誰か死んだらええのに。#建設業界の闇

令和2年8月25日 快晴

夏真っ盛りかよ。

つい遊びに行きたくなるような夏らしい天気が続きます。とは言え、お盆を過ぎると朝夕の風は少し秋っぽくなるもので、毎朝のルーティーンである愛犬との散歩に近くの河川敷に出ると、蝉の鳴き声も心なしか少なくなったような気がしました。私が子供の頃は、お盆が過ぎたら海に入ったらダメだと言われており、クラゲが増えるからと言うのもありますが、そういえば海から上がった後は少しひんやりしていたような気がします。そう考えれば、まだまだ真夏日が続く日本の気候はずいぶん変わってしまったのかもしれません。今日は大詰めを迎えつつあるインターナショナルスクールの現場定例会議の日、良い天気の下、車を走らせました。

職人全員一人親方労災加入。

昨日、とあるところから建設業界の労災の仕組み?習慣について質問がありました。なんでも、内装の職人さんが従業員を雇うことになり、社会保険等の制度整備をするにあたって、社労士さんに相談したところ、労災をどうするかと聞かれて、親方も、従業員も全員が土建組合に入って1人親方特別加入の労災保険をかけると言ったそうです。私を含め、事業主は労災保険の対象とならないので、現場で作業員として働くなら、1人親方特別加入制度の労災に入るべきのは当然なのですが、従業員までその保険に入るなんて聞いたことがないと、その事業主に言ったところ、怪我をしても元請けが労災を使いたがらないので、違う現場で怪我をしたことにして1人親方保険を使うんです。と答えられたとのこと。それを聞いた社労士さんからビックリして私のところに電話がかかってきました。

元請けの労災は使えない。

社会保険加入の手続きのサポートをされている社労士の先生から、建築業界の常識ってそんな事になっているんですか?と訊かれて、私としては、「労働災害保険は現場で働く職人を守る最低限の保障であり、元請け責任において加入するものなので、そんなバカなことをする必要は無い。」とキッパリと答えておきましたが、もしも怪我をした時に労災を使ってくれと元請け会社に言うと嫌われて、仕事がもらえなくなるからそんなことはできません。とその内装職人の親方は言われていたそうです。

誰か死ねば良いのに。。

私としては、これにはさすがにイラッとして、人を人とも思わない、職人を道具としか見ていないような、そんな元請けの仕事などやめてしまえ、技術だけあれば職人不足の今の時代、いくらでもまともな仕事ができるし、まともな元請け会社はいくらでもあるから紹介します。とまで言いました。しかし、その内装職人の親方は今の仕事、現場でそれなりに満足しているし、従業員の分まで1人親方の労災保険に入るのは確かに負担だけど、ことを荒立ててまで動きたくないと私の申し出は断られました。ただ、それなりに納得できないし、憤りも感じていたようで、「誰か現場で人が死んだらいいのに。」そんな大事故が起こったら少しは改善されるだろうと思いながら働いていたとの事でした。

親が泣いて止める職業。

現在、私の周りには、建設業以外の他業種に負けないような社会保障をしっかりと職人にも与えて、若手職人の育成に取り組まれている経営者がたくさんおられます。当たり前ですが労災が起こったら知らんふりをするような工務店経営者は見当たりません。一般社団法人職人起業塾の活動は職人の社会的地位の向上をミッションに掲げているので、そこに共感してくれた人ばかりが私の周りに集まっているので当然と言えば当然ですが、建築業界全体で見ると、大手ハウスメーカーを筆頭にまだまだそんな意識を持っていない事業者が圧倒的多数なのが現状のようです。これでは、若者が職人になりたいと言い出すと、親が泣いて止めるのも致し方ないのかと思ってしまいます。

職人よ目を覚ませ!

情報革命が進み、誰でも自由に思ったことや感じたことを発信できる世の中になり、時にヒステリックだと思ってしまう位、法令遵守、コンプライアンスにうるさくなった今の世の中にあって、建設業界だけが未だ深い闇の中に閉ざされている理由としては、短期決算での利益重視に偏った、販売営業会社に成り下がった大手ハウスメーカーやビルダーの今だけ、金だけ、自分だけ思考がはびこっているのはもちろんですが、絶望的な若手不足に陥っているにもかかわらず、いつまでたっても業界の改革が進まないもう一つ重大な理由は職人の意識の低さというか、諦めにも似たセルフイメージの低さがその大きな原因だと思うのです。ただ毎日安心して飯が食えればそれでいい、家族と不自由なく暮らせれば満足だ。と、未来を見ることなく、自分の可能性に目を閉じ、誇りを忘れてしまった職人たちはもう一度、自分達が生み出せる価値に気付き、道具や奴隷の様に働く為に生まれてきたのではないと、目を覚ますべきだと思うのです。

 

自助の精神に気付く場

一体何のために、誰のために、命の危険さえある建設現場で汗水流して働くのか。今一度、自分だけ、自分の身内だけが良ければそれで良いと言う思考を見直してみるべきだと思うと共に、そのようなことを考える機会、自分の持つ無限の可能性に気付いたり、未来を切り開く行動を起こす練習をする機会を増やしていく、環境整備が必要だと考えます。私達が行なっている職人の意識改革の取り組みは、まだまだ始まったばかりであり、小さな影響力しか持たないですが、建築業界をこれ以上、若者に見捨てられ、衰退させないように地道な活動を進めて行くのが我々の役割ではないかなんて改めて思わずにはいられません。モノづくりの本質、職人を守り育て、そして輝ける業界は職人自身の自助の精神があってこそ。引き続き微力ながら気張りたいと思います。明日も九州で若手大工育成塾、張り切って行ってきます!


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