オーダーと真逆のサービスが受けられるイタリアンレストラン。

平成30年11月9日雨のち晴れ

神通力、発動。

今朝は秋の台風3連発以来、雨漏りに悩まされている工場の屋根修理に朝から作業服を着込んで張り切って向かいました。作業自体はところが、現場に到着してみるといきなりの雨で雨宿りからスタートと言うなんとも悩ましいことになり、そういえば天気予報チェックをしていなかったと思い返してスマフォを見てみると、神戸は1日雨模様。「あちゃー、やっちまった。」と一瞬、後悔しましたが、雨雲レーダーを見るとそんなに続いて雨が降りそうでもなく、少し待っているとすっかり雨は止んで青空が顔を覗かせました。私は昔「気合で雨は降らせない。」とよく建前の際に言っておりましたが、まだ少し位、神通力が残っているようです。(笑)

 

注文と真逆のオーダーが通る店。

話は変わって、先日とあるイタリアンレストランに行きました。そこは神戸の老舗で、私も若い時からよく利用しているよく知っているお店で、料理もお酒も提供されるサービスは大まか把握しておりました。いつものように前菜とビールを頼み、喉を潤した後は「イタリア料理にはやっぱりワインや」と、アルバイトと思しきホールの若いスタッフの女の子にワインを注文しました。「どのワインにしましょうか?」と聞かれ、「じゃー、コスパの良い、しっかり重たいやつをお願いします。」と、いつものオヤジっぽい適当な注文をしたところ、「はいわかりました」と素直にオーダーを聞いて女の子は厨房へと戻ってきました。しばらくしてワインをもって来てくれたのですが、それは少し酸っぱくてフレッシュな印象のグラスワインで、フルボディーのボトルワインを頼んだつもりだった私のイメージとは全く真逆のオーダーが通っておりました。あれれ、とその旨を伝えると厨房から調理スタッフが出てきて、私との短いやり取りの末、結局、いつも良く注文するキャンティーを飲むことになりました。

注文者の問題

私としては別にクレームを言うわけでもなく、「言い方がまずかったのかなー、」と反省しながら、というよりも、「面白いもんやなー」とニヤつきながら出されたグラスワインもさっさと飲んで何のことなく食事を続けましたが、コミニケーションって本当に難しいのだと言うのを改めて感じ、学生アルバイトのホールスタッフの女の子と同じようなことがきっと自社でも起こっているんだろうなぁと、少し心配になってしまいました。確かに、注文する方も注文する方で、メニュー、ワインリストがあり、そこには銘柄も特徴も価格も明記されてあるんだから、自分で見てフルボディーと書かれたリストからコストパフォーマンスを考えながら、良く分からなければ何本かリストアップして疑問点をソムリエに(居なかったと思うけど、)訊いてみればこんなことにはならない訳で、決してオーダーと真逆のワインが来た訳ではなく、そもそも私のオーダーの仕方が悪いとも言えます。

サービス業としての責務。

しかしながら、学生アルバイトとは言え、一応お店のスタッフとして働いている以上は、お客さんに対してストレスなく楽しんでもらえる時間を提供するのが務めであり、ぼんやりとした注文をするおっさんには、せめて自分自身で注文された内容の把握をするくらいは出来なければなりません。「コスパが良いとは、このくらいですか?」と一杯800円のグラスワインを指しながら、あまり選択肢がなんですよ、と、一言伝えれば、「え、どーせガブガブ飲むからボトルでいいんだよ、」という会話になるし、そこから「じゃあ、おっさん向きの重たいのはこちらのいい値段のボトルになりますねー。」なんて軽口のやりとりが生まれ、なんの違和感もなくはじめからキャンティーを頼むことになったと思うのです。そのアルバイトの彼女は私のオーダーを聞いてから、カウンターでワインリストを開いて暫し考えていたようなので、私のオーダーを聞いたものの、ぼんやりしてわかりにくい部分は確かにあったはずで、悩み、考えるくらいなら一言(おっさんには声をかけにくいのかもしれませんが、)質問すれば全てスムースに流れると思うのです。大体、考えてわかる事じゃ無いし、えいやっと、判断してみても大まか外すのが関の山です。(笑)

誤解っておもろいやん。と言いたい。

伝えた側、聞いた側、どちらが悪いというのではなく、どちらもがぼんやりしたことをゆ〜るい雰囲気で伝え、受け取るって風潮は古の頃から日本に根付いており、そこから誤解が起こり、とんでもない展開になるといったストーリーの落語の演目になったりもしています。有名どころでは「百川」という古典落語でしょうか。田舎から出てきた料理店の奉公人が客に対して発した訛りのきつい言葉を聞いた客が奉公人のことを「名のある大親分」だと勘違い、誤解が生まれたのが元で騒動になっていく、という私のイタリアンレストランでの体験と少し似たシチュエーションの物語で、物事をはっきりとさせず、忖度したり慮ったりして誤解が生まれるのを笑い話としてまとめています。もちろん、落語ですから最後はオチがあり、「お後がよろしいようで」と締めくくられる訳で、コミュニケーション不全、思い違い、思い込み、誤解をそんなに悪いことではなく、笑える話としてポジティブに受け取っています。日本の文化って、元々、そんなおおらかさがあると思うのです。

間違えてもえーよー。という心。

今回の、「オーダーしたのと真逆のモノがきた事件」を体験して私が感じたのは、人と人とのコミュニケーションにおいて、相手の意図が明確にわからないぼんやりしたものははっきりさせなければならない。ということもビジネスの世界では確かに大事ですが、あまりにそこに目くじらを立ててキチキチしたところで、お客さんにストレスの無いサービス環境を与えられる訳ではなく、ぼんやりしたものをそのまま受け取って、(笑って済ませる程度のチャレンジで)自分の勘を信じてみるのもそんなに悪く無い、というか、本当はその方がより高等な経験や知識が必要なのですが、ゼロイチでは無い対応というか、物事を全てはっきりさせる表面的にコミュニケーションではなく、もっとお互いの軽い失敗を許容しあえるおおらかな心を持って、口に出さないままお互いに相手に任せてみるコミュニケーションが必要では無いかと思うのです。飲食店でオーダーした際に店員さんが「オーダーの復唱を行います」と言い出すのをよく聞きますが、そもそも居酒屋での注文が間違っているくらいで目くじら立てる方が大人気ないと思いますし、そんな客が増えたから(オーダー間違いを許容すれば)時間の無駄以外の何物でも無い「オーダー復唱」の文化が蔓延してしまっている訳で、そんな馬鹿げたことは消えてなくなるべきだと思うのです。そんな訳で、今回のことも面白かったし、これからも飲食店にいった際はぼんやりしたオーダーを楽しみたいと思います。(笑)

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