優先順位の落とし穴。

令和2年8月20日 快晴

静岡にて。

静岡に来ています。明日の第15期職人起業塾の最終講がコロナの影響で東京から静岡に変更となり、期せずして、先月の空間工房匠屋さんの協力業者総会での講演に続いて二月連続で静岡に来ることになりました。大体、昨年までの10年間は毎年、新富士からのルートで富士山頂に登拝し続けてきましたし、静岡の繁華街である両替町や神話の舞台である草薙等に飲食店の工事をさせて頂いたクライアントも多くあり、静岡は非常に縁の深い場所になっています。

疎開。

東京で開催していた第15期職人起業塾は、期の途中からコロナウィルスの蔓延拡大のあおりを受けてズームを使ったオンライン開催に切り替え、接遇、コミニケーション講座は時期を延期するなど様々な手を打ってみましたが、ここ最近の東京でのコロナ第二波の感染拡大を受けて、東京における対面での講座の開催を諦め、静岡に疎開して再開することを決めました。茨城や埼玉の北関東から参加されている塾生たちには開催場所が遠くなり、随分と負担をかけることになってしまいましたが、東京には行きたくないと、言われる方が多く、苦渋の決断をすることになりました。ただ、オンラインでもなく、中止でもなく、無理を押しての東京開催でもなく、これ以上の延期もせずにこのタイミングで開催場所を変えた選択は悪くなかったと思っています。

人生は選択。

「人生は選択の繰り返しによって作られる」と言われますし、私も全くその通りだと思っています。今の自分が置かれている状態は、15年前からの選択の積み重ねの結果だし、この15年間も絶えず毎日のように選択を繰り返して軌道修正を行った結果、よくも悪くも今があると思っています。もちろん、私自身が正しい選択ばかりを行ってきたわけではないし、時折間違った道を歩みかけては、引き返した覚えも少なからずあります。起業して20年経った今、これまでの選択、、決断の歴史を振り返って考えてみると、目の前、足元だけを見て選択した際は誤った結論を出しやすく、未来を見据えての決断は後に良い結果に結びついてきたように思います。

優先順位への違和感。

物事を判断、選択する時に人は状況判断や重要度、緊急度を鑑みて決断します。その基準の1つに「優先順位」と言うものがあります。最近、スタッフや塾生と話す中で、その優先順位と言う言葉がしばしば耳に付き、ちょっとした違和感を感じることが少なくありません。行わなければならないタスクを並べた時、期限や重要度などを鑑みて、優先順位をつけるのは誰しもがよく行うことで、それ自体が別段悪いことだとは思いません。特に大工のようなものづくりに携わるものは、一つ一つの工程を積み重ねていかなければ次に進むことができず、優先度を明確にさせるのは非常に重要な能力だと思っています。

今の優先順位と、未来からの視点。

しかし、「今の」優先順位に集中するあまり、全体的な、もしくは長期的視点における優先順位をすっかり鑑みられなくなってしまうと、目先だけの近視眼的な選択を繰り返してしまうことになりかねません。上述した私のこれまでの経験則からすると、失敗するパターンに入り込むことになってしまいます。世の中はどんどん複雑さを増していると言うふうに言われますが、物事を見るときは、常に両面から見るようにしなければ、隠れたリスクに気づく事がないまま、単純で短絡的な選択を繰り返し、本当に重要なものを見失ってしまうのではないかと思っています。

今だけ思考の優先順位。

世の中はすべからず表裏一体である。と言われますし、古から学び継がれ、日本人の思想、、商売観に大きな影響を与えた儒学の中庸には右でも左でもなく両方の真ん中の道を選択することこそ神の道であると書かれています。今まさに注力して行うべき事を明確にする緊急度と重要度の整理は必要ですが、緊急性の低い重要なことを全て棚上げでしてしまうと、未来に対する投資をないがしろにし、後から大きく後悔することになってしまいます。毎日忙しい日々を過ごす中、長期的な視点で重要な事に時間を割くのは簡単ではありませんが、「今」に特化した優先順位をつけて単純な思考に陥ってしまうのは非常に危険だと思うのです。

プライオリティー・バランス。

工期の遵守と品質の確保、事業所の利益と顧客満足、スタッフの待遇改善と内部留保、目の前の実務と未来への情報発信、今日行うべき作業と環境整備、理念と経営。仕事をしていると一見相反しているように見えて、両方ともを成り立たせなければならないものがたくさんある、と言うよりもこれらはすべからず両立させなければなりません。責任ある選択とは常に、両方やると言う選択に他ならないと思うのです。行き当たりばったりで仕事をするよりは、優先順位を整理した方が良いとは思いますが、優先順位と言うのは緊急性と重要性、短期的な期限と長期的な方向性の両方を鑑みて、決して偏ることなくバランスをとりながら選択するようにしてもらいたいと思うのです。自戒を込めて。


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