木と土と人。#目に見えるものと見えないもの

令和2年8月4日晴れ時々曇り

灼熱の現場へ。

毎週火曜日は着工中の新築中学校の定例会議の日となっており、今日も昼前から北区の現場へと足を運びました。このインターナショナルスクールの新築工事は私たちつむぎ建築舎と学生を含めた学校側とで共に力を合わせ子供たちにのびのびと、楽しく、そして健康的に学んでもらえる環境を作り出すとのコンセプトに則って、計画を進めてきており、今、まさにそれが実行段階に移っています。限られた工期での竣工を目指す中、担当の大工にとってはかなり厳しいプレッシャーもかかっているようですが、現場に行ってみるとカリカリしている風もなく、皆が楽しそうに物づくりに励んでいるのを見て、とても嬉しい気持ちになりました。

 DIY本格始動。

学校と言う建物の性格上、当然、住宅に比べて大きな空間が必要となるのですが、構造計算を駆使し、制作金物で接続の剛性を強めたりして、建物のボリュームの割にはとても線の細い、華奢で美しい架構の建物になっています。内外装とも国産の杉やヒノキ、サワラ等の美しい板で仕上げることになっており、私たちのような大工集団の会社にとっては作業自体がうれしく楽しい現場です。この8月に入ってDIY作業も本格化、今日現場に行ってみると大きな壁一面に学校関係者のアーティストによる壁画が描かれており、ストローベイルといわれる藁を土壁で塗り固める断熱、壁仕上げの作業が進んでいました。皆さんとても楽しそうに生き生きと作業をされていて、現場全体が「良い気」で満たされているような印象を受けました。建物の竣工後、ここで学ぶ学生さんたちもその「気」を受け取って充実した学生生活を送ってくれるのではないか、なんて想像してしまいました。

ストローベイル建築

ストローベイルと言う藁を積み上げて土壁で塗り固めていく建築手法は日本ではあまり一般的ではなく、耳慣れない断熱の手法ですが、もともとアメリカの開拓者たちが身近に、ふんだんにあった藁を建築資材として使い始めたのが始まりで、自然由来の環境にやさしい工法であることから、1990年ごろからアメリカでムーブメントが起こったとのことです。日本ではまだまだ施工実績は少ないですが、富山にあるストローベイル研究会では材料の販売とともに施工の指導も行っておられます。今回も、はるばる富山から神戸にお越しになり、材の手配と施工のサポートをしてくださっています。

日本ストローベイルハウス研究会HPはこちら→http://www.sakichi-k.jp/japan_strawbale.html

大事なのは目に見えないもの。

私は、自分自身の職人としての経験から、精魂込めて作り上げた建物には、作り手の想いが乗り移ると信じています。良い「気」が満ちた建物は、そこで暮らす人たちの気持ちに少なからぬ影響を与えて、気持ちよく日々を過ごせることに大いに寄与すると思っています。それが私が大工の育成に注力し、自社社員大工による施工にこだわっている最も大きな理由です。そして、建物を構成する素材にもそれは当てはまり、気持ちの良い素材を使って建てられたものは良い気が満ちるに決まっています。現在、現場で大工の造作と並行して進んでいる藁や土を使ったDIYは大自然の恩恵を受けて育まれたものそのものを利用しており、まさに良き気が溢れ出しています。良い建築は設計と施工とそして気持ちが大事。本来の建築現場はまさに見えないものの価値が具現化される場だと思っています。このようなプロジェクトに携わることができた素晴らしいご縁に恵まれた事に心から感謝します。現場スタッフとともに良い気に満ち溢れた空間を作り上げたいと思います。


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