ミーハーで流行に弱い馬鹿なおっさんだと失笑を買いながらも)私もパクセロイと同じように信念に生きるんだ!的な軽口を叩き、すっかり悦に浸りました。

ノンバーバルコミュニケーションの重要性。

有名なメラビアンの法則の提唱者のアルバート・メラビアンによると、感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合で、ノンバーバルと言われる非言語のコミニケーションの方が大きな影響を与えるとの事でした。私は、2005年に出版され100万部を超えるベストセラーとなった竹内一郎氏の著書『人は見た目が9割』の様な偏った考え方が結構世の中に逆説的な常識としてはびこっているのでは?とずっと違和感を感じていまして、やっぱり見た目よりも中身が大事派を押し通しておりましたが、今回、見た目を変えるとコミュニケーションが変わり、伝える内容が変わり、周りへの影響が変わる事もあるのだと改めて気づくことになりました。非常にわかりやすい見た目に変化を起こすことで、伝えたいメッセージを語るきっかけが生まれたり、意図を汲んでもらえることでコミニケーションが円滑になることも多いのを自分自身のたかが散髪をきっかけに、体感することになりました。髪の毛なんて、寝癖がつきにくければ良いとこれまで全く構いませんでしたが、少しは気をつけて、当分韓流スター風でいってみることにします。ちなみに、少々の無理を言っても叶えてくれる腕利きの床屋さん紹介できます。(笑)


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カリスマ経営者の遺言。#継ぐ価値

令和2年7月1日 雨のち晴れ

2020下半期スタート!

株式会社四方継の第20期の後半戦のスタートなる7月の御朔日は水曜日と言うことで定休日。私は尊敬してやまない三重の先輩経営者の引退記念のゴルフコンペにお誘いを受け、コロナ明け初の県外へのゴルフに津市に来ています。大工から事業を起こされ、三重県でナンバーワンのリフォーム会社に育てあげられて、非公開株のまま22年目に全株式を売却、この度、還暦を機に会長職を退かれ、新たなスタートを切られる神田会長のお祝いに馳せ参じた次第です。天候に恵まれたゴルフのほうは相変わらず残念なスコアでしたが、かなり久しぶりに全国の知り合い、仲間と顔合わせ、和気あいあいとグリーンコミニケーションを楽しみました。コロナによる影響の情報交換もできて、充実した時間となりました。

コロナの影響。

今回全国から集まっておられた、各地で抜きん出た業績を上げられている工務店やリフォーム事業者の経営者の皆さんとお互いの近況報告がてらコロナによる影響や、今後の見通しなどを聞いてみて感じたのは、他の業種業態、特にサービス業に比べ、私達の業界はかなり影響が限定的だと言うことです。もちろん、緊急事態宣言下で世の中が全体的に自粛ムード一色になっていた時の売り上げはどこも下がってはおりますが、そもそも数カ月先まで受注残がある私たちの業態は、急にすべての仕事が止まってしまうことにはならず、また、住宅事業は不要不急ではなく、必要火急なインフラ、ライフラインを支える事業でもあり、地域の人々の暮らしを支える役目を担っており、絶対になくなる事は無いのだと、今回のような急激な変化にも耐えやすい業界だと改めて強く感じました。

カリスマの遺言。

そんなことを思いながら昨夜の宴席の後、いろんな経営者さん達に様々な話を聞かせてもらっておりました。その中でも、和歌山の有名な新築を中心にした事業所の経営者の言葉が強く印象に残りました。その方が口にされたのは、「先代の社長は建築だけではなく、ありとあらゆる事業を行い、先見の明を持っていたことで大きな成功を収めて、和歌山県で誰もが知るような不動の地位を築いたのだが、そのカリスマ経営者から事業を引き継ぐ際に申し渡されたのは、他の業種はさておき、建築の事業だけは絶対に手放すな。と言われた」とのことでした。よくも悪くも建築の事業ばかりを20年以上続けていた私たちとは、レベルが違う大きな視点を持って、財を築かれたカリスマ経営者の言葉に、私がぼんやりと考えていた建築業の位置づけがぴったりと重なった事に驚くとともに、大きな勇気を与えられました。

継ぐこと自体が価値。

そのカリスマ経営者が建築業を旗艦事業として続けるように言われた理由は私には明確に理解できるわけではありません。アミューズメントから金融業、公共工事まで多方面に事業展開されているからこそ見える事もあるでしょうし、私が感じていたのとは全く違う観点からそのように言われたのかもわかりません。しかし、結果として建築の仕事を継続していくべき最重要な事業だと位置づけされたことに大きな意味があると考えます。世界で最も長く存在している企業は法隆寺の建築に携わった金剛組だと言うのは非常に有名です。事業の成長、拡大ももちろん重要ですが、継続していくことに価値の重点を置くならば、人々の営みを支える我々建築業こそ、重い責任も伴いますが、非常に価値のある、そして世の中の環境の変化に強い事業なのかもしれません。神田会長が選択された事業継承のお話を含め、改めてそんなことに気づかされた津での二日間になりました、ご縁に心から感謝いたします。ありがとうございました。

 

 


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自然経営 JINEN KEIEI

令和2年6月30日雨

令和2年の折り返し。

6月も今日でおしまい。令和になって初めて迎えた新年からあっという間に半年が過ぎ、今年も今日で上半期が終わります。今日の神戸は久しぶりに梅雨らしく、1日中強い雨が降り続けました。激しい雨とともに、風も強く淡路島との橋が通行止めになるほど、令和2年の折り返しは今年の上半期を象徴するかのような大荒れの天気になりました。そんな激しい変化があったこの半年を振り返りながら、今週から半期に1度の社員全員との個人面談がスタートしており、あらかじめ入っていた予定以外は、スケジュールは全てすべてスタッフに向き合う時間で埋め尽くしています。

面談の2つの目的。

経営者が社員全員と膝を突き合わせて1時間近くの面談を行うのは、結構な時間とエネルギーを要するもので、良いか悪いかは別として、我々くらいの20人程度の事業所の規模までしかできないのではないかと思っています。面談の目的は大きく2つあり、1つは役割分担した仕事量の進捗確認とそれに対する評価。もう一つは業務改善提案と言う名のスタッフからの経営に対する批判や意見を聞く場となっており、言いたいことを何でも言ってもらい、出来る限り次の半年後の面談までにそれらの問題点を解決するように努力することをを約束します。もちろん私からの要望を伝えることもありますが、基本的にはスタッフに働きやすい環境を提供するためのヒアリングの時間にしています。

改善を繰り返してきた長い歴史。

今の本社ビルに移転してからかれこれ15年間、毎年繰り返し社員の声に耳を傾け、(最近ではずいぶんマシになりましたが)やもすれば愚痴や不平不満とも取れるようなネガティブな言葉と、私への正面切っての批判を聞き続けています。たまに心が折れそうになることもありますが、それでもスタッフにとって皆がやりがいのある、働きやすい職場環境にしたいとの思いでそれらの言葉を真摯に受け止め、(私自身を含め)改善を繰り返してきた歴史があります。もちろん、未だに組織として成熟し、完成形に近づいてきたとは言い難いし、全く思いませんが、それでも人事制度や評価制度、組織の形態自体も毎年のように繰り返し見直して修正改善を繰り返してきました。

水と油。

私としては、もちろんスタッフから不平不満を聞きたいわけではなくて、スタッフ全員にやりがいを持って楽しく安心して働ける環境を提供し、そして未来に希望を持って豊かな暮らしをしてもらいたい一心で、それが私が事業を行ってきた大きな目的の一つです。そして、建築と言う事業は顧客の意図を汲んで計画する、設計する者、見積もりや発注等の事務処理をする者、実際に現場でものを作る者、工事全体を管理する者、そしてアフターフォローを行って顧客の暮らしを守る者と多くの人が力を合わせてこそできる事業で、私たちはその全てを内製化し、すべての業務を設計者と大工に集約してきました。私の持論では工務店は設計士と大工がいればその他の営業や施工管理などの職種は必要ないと考えており、女性の設計と男性の大工の育成をこの20年続けてきました、しかし、水と油のようなこの2つの部署を取りまとめ、全体最適を目指すのは本当に難しく、創業から20年経った今でも、いまだにすべての問題を解消できたわけではありません。

無管理でシームレスな組織

長年の試行錯誤を経て、スタッフ皆が気持ちよく働けて、しかも顧客からの評価を得て事業として自立循環していくために、私がたどり着いた答えは、部門部署の解体と徹底した役割分担と権限委譲セットのでした。男性の大工と女性の設計者がペアとなり、小さな工務店よろしく、お客様や案件に対して2人でチームを組みヒアリングから設計、見積もり、契約、施工、引き渡しまでを行い、当然年間の売り上げ、利益額の目標設定も行い、主体性と責任を持って事業に取り組んでもらう、非常に変わった形になってます。6つのチームがそれぞれ独立した形で事業を行いますが、当然会社としては1つなので全員が同じ目的を持ち、同じ方向向いて助け合うようにしてもらいながら、今季から新たにスタートさせた建築以外の地域コミュニティー事業はそもそも建築のお客様向けのサービスが中心であることから全体的にシームレスにつながるような組織づくりを目指してきました。

目指すのは自立循環型組織。

部署も、上下関係もなく、リーダーも不在でも、目的を共有し、それぞれが顧客接点で責任を持って役割を全うしながら助け合う組織こそが、全体の事業が回り続けるという、我ながらずいぶんと変わった組織の形になってきたものだと思っておりましたが、この組織形態にして2年が経ち、最近はなんとなくそれぞれが主体性を持って事業を運営してくれるようになってきたように感じています。そもそもスタッフの半分以上が在籍10年を超えており、建築のプロフェッショナルでしかるべき、今更管理するのもおかしな話です。もちろん、うまくいく事ばかりではなく、管理をしていない分、担当者の意識レベルが低い場合はお客様に迷惑をかけることもあります。それは私達の実力だと反省して私が謝罪に出向き、善後策を講じながら、全体の底上げを出来る様に地道な努力を積み重ねています。残念ですが、理論で分かっている事をそのまま実践に落としきれないものです。

トップダウンでも、ボトムアップでもない組織。

近年、ティール型組織と呼ばれる主体性を持った、従来のピラミッド型の管理体制ではなく、個々の個性、才能を遺憾なく発揮できる組織が注目を浴びるようになりました。私としては別にティール組織を目指したわけではありませんが、自律循環型のビジネスモデルを目指せば、結局はスタッフの主体性を認め育むのがごく自然な流れなんだと思っています。最近、改めて組織改革の勉強してみようと思い立ち、そのティール組織をテーマにした書籍「自然経営」を読んでみると、私たちの組織図と全く同じ組織図が掲載されてあり少し驚きましたが、ドラッカー博士が言われたように、最終的には経営者の覚悟と責任を全員が持つ組織を作るべきだとの言葉は、長い時を経て徐々にスタンダードになって来ているのかもしれません。私たちもまだまだ課題は山積みではありますが、トップダウンでもボトムアップでもない個々が輝ける組織を目指して地道な改革を続けていきたいと思っています。


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唯一無二のサッシ施工業者に教わった事。

令和2年7月29日快晴

なさねばならぬ何事も。

今日も神戸はそろそろ梅雨明けも近いのか、と思えるような良い天気になりました。連日報道されるコロナ感染者がまた増加してきつつあると言う報道に少し心の中に不安の種というか、引っかかりを持ちながらも、今週も前向きに、張り切って行動しようと真夏のような青空を仰ぎました。既に先週から、私の行動パターンはコロナ前のそれと遜色ない位まで戻しており、継塾なる勉強会の開催に、人事制度のワークショップ、単独事業者向けの研修、理事を務めるNPO団体の運営委員会と対外的な活動を精力的にこなしています。最大限の注意を払いつつ、コロナと共生しながらも、なすべき事は為す!と強い意志思って進みたいと思います。

逆転の世界で重要なもの。

私の場合、既に行動パターンをコロナ以前に戻しつつあると言いながら、アフターコロナ、ウィズコロナの時代に入り、これまでと全く逆転した価値観が世の中に定着しつつあるのを強く感じています。一見、同じように見えても、本質的には大きく変わらざるを得ないと思っていて、表面的なこと以外に随分と心を砕いています。21世紀に入り、圧倒的なテクノロジーの変化によってもたらされたのは、非常に豊かな物質的な世界でしたが、ここにきて、都会よりもローカル、対面や公共交通機関は非常識、団体行動は悪と全ての価値観が逆転したことを鑑みれば、アフターコロナの世界で重要視すべきは、目に見えないものではないかと思っています。目に見えないものを磨く、強くする、価値を高めると言うと分かりにくいことこの上ないですが、先週末に行った単独企業向けの研修の後、メンバーのみんなと話をしていて、なるほど、と腹落ちた瞬間がありました。

目の奥の光。

それは、4ヶ月に渡って行った今回の研修を終えるにあたり、今回の取り組みの全体像の確認をすべく、研修の終わりは実務のスタートである。と、私が申し上げた時で、当たり前のことの積み重ねである古典的マーケティング理論を会社全員で学んだ住宅サッシ、エクステリアの施工業者は日本に唯一無二であり、皆さんがここで学んだ理論を実践に落とし込むことで、名実ともに日本一のサッシ関連の施工業者になるのだと申し上げた時、皆さんの目の奥に、自信とも核心とも取れるような光がキラリと宿ったのを感じたのです。

結果は確実に状態に由来する。

実際、明日からの仕事は今までと同じように、サッシを組み立てたり、カバー工法のサッシいや玄関ドアを取り付けたり、エクステリアのテラスや門扉を組み立てたりと目に見える部分は同じですが、目的意識を明確に持ち、顧客の立場に立ってもの事を考え、向上心を持って技術の研鑽に励み、目に見えないところで知識の習得を積み重ねれば、全く違う結果が生み出される事は確実で、それをそれぞれが理解し、よしやったろう!と言う気構えが表情に表れていました。2ヶ月後に人事制度改革のキックオフミーティングを行うことも決まり、私もその場に参加して、研修を終えた後のその後の皆さんの変化を報告してもらうことになりました。目に見えない事に意識を置いた皆さんが、どのような成果をあげられるか、今から楽しみでしょうがありません。

熱い想いが道を切り開く。

実は私、一般社団法人で広く全国の職人に対して研修を行ってきて、これまで個別の事業所に対する研修やコンサルティングは全てお断りをしてきました。このたび、松岡社長に熱い口調で依頼、と言うより口説き落とされ、引き受けた個別の事業所向けの研修は本当にやって良かったと心から思います。今後、人事制度を含めた社内制度改革にも深く関わることで、私が提供する価値が具現化できるのだと改めて感じており、松岡社長のおかげでアフターコロナの新しい時代に私が進むべき道を示していただけたように感じています。新たな道を切り開くのは、熱き思いを持った人の求めに応え、自我の固執を捨てた時なのかもしれません。深い学びをいただけたことに心から感謝いたします。


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労災発生!ハインリッヒの法則を断ち切れ!

令和2年6月27日 曇り

単体社員研修。

今日は昼から取引き先でもある住宅サッシ販売、施工業者の有限会社松岡商会さんの社員研修で、4か月にも及ぶ実践研修の最終講でした。リアルに取引先の職人さんに、信頼を元にしたマーケティング理論をレクチャーして意識を変え、行動を変える実践型の研修を行うのは、私達つむぎ建築舎の現場品質の向上に直結する訳で、協力業者会等で経営者向けに話すのとは全く違います。これまでにも職人起業塾の研修に取引先の職人を受け入れて来ましたが、会社丸ごとの改革のお手伝いするのは今回が初めてで、本当にいい取り組みが出来たと喜ぶと共に、私を理解してくれる経営者がいてくれること、松岡社長には心から感謝しました。

目的意識を持つこと。

現場の意識改革と一言に言っても、その内容は多岐に渡ります。私達建築業が評価を得るには現場で答えを出して信頼を得ることが絶対で、ものづくりに携わる全員が技術と知識の研鑚を行う必要があります。その日の作業が終われば日当が貰える。と言う様な考えの職人がいると、会社の未来は先行き危なくなります。建築と言う人様の命を守る事も危険に晒す事もできる重要な職務を遂行することによって、どのような貢献が出来るか、自分達が生み出す価値についてしっかりと認識して目的を明確に持つ事が非常に重要で、私は技術以前にその部分の意識を変えるべきだと考えて職人起業塾の研修を行なっています。

安全第一。

しかし、その前にまず、何よりも重要なのは安全に対する意識です。建築現場には常に危険が潜んでおり、ちょっとした気の緩みで命を落とす重大事故が発生します。死亡するところまで行かずとも、ちょっと足を滑らせて転落するだけで後遺症が残ったり、電動工具の扱いを誤ると指を落としたりと生涯に渡り不便や不幸を背負うキッカケがそこら中に、毎日潜んでいます。私自身も若い時に左手の腱を切断し、未だに親指はロクに動きません。また、怪我をする本人も大変ですが、労災が発生したら現場も止まり工期は遅れる、お施主様にも嫌な思いをさせる大変な事になり、多くの人が苦しみます。絶対に労災は起こしてはならない、考えうる限りの予防に努め、トラブルを起こさない心身共に状態を整える意識が現場従事者は何よりも重要視すべきです。

ヒヤリハット!

この2ヶ月程、コロナの影響で対外的な活動、県外への出張を全て自粛していた関係もあり、私も久しぶりに建築現場に職人として出ておりました。ものづくりの楽しさ、難しさを改めて噛み締めたのですが、上棟作業の際に邪魔になる足場を撤去しようとしたところ、足を滑らせて落下しかけました、あわやのところで広げた腕に梁がかかり、事無きを得ましたが、それでも肩の筋肉が少し断裂したようで、2週間ほどたった今も左腕が上がらない状態が続いています。もし腕が掛からずに背中から土間コンクリートに散乱してあった足場材の上に落下していたら、と考えると今も冷や汗が出ます。そんな自分の危なかった経験から、それ以後の高所作業ではフルハーネスの着用の徹底を指示して、「絶対に落ちるな」と安全意識を今一度持ち直すように職人達に注意喚起を行いました。

労災事故発生!

私が自分自身で墜落事故を起こしかけて思い出したのはハインリッヒの法則です。1件の重大事故は30件の軽い事故の後に起こり、その30件の軽い事故は300件の事故にはなっていないヒヤリとする体験があると言うもので、普段からの不安全行動の積み重ねが重大事故につながっていくと言う法則です。まさに結果は状態に由来するとの原理原則論で、この機会に現場全体の底人の気を引き締めなければ、大きな事故につながると思い厳しい口調で注意喚起を行いました。しかし、一昨日の夕方現場代理人から電話があり、1人の職員がくぎ打ち機で手を打ち抜いてしまったと残念な報告が入りました。労災事故の発生と言うことで、昨日は現場に行ったり、病院に行ったりとずいぶん慌ただしい1日になってしまいました。


出典:https://www.infraexpert.com/info/network7.html

道具が凶器に変わる瞬間。

私も昔、太ももの骨に釘を打ち込んだことがありますが、コンプレッサーを使ったエア工具は使い方を誤ると非常に危険で、殺傷能力があると言っても過言ではありません。大工をやっていると、その危険性は熟知していますし、適正に使えば何ら問題はありません。しかし、ふとした気の緩みや不安定な体制での作業、無理をした作業をするとその瞬間に便利な工具は凶器に早変わりします。今回は幸いにも骨には当たっておらず、後遺症は残らないようですが、それでも縫合した傷が塞がり、元通りの作業ができるまでには1ヵ月ぐらいはかかります。本人にしても、現場にしても何一つ良い事はなく、私を含め、全員が後悔の念を募らせるばかりです。労働災害の撲滅は環境の整備と、一人ひとりの意識の向上しかありません。ハインリヒの法則をここで断ち切れるように現場に携わる全員とともに、安全な作業が出来る状態を整えてから作業することを強く胸に刻みたいと思います。ご安全に。


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人事制度改革のボトルネック。

令和2年6月26日曇り時々晴れ

WS再開。

昨日は、コロナ騒動で順延していた一般社団法人職人起業塾主宰の人事制度改革のワークショップ#運用編を2ヶ月ぶりに開催しました。人を集めてのイベント事は若干まだ憚れる気がして、あまり熱心なお声掛けはしませんでしたが、それでも募集早々から10名の定員いっぱいの申し込みをいただき、満員御礼となりました。いつもより少し広めの部屋で、あまり密にならないように気をつけながら、恐る恐るスタートしましたが、始まってしまえばいつもと同じ、熱を込めて、職人に未来への希望を持たせながら育成していくキャリアプラン、人事制度のあり方と、ワークショップの全体像としてアフターコロナにおけるマーケティングの位置づけなどを熱く語り続けました。

人事制度はインナーブランディング。

このワークショップは、工務店やリフォーム会社のマーケティング構築のサポートの一環として行っており、職人の地位向上に直結させながら、ブランディングを行う前段階のインナーブランディングの体制を整えるのも目的の一つです。地域に根ざす建築会社のブランディングとは、超簡単に例えると、「地域の誰からもここの会社に工事をお願いしたい。」と思われる様になる事です。今日のワークショップの冒頭に、3人の煉瓦職人の話を引用して、100人に問えば100人ともが、大聖堂を作ることで街の人の幸せに貢献するんだ、と目的意識を明確に持った3人目の職人に仕事を頼みたいと答えるならば、ブランディングの入り口は現場実務者と目的意識を共有し、事業所が掲げる理念にコミットしてもらう事からでは無いか?その為に人事制度を整えるのだと、マーケティング、ブランディングと人事制度の深い関係をご説明しました。

分かっているけどしない、できない。

「ただ言われた事をやっている」とか「金のためにレンガを積んでいる」と言った低い意識の職人に誰も仕事を頼みたいと思わないのは全員が分かっているにもかかわらず、ほとんどの経営者は「御社の現場で働いている職人は3人目の職人と同じ様に高い目的意識を持って、経営理念に沿った仕事をしていますか?」と訊かれると言葉に詰まります。誰もが本当は技術よりも考え方、在り方、心の方が大事なのを分かっているのに、不思議な事に職人に技術以外の教育をしようとしないのが建築業界の常識になっており、それをなんとかせねばと私たち一般社団法人職人起業塾が、現場で圧倒的な信頼を得るところから未来の売り上げを作るマーケティング理論を職人に教えているのですが、理解される経営者は全体から見ると皆無と言っても過言では無い位、非常に少ないのが現実です。

未来を見なくなった職人。

確かに、今まで図面に書かれている通りに作業すればそれでいい、と教え込まれた職人をはじめとする現場実務者に対して、何の為にその仕事を行うのかを考え、金儲け、飯を食うため等の自己中心的な目的で働く人に対して仕事の注文は来なくなる事実を理解させ、3人目のレンガ職人の様な高い目的意識を持ってもらう意識改革を行うのは非常に難しいのが現実です。その意識改革の入り口として行うべきはまず、職人が安心して働ける環境を整える事であり、雨が続いたり、怪我や病気をしたり、年末年始の休日が多い月は給与が減ったりする様な不安定で足元しか見れない状態を変えるところからだと思っています。今日のワークショップに参加された経営者は全員が職人の正規雇用化に踏み込まれた素晴らしい方ばかりで、次の大きなハードルを越えるべく、前回のワークショップでキャリアパスを示す人事制度を導入されました。今回は運用編という事で再度お集まり頂き、職人の意識改革を通して役割を増やし、所得と事業所の利益を増す効果性の高い働き方へ変革してもらう機会を持ってもらった次第です。

ボトルネックは経営者。

今回のワークショップのメインのコンテンツは、従業員の目標設定とその進捗管理、結果に対する評価制度で人事制度改革の本当に肝になる部分でした。そして、何より重要なのは、今までと全く違う制度の導入と同時に社内組織の意識改革を行うことで、これが一筋縄では行きません。経営者の皆様に「改革がうまくいかないボトルネックはなんでしょうか?」と質問したところ、皆さん頭を捻られておられましたが、はるばる神奈川から来神された佐藤社長が出された答えは「私です」と潔く答えられました。私自身も常々反省することしきりですが、組織を改革する、メンバーの意識を変える取り組みをした方が良いし、するべきなのになかなか進まないのはやはり私自身に原因がある事がほとんどで、そこに正面から目を向けず、社員や外部環境のせいにしていると絶対に改革は進みません。

ボトルネックに正面から向き合う。

株式会社四方継では、経営者が自分自身のボトルネックに気がつく為にも、社内風土調査なるものを実施しています。スタッフに無記名で経営について、社内の雰囲気について忌憚無い意見を求めるこの調査は、10年近く前の始めた当初はナイフで抉られた傷に塩を擦り付けられたかの様な厳しい答えが返ってきて、随分と落ち込んだものですが、社員からの厳しいダメ出しに答えて、何とか良い会社だと思ってもらえる様に改善の努力を続けてきました。今でもまだ満足いく結果が返って来る訳ではありませんが、それでも随分とマシになりました。ちなみに質問の具体的な内容とは、

  • 上司(経営者)の方針や軸はぶれていない
  • (経営者)は方針に対して率先垂範しており部下の手本となっている
  • 理念やビジョンに共感している
  • 理念やビジョンが明確に示されている
  • 理念やビジョン、方針と具体的な施策が一致している

等々、社内の雰囲気や風土だけではなく、社員に低い評価をつけられると、経営者として完全に打ちのめされる様な質問が並んでおり、これが、人事制度改革、組織改革を推進するにあたって避けては通れない道だと考えています。なので、Googleフォームで作ったこの質問を参加者の皆さんにシェアして、社内で必ず無記名で実施する様にお願いしました。(笑)

人事制度改革#運用編ワークショップ再開します。

そんな本気で社内の改革に取り組まれる経営者さんが集まって、職人育成とローカルブランディング、そして自社独自のマーケットを構築して未来を標榜するマーケティングを包括して進める組織改革の根本となる人事制度ワークショップ、コロナの影響で開催自粛しておりましたが、それもここまで。#2運用編を今回を皮切りに毎月1度ペースで再スタートを切ります。来月は1月30日の開催です。基本的には1回目のワークショップに参加された方限定ですが、事前に2時間程度の打ち合わせを行えば参加いただくことも可能です。ご興味ある方はご連絡いただければと思います。
詳細、お申し込みはこちら→https://www.facebook.com/events/2792733910985295/


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新サービスリリース! #一般社団法人職人起業塾

令和2年6月25日曇りのち雨

目覚めの悪い朝

昨日までの青空ははどこへやら、今日は一転、梅雨らしいどんよりとした空模様の1日になりました。朝起きてすぐに目に入ったTVの情報番組では東京でまたコロナウイルスの感染爆発のリスクが高まっていると、コメンテーターが目の色を変えて不安を口にしているのが耳に入りなんだか目覚めの悪い朝になりました。風邪やインフルエンザがそうであるように感染症はこの世から無くなる訳は無いし、欧米に比して圧倒的に死亡率が低い事が判明した日本ではあまりセンシティブになり過ぎない方がいいと思うのですが、メディアの論理は逆なのかも知れません。

アフターコロナ

私個人的には政府が全国的に自粛要請を取り下げた段階で、すっかり頭の中を切り替えてアフターコロナの世界に向き合って行こうと前向きにあれこれ想いを巡らせています。おかげさまで事業のメインである建築は、現在のところさほど大きな影響を被る事なく推移しておりますが、近年、私が多くの時間を割いてきた一般社団法人職人起業塾の研修事業は壊滅的な打撃を受けています。既に数社からお申し込みを貰っていた職人起業塾6カ月コースの研修は無期延期のままですし、新たに建築実務者の教育、現場改革に参画される事業所を募るオープンセミナーは全て取りやめたままになっています。いつまた第二波による感染爆発が起こるか分からない状況での研修事業の再開は参加者へに迷惑を考えると以前と同じスキームに戻すのは難しいと判断しました。

立ち止まっていても何も変わらない。

コロナが収まったら元に戻すと言う選択肢もあるように思いますが、アフターコロナはウィズコロナでもあると言われる通り、ウィルスに対する特効薬が普及するまでは世の中全体がセンシティブになってしまっているコロナの感染症リスクが軽減される事は無く、岩影にじっと隠れて嵐が行きすぎるのを待つ状況では無いのは明らかです。待つのではなく、積極的に頭を切り替えて新しい時代に合った事業モデルを考えるしか無いと思っています。そもそも、建築会社を営んで、設計施工をなりわいとしている私が研修事業を行う理由は利潤の追求ではありません。自分だけがよかったら良いと言う考え方ではなく、世の中の職人が全員やりがいと希望を持って働ける業界に建築の世界、職人の世界を変えたいとの想いから慣れない上に得意でもなかった講師業や研修事業を始めました。

大海に小石の現実。

社内での勉強会だった職人起業塾を一般公開して、研修事業としてスタートさせてからそろそろ4年が経ちます。現在16級の講座を開催しており、卒塾生は150名を超えました。年間20本以上の講演を全国で行い、今期は個別の事業所向けの研修もスタートさせました。私としてはけっこうな時間とエネルギーを費やして職人の働き方を変えて、現場を顧客との絆を結ぶ場所に変え、稼げる職人へと変えて地位を向上させるべく取り組みを続けてきましたが、業界が変わったかと問われると、大海に小石を投げ込んだ程度の波紋しか起こせていないのが現実です。

量から質への転換。

自分の無能ぶり、無力ぶりを突きつけられるようで非常に残念ではありますが、コロナの影響のおかげで改めて自分が行ってきた事業を振り返り、現実に正面から向き合えたような気がします。そんな反省を踏まえて、当面、関西技術協力センター宋以外での講座の開催は控えるようにして、これまで輩出してきた卒塾生たちに対するアフターフォローにもっと注力することに、大きく方向転換することを決めました。これまでは、少しでも多くの職人に、現場にこそ、大きな価値を生み出すチャンスがある。と言うことを伝え、広めていきたいと思っていましたが、これからは量ではなく質にこだわって、今まで伝えてきた塾生に向けて、一定の成果を手にして、取り組みを定着するところまで深くサポートをしたいと思っています。

新サービススタート。

今後随時、職人起業塾にご参加くいただいてきた事業所に連絡をしていきますので、卒業生の皆様は覚悟して楽しみにしておいてもらえたらと思います。(笑) 同時に、より深くサポートするためにこれまでオファーをいただいてもお断りしていたコンサルティングや、顧問契約の受付を開始することにします。事業所内のメンバーの1人として、リアルに業務に関わることで、お手伝いできることがきっとあると思うのです。このような地味で、地道な活動を通して私と共に業界を変えていきたいと、志を同じくする同士を募り、つないでいきたいと思います。

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