半夏雨に思ふ。

令和2年7月3日 雨

半夏生に降る雨。

大人しくしていた梅雨前線がまたまた活発になってきたとかで、この週末は随分とまとまった雨になるそうです。半夏生の時に降る雨を半夏雨と呼ぶらしいですが、昔から田植えを終えて百姓が一休みできる頃、まとまった雨が続いて川の氾濫などが起こりやすい季節の雨で注意喚起の名前だそうです。ここ数年、夏から秋にかけて50年に1度とか、100年に1度の大雨や、生まれてこの方見た事がないほどひどい被害に見舞われる台風が毎年のように襲来しては大きな被害をもたらしています。避難所に逃げ込んだらコロナの感染が危惧される今、半夏雨があまりひどい雨にならないことを祈るばかりです。

工務店の使命。

二四節気の暦通りに降る雨に足並みを合わせた形のように、今日は朝から漏水関係の問い合わせや相談が事務所に相次いで入りました。私のiPhoneにも創業当時のずいぶん昔から仲良くさせていただいているお客様から電話が入り、私も緊急対応に出動したりしました。決して人様の困った顔を見るのが好きなわけではなく、人の不幸を喜んだりはしませんが、それでも豪雨や台風、地震などの自然災害に見舞われ度に私たち建築業界は否応なしに忙しくなります。因果な商売だと思うこともしばしばですが、今日のように緊急の水漏れで困っておられるお客様宅に行って、即日に問題を解決できた時は嬉しいものですし、それこそが地域に密着した建築会社の最も重要な使命ではないかなんて思います。

施工力こそが本質。

今日も改めて感じたのは、困り事の電話が入った際に、すぐに様子を見に行く事も大事ですが、そこで原因を解明したり応急処置を施していてこそ本当の価値があると思いました。被災現場を見に行ってえらいことですねと、同情したところで何にもならないですし、それから職人を手配しますと時間をかけてしまったら問い合わせから早い対応をしたところで大した意味はありません。現場に必要なのは施工力に基づいた経験と知識であり、実際に工事ができる力なのは誰しもが認めるところだと思います。地域の方が求めているのは、見に来てくれる人ではなく、直してくれる人なのです。

モノづくりの力。

先日のブログにも、建築会社、地域に根ざした工事店こそが時代の変化に押し流されることなく、長きにわたり事業を継続できやすい業態だと書きましたが、それは、地域に住む人のインフラやライフラインを支えている重要かつ不可欠な職種であるというのが非常に大きな要因です。自然災害等で多くの人が困ったときに、頼りになる存在であればこそ、その存在価値を発揮できるわけで、白いシャツを着てネクタイをしめた営業マンが束になっていても非常時には一切役に立ちません。本質的な価値を守り、多くの人に必要とされるようになるには、建築業はやはり、本質であるものづくりの力を蓄え磨くべきだと思います。

つくり手と住まい手の乖離。

しかし、本当に残念なことですが、現在の住宅業界は作り手と住まい手が直接つながって家を作ることが非常に少なくなっています。建売と言われる分譲住宅は、不動産販売に強みを持った会社が建てて、法律に従って10年保証が付加されていると建前上はなっていますが、現実は売りっぱなしでおしまいです。数少ない注文建築の分野では、大手ハウスメーカーと言われる広告宣伝と、営業力に長けた会社が大きなシェアを握っており、しかも、資本力があることを背景に安心をウリにしていたりします。神戸の震災の時もそうでしたが、被災者がハウスメーカーの営業マンに助けを求めても、屋根のブルーシート1枚かけられない、と嘆いていたのを今もよく覚えています。

顕在化し始めた圧倒的な職人不足。

大自然の大いなる力の前には私たち人間はあまりにも無力です。半夏雨も台風もただ黙って受け入れ、やり過ごすしかありませんが、そのリスクを回避するためには私たちのような作り手を育てる会社がもう少し増えていかなければなりません。朝の情報番組で大雨が降りそうな気配を前に昨年の台風で甚大な被害を被った千葉の被災地を取材していましたが、1年近く経った今も未だブルーシートをかぶったままの住宅が数多くあるとの事でした。圧倒的に減少を続ける職人、それを育てる会社が力を失った事により、被災地の復旧、復興が遅れており、これまで水面下で進行してきた職人不足が日本全国で顕在化し始めています。それを防ぐにはつくり手を育てる会社が販売力、その存在と価値の認知を広げる力を手に入れて、住宅販売会社やブローカーの様なハウスメーカー、ビルダーからシェアを取り戻すしかありません。

人材育成はマーケティングと表裏一体。

私が建築会社の経営を行いながら、古典的マーケティング理論を切り口にした研修や勉強会を主催し続けている理由はそこにあり、地域に根ざしたモノづくりの会社が自社の強みを磨き、それを広く知ってもらう力を身につけると同時に、建築会社の本質であるつくり手の人材育成を行える財務体質を整えてもらいたいとの想いを強く持っているからに他なりません。そして、先行投資でもある人材育成とマーケティングの構築は常に一体です。稼ぐ力を身につける事こそが地域を守る存在になれると考えています。そんな無料の勉強会を今月もオンライン併用で開催します。全国どこからでも気軽に参加して頂けますし、原理原則に則った商売の理論構築に向き合ってみる事で視野を広げ、視座を高めるきっかけを見出してもらえる様にしたいと思っています。お気軽にご参加ください。→第83回【元祖】職人起業塾改め「継塾」#無料オンライン開放


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