リフォーム業界の第3の道。@ひょうご安心リフォーム推進委員会。

11月27日 晴れ時々くもり

冬空
冬空

 

体調管理以前の大問題。

昨日の雨のあと、夜半から一気に気温は下がって神戸も漸く冬の到来を感じさせる寒い朝になりました。
昨夜は諸事情有り、結構遅く遅く大阪での忘年会から帰宅して、なんと!湯船に浸かったまま寝てしまい、気がついたら水風呂の中で震えておりました。(苦笑)

慌てて浴室から飛び出して、ヒーターで身体を温めてからベットに潜り込みましたが、さすがに何年かぶりに風邪を引きそうな予感がしております。。
それにしても浴室で寝てしまうなんて体調管理以前の問題、まだまだこれから忘年会ラッシュは続きますし、体調管理というよりもまずは生活態度に気をつけたいと思います。(笑)

 

 

NPO法人ひょうご安心リフォーム推進委員会

今日は昼から理事の末席を勤めている『NPO法人ひょうご安心リフォーム推進委員会』の実行委員会と更新研修会とはるばる仙台の遠方より講師をお招きしての特別講演会に参加してきました。

NPO法人ひょうご安心リフォーム推進委員会の活動とは、

この法人は、市民に対して、真意安心して住宅リフォームができる環境づくりのための事業を行い、市民生活の充実と地域の活性化に寄与することを目的とする。この法人は、その目的を達成するために、次に掲げる特定非営利活動を行う。
(1)まちづくりの推進を図る活動
(2)地域安全活動
(3)情報化社会の発展を図る活動
(4)経済活動の活性化を図る活動
(5)職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
(6)消費者の保護を図る活動この法人は、その目的を達成するため、次の特定非営利活動にかかる事業を行う。
(1)「あんしんリフォーム基準」の運用及び周知の事業
(2)「あんしんリフォーム」の普及啓発及び情報提供の事業
(3) 行政の住宅リフォーム政策に関する情報の収集及び提供事業
(4)「あんしんリフォーム事業者」資格の認定及び運営事業
(5)「あんしんリフォーム」に関する相談窓口事業
(6)建築における日本伝統技術を推進する事業
(7)その他、当法人の目的を達成する為に必要な事業

※ホームページより抜粋

と言った活動で、兵庫県かの有志のリフォーム事業者が集まって、消費者に安心して品質の高いリフォームをしてもらえる環境を整えています。発足してまだ2年目、来春で3期目を迎えるまだ活動を始めたばかりの若い?団体ではありますが、リフォーム事業者だけではなく住宅設備機器メーカー、商社、建材店などの多くの方に賛同を頂いてコツコツと地道な活動を行っています。

 

 

今年までを振り返って。

初年度にまず行なったのは、安心して依頼が出来るリフォーム事業者の認定事業でした。
許認可が必要な建設業と違い、だれでもいつでも開業出来るリフォームと言う事業は、実際の工事をやってみないとその実力、工事の品質、アフターフォローの充実が分からないという一般の消費者にはあまり知られていないリスクをまずは分かりやすい基準を設けてこの基準に適合していれば大丈夫だと、分かりやすい目安を設けて、事業者の認定を行ないました。
とはいえ、大まか兵庫県のリフォーム事業者登録制度に登録出来る基準と同じなので、特に変わった条件ではないので、県の行なっている登録制度の補助的な役割といってもいいかも知れません。

2年目に入り、次に行なったのは、消費者への啓蒙活動、神戸市等と連携して無料の市民セミナーを県下の各所で今年は5回行いました。
内容は、未だにトラブルが一向に減らないと言われている『悪徳リフォーム業者』に引っ掛からない様に、その特徴や対策、またぼったくり業者ではなくても、納得して業者の選定が出来る様に、相見積りの取り方や契約に於ける注意事項の説明をして、失敗しない、安心してリフォームが出来る基礎知識をお伝えしたのと、参加型のDIY講座では壁紙の補修方法やインテリアを模様替えする時に気をつけてもらいたい空間演出の基礎知識等も披露、各地で多くの人にご参加頂き、喜ばれました。

株式会社スイコー 澤口社長講演会
株式会社スイコー 澤口社長講演会

 

住宅業界のトレンドは長期優良住宅リフォームへ

そして来期、今までの事業を継続しつつ、次のステップに何をして行くか、という議論がこのところの運営委員会のテーマでもあったのですが、その答の一つを指し示して頂いたのが、本日の特別講演で仙台からお越し頂いた『株式会社スイコー』の澤口社長が紹介して下さった事例でした。

国の住宅政策はスクラップ&ビルドから既存住宅利用と流通にシフトしてもうずいぶん経ちました。少子化、人口減の問題に対応して、という事もありますが、先進国の中で飛び抜けておかしなことになってしまっている、住宅の資産価値があっという間に下がり、十数年で無価値になってしまうことが国民を貧しくしてしまっている大問題の解決に乗り出したという事がその側面にあります。新築住宅では『長期優良住宅』の普及を促進し、もの凄い額の助成金を名が打って100年持つ住宅を広めることで不動産流通を根本から変える方向へと推し進めています。

新築の長期優良住宅についてはこの5年間でずいぶん普及が進み、2020年の住宅性能の新基準の義務化でそこは一段落。次は現在既に建っている、人が住んでいる既存住宅への取り組みへと駒を進めている真っ最中。と言うのが昨今の建築業界の事情です。

 

新しいチャレンジへの道標

今日の澤口社長にご紹介頂いた取り組みはその国の施策(補助金)の周知と共に、資産価値を上げて快適に住まえる住宅性能を向上させる長期優良住宅リフォームの案内をセミナーの形式をとって消費者に訴え続けているとのことで、その結果、性能向上という今までのリフォームの花形だったデザインや便利で使いやすい住宅設備機器の交換とは違う視点、違う価値観でリフォームに取り組まれるお客様が徐々に増えて来たとのことでした。

住宅の性能とは、その地の環境(気温や積雪、風向き、湿度等)と非常に密接な関係があります。所謂高気密、高断熱の工法、技術的な開発は北海道や東北を代表とする寒冷地を中心に盛んになったこともあり、標準的な住宅スペックをどこにでも転用出来るものではありません。瀬戸内の温暖な地域、海からの風が気温を下げてくれる神戸には、この地にあった性能を見いだすべきなのです。
そう考えると、地域に密着して生活者の暮らしに寄り添う私たちの様な地域密着の工務店、リフォーム会社が率先して住宅性能の数値化と実際の住み心地の検証を行っていくべき責務を背負っているのかな、なんて考えさせられる素晴らしい講演でした。

澤口社長、この度は本当にありがとうございました。
住宅性能向上と電磁波環境の改善、共に取り組んでいく様に致しますので、引き続き宜しくお願い致します。

深謝。

冬月
冬月

今、工務店直面する労務リスクとマイナンバーの関係 @京阪神木造住宅協議会

11月26日 雨のち曇り

建築士の祭り?

雨が降りしきる朝、朝礼もソコソコに朝早くから事務所を飛び出しました。
向った先は神戸市役所。
年にに一度の建築士事務所の祭典?特定建築物定期検査報告書の提出です。今回もマンションのオーナー様にご依頼を頂き、検査と報告書の作成、そして今日の提出と設計事務所らしい業務に勤しみました。
市役所5階の特設会場?に言ってみると、壁一面に机を並べ、役所の建築課の担当官がずらーり。
お祭り気分?を盛り上げておられました。(笑)
それにしても、担当者によって指摘事項がバラバラなのはなんとかならんもんでしょうかね、、

梅田スカイビル
梅田スカイビル

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第26回京阪神木造住宅協議会研修会

昼からは大阪、梅田に。
最近急増している中国からの観光客の大阪で(意外に)人気ナンバーワンスポットらしい梅田スカイビルへ、今日は研修会の講師役です。

私も理事の末席に名を連ねさせて頂いている京阪神木造住宅協議会で工務店の従業員を対象とした研修会、『職人起業塾』の講師を共に勤めて頂く、社労士の川西先生と共に、事業所の環境整備をメインテーマに、リスクヘッジ、そして前向きに事業を展開出来る様に人材育成について研修会を行ないました。
(ここには書けない様な、笑)全国で起こったリアルな事例がポンポンと飛び出し、皆さん不安感を煽られつつも、今の時点で気付き、行動に移すことで安定経営の道を進めることが出来ることに気付かれたようで、終始真剣なまなざしで聞いておられました。

私の話は何故今、労務管理、労働条件の見直しをしっかりしなければならないか、そして何故従業員の教育、スキルアップに取り組まなければならないか、という川西先生の講演内容の前座として、その『何故?』と言う部分だけに焦点を合わせてお話をさせていただきました。

 

工務店が抱える労務リスク

短い時間の話しでしたが、「なるほどね、」と共感頂いた方も多かったので、(ついでに?)ここでも簡単に内容を紹介しておきたいと思います。(至ってマニアックな内容となりますが、苦笑)
まずは、工務店経営者さんが薄々感じているが、切迫したリスクとは感じておらず、ついつい対応を先延ばしにしてしまいがちなリスクについて整理をしてみました。

第26回京阪神木造住宅協議会
第26回京阪神木造住宅協議会

具体的になんのことかといいますと、先々月、すみれで労災事故が多発して参っているという話しです。工務のヒメー君が(眼鏡をしていたにもかかわらず)現場作業時に目にゴミが入ったらしく、数日経っても違和感が取れないから、と眼科に行きました。
眼科では目を洗浄してもらい、簡単に治療は終わり大事に至ることは無くてメデタシメデタシ、のはずですが、ここから事件は起きました。

治療を終えて精算に行くと、なんと!目に入っていた異物が鉄粉だったことで、仕事中に起こったのだから社会保険の適用は出来ません、労災を申請するか、全額負担をして下さい。と言われたとのことです。当然、労災の申請をする事になりました。

保険適用厳格化の影響

まあ、法例遵守の立場から言うとごもっともな話しではありますが、、実際は今までこの程度のことはナーナーというか、暗黙の了解というか、目くじら立てずに社会保険で処理してくれていたのが、今後はは罷りならん。とのこと。社会保険機構の財源不足は以前から声を大にして叫ばれていましたが、非常に厳しい厳格化の流れを身を以て体験させられることとなりました。

この事件を受けて、これって神戸だけの話しではないな、と思い調べてみると、やっぱり!近年労災事故は増加の傾向にありました。

建設業界が安全衛生の意識を高め、長年災害を失くすことに取り組み、減少を続けて来た現在、労働環境の悪化で労災事故が増加したとは考えにくく、これは保険適用の厳格化の流れが反映されたものだと思います。(あくまで私見です。)

第26回京阪神木造住宅協議会
第26回京阪神木造住宅協議会

 

労災認定も厳格化

そして、以前にも書いたかも知れませんが、労災を使うことについても大きな問題が表面かしています。宮大工が屋根から落ちて死去したのに、一切の労災がおりなかったと言うニュース。

第26回京阪神木造住宅協議会
第26回京阪神木造住宅協議会

(今までなーなーで使い続けて来ていた)社会保険、国民保険は仕事中の些細な怪我でも適用されなくなり、すぐに労災を申請しなくてはならない上に、雇用関係が明らかになっていない労働者については、労災は適用されず、しかも、個人事業主特別加入という職人への救済処置は、日当で働いている者に対しては請け負い=事業主とは認められない、労働者への適用は除外という厳しい判断が下されています。建築現場で人が死んでいるのに、一切の労災が認められないのには憤りを感じずにはいられませんが、法律の原則論に立ち返るとキッチリと遵守していない事業主が悪い、と結局は元請会社の使用者責任を問われてしまうのは致し方無い様な気もします、、

 

全てを明るみに出すマイナンバー制度

この流れを後押しするのが、只今絶賛配布中のマイナンバー制度です。
職人が工事現場で怪我をした際、病院や警察でマイナンバーの提示を求められると、雇用関係がどうなっているかは一目瞭然、元請の労災を使えるか、救済処置として設けられている個人的に加入している個人事業主特別加入の労災を適用出来るかが一瞬で明らかになります。
一人親方の職人、職人会社の代表者等は一切労災が使えない様になりますし、しかも上述の宮大工の例を鑑みると、請け負い契約を結んでいない、日当計算の常用と呼ばれる働き方では、その救済処置も適用されないことになります。

これは、非常にヤバいことに。。

ちなみに、労災保険適用の原則論ってこんな感じ、

第26回京阪神木造住宅協議会
第26回京阪神木造住宅協議会

建築現場で働く職人の仕事は、ずいぶんと安全に留意して事故が少なくなったとはいえ、やっぱり常に危険ととなり合わせです。しかも、車での通勤や移動中もモチロン就業中と言う事になれば、いつ何が起こるかも分かりません。もしも、現場で重大な事故が発生したら、事業の存続が出来ないような状況になる可能性があることを工務店の経営者は理解しておく必要があることを強い口調で訴えておきました。

まとめは、こんなこと。

第26回京阪神木造住宅協議会
第26回京阪神木造住宅協議会

ガチョウを育てる意識が全てのリスクを回避する。

これらの厄介な問題に対する対処としては損害保険に加入するとか、出入りしている職人、工事会社への保険の加入を徹底する、とかになるのですが、私としてはあくまで問題は対処ではなく、根本的な解決を目指すべきで、その結果、事故やトラブルの予防を叶え、誰も悲しんだり苦しんだりすることが無い様にすべきだと思います。
現場で働く職人達はモノづくりの担い手であり、工事が出来ないと工務店はいくら多くの契約を取って来たとしても一切売上げはあがりません。イソップの有名な寓話に出て来る金の卵を生むガチョウと金の卵の関係の様に、利益=金の卵に執着してガチョウ=利益を生み出す実業を疎かにすると、結局豊かになることは出来ません。

工務店経営者は現場でモノを生み出す、職人を守り育てる意識を持ち、それを事業のシクミに落とし込むことにしっかりと向き合えば、上述した会社をすっ飛ばしてしまう様なリスクを回避することが出来ると思います。

第26回京阪神木造住宅協議会
第26回京阪神木造住宅協議会

そして、職人は今まで通り、図面で指示されたことだけが出来れば良いのではなく、モノづくり事業の最も重要な一端を担う者として『守られるべき大きな価値を持った人材』となるべきだという事も併せて進めなければ成り立たないという事も、(やっぱり)最後にお伝えしておきました。

簡単にまとめてみたブログセミナーはここまで、もっとコアな詳しい話しが聞きたいと思われる工務店関係者の方は是非京阪神木造住宅協議会にご参加下さい!(笑)

こちら→京阪神木造住宅協議会