職人社員化プロジェクト。

平成31年2月9日曇り

無駄な事は何もないバケツの法則。

昨日の真冬でも熱いファイヤー村田社長との熊本の夜の余韻を若干引きずりつつ、朝いちばんの新幹線で帰神、本当は復興が進む熊本城を見に行ったりとゆっくりしたかったのですが、昼からの予定がぎっしりと詰まっており、遊んでる暇はないと後ろ髪を引かれながらも熊本を後にしました。昼からはすみれのトラックを見かけたからとお問い合わせをいただいたマンションリノベーションの現場にプランナーじゅんちゃんに同行して現場の確認、ご要望をお伺いしながら職人目線でのご提案をしました。その後はタカラスタンダードのショールームで、CS (化学物質過敏症)対策リフォームの打ち合わせとがっつり建築実務に勤しみました。現場調査の帰り際にお客様と話しているとハーバーランドで行っていたひょうご木づかい王国学校での子供向け木工ワークショップに遊びに来てくれたことがあったらしく、どうやらその時に社名を覚えてくれていたようです。ボランティア活動に共感して覚えていてもらえるなんて本当に嬉しいことで、無駄なことなど何もないと改めて感じました。利益を追わないところに共感が生まれる、地域工務店は地域貢献活動をやらんといかんですね。

職人社員化プロジェクト。

話は変わって、出張から戻って久しぶりにデスクに座ると熊本の友人であるグッドハートの平田社長から文書が届いていました。その名も「職人社員化プロジェクト」の社内資料で、自社で取り組んでいる社員職人によるCS (顧客満足)とES (社員満足)の両立を図る取り組みの詳細を送ってくださいました。非常に実践的でかつ志が高い持続継続性のある内容となっており、とても参考になると共にこのような取り組みが全国に広がったらなければならないと痛感した次第です。すみれでも15年前から大工の正規雇用に取り組んでおり、現場での顧客接点を強化することで一切の宣伝広告を止めても売り上げを作れる仕組みを構築してきました。平田社長の取り組みは少し違う観点から同じ目的を目指しておられており大いに共感した次第です。以下にその内容を抜粋してご紹介したいと思います。

職人の社員がプロジェクトについて

(現在の問題点)

職人の所得が低い。熊本では年収300万円に満たない職人がかなりいる、そのため自分の家を持てないアパートや団地に住んでおり、子供が大学に行きたいといってもいかせてあげれないこともあり、職人は子供に自信を持って「お前も俺の後を継いで職人になれ」と言えない。塗装工や大工を目指す場合、熊本では日給7000円からスタート。20日働いて140,000円。社会保険なし、これではそもそも職員を目指そうとは思わない。

(原因)

職人の正社員化が進んでいない。多くの元請会社が、下請会社に工事を依頼する。下請け孫請けとピンハネされて、現場で使える予算がどんどん減っていく。現場予算がお客様が支払った費用の半分以下になることも珍しくなく、これでは職人にたくさん給料を払えず悪い循環が起こっている。

(職人の正社員化が進まない原因)

  1. 会社側の問題:職人を正社員化すると仕事があってもなくても固定経費がかかるため、元請け会社が敬遠する。

  2. 職人側の問題:請負の時、職人はよく働く。実際の収入が増えるように頑張る。しかし、1日いくらの常用になるとのんびり作業する。ましてやってもやらなくても給料が同じ正社員になると、朝はのんびり準備して、たくさん休憩をとって、早く帰ろうとする。きつい仕事をしたがらず、たくさん休みを欲しがる。仕事を依頼するとめんどくさそうな態度をとる。給料が上がらないと不平不満を言う。支給される道具や部材を大切に扱わない。

  • (社内発注制度の必要性)
  • 上記2つのうち、2の問題が意外と大きい。正社員の職人を抱えた会社の共通の問題だと思う。これを改善するのが社内発注制度である。

    (職人の正社員化がもたらすメリット)

    職人を正社員化するとサービスの質が向上する。私はある一定以上のサービスをお客様に提供するためには職員の正社員化以外にはないと考えている。弊社では、毎週月曜日の7時半から職人たちと会議を行う。社内教育用DVDを15分程度見て、感想を言い合い、その後ひとりひとり発表の時間をとる。「先週1週間で、お客様にどのように喜んでいただいたか?」をそれぞれ発表する。リーダーは売り上げ目標に対する進捗を発表する。職人たちは自ら考え、お客様に喜んでいただくために努力する。毎週の発表がノルマなので常に何かネタはないかと必死に探し、お客様に「何か困ってる事はありませんか?」と聞くようになる。困っていることを頼まれると彼らは「グッドハートチャンス」と呼び、喜んで奉仕する。

    (社内発注制度)

    文字通り社内で仕事を発注する。発注は伝票にて行い実際にお金のやり取りは無い。毎月売り上げの集計を行う。売り上げの管理は各リーダーが行い営業から伝票が出ていない場合はリーダーが営業に催促する。経費の管理は自分方が行い、数値はリーダーを通して全ての職人に公開する。それによって経費に敏感になり、改善の意見が出るようになる。

    (売り上げ)ー(経費)がチームの利益となり半期毎に集計ボーナスに反映させる。成果が賞与に反映されるようになり社内で仕事が発生することに対して感謝の気持ちが生まれる。手直しやメンテナンスなどこれまで半ば嫌々やっていた仕事も喜んで動くようになり、社内での「ありがとう」が増える

    平田社長のミッション。

    以上がグッドハート社の平田社長が送ってくださった資料の抜粋です。平田社長曰く、「この仕組みがあればどれだけ正社員の職人が増えてもリーダーに任せれば頑張ってくれるので、100名の正社員職人の育成を目標に掲げています」とのこと。これから職人の正社員化に取り組みたい、あるいは現在の正社員の職人の動きが悪い、モチベーションが低いといった問題はこの社内発注制度でかなり改善すると言われます。平田社長のお父上は大工で、経済的に苦労する姿を見て育ったが故、非正規雇用で不安定な生活を送る職人さんが正社員になることにより生活が安定し、そのお子さんたちが今よりももっと幸せになることをミッションだと気づかれたとのことでした。この度、まとめられた職人正社員化の費用を無料で公開し、できるだけ多くの人に知ってもらいたいと望まれています。私はその思いを汲んで今回ブログで紹介させていただきました。

    全ての社員は起業家精神を持て。

    ドラッカー博士はその著書の中で「最終的に、全員が経営者としての責任と覚悟を持った組織を作らなければならない。」と書かれています。急激な環境の変化にさらされている今、あらゆるもののスピードが加速しており、学び、成長しないものは時代に取り残される事は必至です。平田社長が強く推される社内発注制度は実はすみれでも以前から取り組んでおり、今期は設計担当者と大工が2人1組で目標を設定し、顧客満足と利益の両立を目指してもらっています。いわば、社内に小さな工務店がたくさんあると言うイメージで、そこで培われるのは貪欲に学び、改善し、実践する起業家精神です。職人の社会的地位の向上は職人自身が働き方を変える、自助の精神を持って取り組むことが必要で、それを仕組み化された平田社長の取り組みは賞賛に値すべきだと思うし、私も諸手を挙げて賛同します。平田社長に見習って、私も社員大工育成、実務におけるオペレーションを公開しますので、ご興味がある方はお気軽にいつでもご連絡ください。平田社長、高い志と熱い気持ちに心震えました、このたびは本当にありがとうございました。

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