金の卵と「大工なんかやめとけ、」と言ってた理由。

令和元年10月5日秋晴れ

秋の気配。

今朝の神戸は気持ちの良い青空に薄い雲が広がって、すっかり秋の風情でした。いつものようにアイドル犬チャックと朝の散歩に出ると、涼しい風が吹き渡りようやく長かった夏の終わりを実感しました。気持ちの良い季節となり、この週末は神戸でもイベントが花盛りで、灘五郷では蔵を解放しての日本酒イベントや、ハーバーランドではクラフトビアマルシェなどタイトルを聞くだけでおしりがうずうずするようなイベント告知が数多くFacebook上で投稿されており、仕事してる場合じゃない、などと思いながらも消費税増税で混乱している体制を整えるべく、実務に没頭する1日になりました。残念。

一年で一番、いい季節。

スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋とこのシーズンは何をするにつけいい季節なのだと思います。最近とみによく見かけるのは内定式を10月前後にされる会社が多く、もうすぐ社会に飛び出してくる若者達の希望に満ちた笑顔いっぱいの写真をみては、良いなぁ~となんとなくうらやましい気持ちになってしまいます。私の場合、ある日突然思いついて学生を止めて働きだしたので、準備期間を持って、決意を固めてから就職した経験がなく、内定式や内定者研修を経て暖かく事業所に迎えられるなんてどんなに気持ちの良いことなのだろうと思ってしまいます。

一生に1度の経験。

すみれでは来年の内定者は1名だけとなっており、大げさな内定式のようなものは行いませんが、先日、来春卒業する高校生と内定決定の面談と、お父さんを交えての3者懇談を行いました。来春から次のメンバーになる上久保くんは実は高校に入学する3年前ぐらいから大工になりたいと言う希望をお父さんに伝えており、お客様でもあり、私の前職の上司でもあるお父さんから息子を預かって育ててもらいたいとオファーをいただいておりました。なので、私とも面識があり今更面接の必要もありませんでしたが、それでも一応、一生に1度の新卒での就職と言うことで事前にコンタクトを取った次第です。

金の卵。

これから大工の見習いに入る若者相手に、いかに大工の仕事が面白くて、やりがいがある素晴らしい仕事であるかを一生懸命に伝えて、加速度的に建築業界では職人不足が進む中、正しく金の卵と言える非常に貴重な人材になれるのは大きなチャンスを手に入れることになると、未来に大きな希望を持っていいと熱く語りました。10年後、まだ20代でバリバリの棟梁になることができればすごい人生が目の前に開けると思うのです。本人もそうなんですか、とうれしそうに目を輝かせており、高いモチベーションで仕事に向き合ってくれるようになると思います。

大工なんかやめとけと言ってた理由。

面談でそんな話をしながら思い出したのは20年前、私がまだ起業して間もない頃、高校生だった従兄弟が大工になりたいと私の元にやってきた時の事です。私が大工として起業して一人親方として働いているのを見て、弟子入りしたいと言ってくれた彼に対して私が伝えたのは「大工なんかやめとけ、もっと堅い仕事に就け」という事でした。その当時の私はいつ仕事が切れて稼ぎが無くなるのかを常に不安に思い、また、もし怪我や病気になったら一円の収入も無くなる恐怖に苛まされており、そうなったら家族をどうやって養うのか?とずっと思いながらも未来を考える事から目を逸らし、ひたすら目の前の仕事に没頭する毎日でした。

職人不足の元凶。

その時の私は、そんな未来に希望を持てない仕事に高校を立派に卒業して様々な選択肢がある若者は就職すべきでないと考えたのです。これは私の実体験ですが、現在の建築業界の職人不足の元凶は結局、職人が仕事内容にも稼ぎにも誇りを持てず、未来を見れず、不安を抱えたまま目先のことだけを考えて働き続けてきたのが根本にあります。大工に限らず1人親方として働いている職人は全員が少なからず同じことを思っていると思います。職人が弟子を雇って育成する徒弟制度は構造的にできなくなっていると言わざるを得ません。

職人育成は環境作りから。

私たちすみれが現在、毎年のように新卒の若者を大工見習いとして採用して育成できるようになったのは、上述の元請けにぶら下がる道具のように使われる職人から抜け出して、自分たちが元請けになり、年中仕事が切れることをなく、多くのお客様から支持されるようになったからではありますが、それと同時に大工の働き方を日給月給の不安定なものから月給制で社会保険や厚生年金等の福利厚生をしっかりとつけ、年齢とともにキャリアを重ねられるキャリアプランを提示して、安心して働けるような環境を整えてきたからに他なりません。

職人は道具じゃない。

今現在私が目指しているのは、職人が経験を重ねるとともに現場作業だけではなく、施工管理や設計、そして営業の知識を身に付け、資格を取得して役割を増やすことで人としての効果性を高めてもらい地方公務員と変わらない位の生涯所得を得られる環境を作ることです。まさにいつ起業してもやっていけるスキルを身に付けてもらう位の人材に育成することで大工と言う職業の地位を大きく向上させたいと思っています。これが私が主催する勉強会、職人起業塾の根本思想です。職人は絶対に道具ではなく人材です、崎稼げるようになる技術的なことだけを教えていては未来など見出せるわけがないと考えています。

喫緊の課題は需要減より職人不足。

10月になり、消費税増税が施行され、来年に向けて建築業界は随分と落ち着きを取り戻すどころか、需要の先食いの影響が出始めて厳しい経営環境を余儀なくされると予想しています。しかし、それよりももっと深刻な課題は職人不足だと思っていて、徒弟制度が完全に崩壊した今、職人育成をする事業所、工務店が増えなければ5年後、10年後には業界自体が取り返しがつかないほど衰退してしまうのではないかと危惧しています。現在、日本の女性の半数が50歳以上であることが根拠となり、少子高齢化に歯止めがきかないのと同じ理屈で、職人育成に取り組む工務店が増えない限り建築業界に未来はないと思うのです。

職人不足解消セミナー開催します!

そんなこんなで、建築業界の職人不足を根本から解決する具体的な方法論についてのセミナーをこの秋口から全国で開催して行くことにしました。まずは関西と九州からスタートします。職人の採用、育成、それにまつわるコストをどのように賄うか、職人になりたいと志望する若者の離職を減らすための環境整備など、社内整備、人事制度等を含めた具体的かつ実践的な内容をお伝えする予定です。ご興味がある方は下記問合せ先からお申し込み頂ければと思います。未来を見据えた高い志を持つ工務店経営者の皆様、是非ご参加下さい。お会いできるのを楽しみにしております。


現場改革・現場ブランド化理論 & 職人採用・育成・人事制度セミナー開催します!

□日程11月8日(金)14時~18時30分
□場所:パナソニック リビング ショールーム 福岡 2階会議室 福岡市中央区薬院3-1-24
□当日スケジュール
13時30分〜14時00分 受付
14時00分〜16時30分 現場改革・インナーブランディング オープンセミナー
16時45分〜17時45分 職人不足根治の為の環境整備と人事制度
18時00分〜18時30分 建築技術者向け実践研修と助成金活用のご案内
18時45分〜20時30分 懇親会(希望者のみ 別途参加費5000円程度)
□参加費:15,000円/人 (職人起業塾参画企業、関係者は5,000円/人)
□定員:25名(定員に達し次第締め切りと致します。)
申し込みイベントページ→https://www.facebook.com/events/2378078522508618/
メール申し込み/問い合わせ→http://www.shokunin-kigyoujyuku.com/application/


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