目的の細分化。#複雑な時代だからこそシンプルに。

令和2年12月17日曇り

寒波襲来

今週に入って、冬らしい曇天が続き本格的に寒さが厳しくなってきました。なんでもこの冬1番の寒波が北の方から押し寄せてきているらしく、温暖な瀬戸内にある神戸も随分と冷え込みました。寒さが大の苦手な私としては厳しい季節になってきました。本日は第88回目となる私が主催している無料の勉強会、継塾の開催日でした。先週までは小春日和が続いていたこともあり、懇親会は3階でリニューアル工事をしている完成間近の多可町町ヒノキとオーダーメイドキッチンのショールームのお披露目も兼ねてテラスで寒中バーベキューをやろうか、などと言っておりましたがそれどころではない寒さにあえなく諦めて冬らしく鍋パーティーに変更しました。やっぱり冬は暖かい鍋に限ります。(笑)

力みすぎか、、

今回で88回目とおめでたい感じの開催となった継塾は年末の忙しい時期にもかかわらず多くの方にご参加いただきコロナに負けじと強行した懇親会も含めて今回も大いに盛り上がりました。令和2年の最後の会と言うことで、今日のテーマは1年の振り返り「何を求め、何を手に入れたか」としました。今年の振り返りをすることで、もうすぐやってくる令和3年の新しい年を迎えるにあたって、大概の人が年の初めに行う目標設定がうまくいくように、少しでも寄与できればと思いながら勉強会の進行に努めました。ただ、1年の最後と言うことでコロナの影響で大きく世界が変わってしまった今年を振り返りながら、昨年末に先行きが全く見通せなくなる令和の時代を生き残るには、ブランディングが欠かせないと繰り返し語っていたのを改めてシェアして意識喚起をするのに時間を取りすぎて、各人の発表の時間が取れず、消化不良を感じられた方もおられるかも知りません。力みすぎて空回り、気をつけなければなりませんね。(汗)

今年の目標とその目的。

「今年1年を振り返ってどうでしたか?」と言う質問はこの時期になるとよく耳にする言葉です。今回は参加者の皆さんが年頭に立てた目標に対して、達成したこと、積み残したことを聞くだけではなく、もう一歩踏み込んで、目標設定のもとになっているはずの「目的」について考察をしてもらいました。例えば、私の場合、今年の目標の1つに、「顧客との関係をオンライン、オフラインの両方をシームレスにつないだコミニケーションが取れる場作り」というものがありました。今年の初めからスタートした社運を賭けたリブランディングの取り組みの大きな柱である地域コミュニティー事業「つない堂」の中心的な事業である会員制度を軌道に乗せたいとの強い想いでした。担当の尾上さんは熱心に取り組んでくれて、一緒に立てたロードマップに忠実に、地域で活躍する専門家の取材やその配信など、一生懸命取り組んでくれました。

目標達成どころかスタートライン

その目標を掲げた目的は、もちろん我々が事業を通して目指す先、理念として定めた「四方良しの世界を作る」です。一年を振り返って見ると、自分で考えていたよりも新規事業を軌道に乗せるまでの課題は多くあり、それらを試行錯誤しつつ、一つずつ解決しながらの取り組みは(コロナの影響もありましたが)当然、計画よりも進捗が遅く残念ながら私がイメージしていた目標への達成には遠く及びませんでした。冷静に成果を見直してみたら一年かけてやっと、ショールームも完成し、事務所のワークスペースをコワーキングスペースとして解放、営業できる体制が整ったところで、漸く本格的なスタートラインに立てた様に感じています。

目的の「良し」とはなんぞや

あまりの不甲斐ない結果に、自己嫌悪に陥りそうになっておりますが、気持ちを下げたところでどうなるものでもありません。大人は検証と改善を考えるものだと気を取り直して、もう一度、コロナ思考(*逆転のパラダイム)で前提条件から考え直してみる事にしました。目標設定は目的の達成の為であり、私の目的は四方(私達に関わる全ての人)を良くする事です。「良し」と言うのは状態を表す言葉で、外観での良いと、内観での良いの両面があります。外観の良しはWeblioで引いてみると、①りっぱだ。上等だ。②美しい。きれいだ。③すぐれている。善良だ。賢い。④高貴だ。身分が高く、教養がある。上品だ。⑤上手だ。巧みだ。すぐれている。⑥栄えている。豊かだ。幸せだ。⑦感じがよい。快い。楽しい。好ましい。⑧ちょうどよい。適当だ。都合がよい。ふさわしい。⑨親しい。親密だ。などの他者評価の部分が多分に入り込みます。もう一方、内観の「良い状態」とは?を考えた時、私は何事にも囚われず自由である事ではないかと思ったのです。そういえば、「人間の最も根源的な欲求は自由である。」とのヘーゲルの言葉もありました。

目的にダイレクトな目標設定。

そんな風に考えれば、意外とシンプルだと思い込んでいた目的も細分化すれば様々な側面があり、その達成を目指すならば、それぞれについて目標を設定し具体的な行動に移した方がいいに決まっています。要するに、私が目指したのは私を含めて私と関わりを持つ皆さんが、自由で、自立した、快適で、健康な、美しい、豊かな状態を感じる事だと改めて気づいた次第です。そんな風に考えれば、目標設定をするにあたり、事業の方向性とかKPIとかを設定することも大事ですが、直接、目的に対してダイレクトにアプローチすることも同時に行ったら良かったのではないかと思いました。私は自由を、スタッフには自立を、お客様には快適さを、家族には健康を、モノづくりには美しさを、会社には豊かさをそれぞれ手にして貰えるような目標の立て方をすれば、本来目指す先にもっと実感を持って近づけたのではないかなんて思うのです。

本当の目的は?

今日のワークショップの中で、参加者の皆さんにも同じプロセスで目的の細分化をしてもらったところ、宍粟で大工工務店を営んでいるM社長は「目的はずっと大工技術の継承と大工の地位向上だと思って目標設定をしてきましたが、細分化をして気付いたのは、本当は自分が事業を継承した父親である会長に対する親孝行がしたかったのではないかと気づきました。」と話されておられました。それならば、事業計画とは別に、直接親孝行をするような目標設定をすればいい訳で、もちろん、事業で結果を残して会長に喜んで貰うのも良いのですが、それ以外でも会長に喜んでもらう術はゴマンとあるわけで、縁起でもないですが、昔から「親孝行したい時にはなんとやら、」と言いますし、さっさと目的に対して直接のアプローチをしたら良いと思いますし、するべきです。

複雑な時代だからこそシンプルに。

目的と目標は違います。目的は目指す先であり理想の実現です。目標はそこにたどり着くためのマイルストーンに過ぎません。その重要度には大きな開きがあるはずですし、ごっちゃになったり、ひっくり返ったりする訳が無いように思いますが、実際は目的を見失った目標の達成に血眼になってしまったりしてしまいます。あり得ない様に思いますが、実際の仕事は時間の制限や限られた費用内で行わなければならないなど、様々な条件が折り重なる中で行わなければならず、あれこれと心を配る間に、本来の目的を見失ってしまいがちなのが現実です。感じるのでは無く感じろ、と感性を見直す必要性が叫ばれる、不安定で不透明、曖昧、複雑な混迷の時代を生きる私たちは、目的を見失いやすい状態に陥っているのかも知れません。そんな時代こそ、心に直接ビンビン響くような、目的にダイレクトにアプローチする計画を立てる必要があるように感じています。もうすぐやって来る新しい年を迎えるにあたり、少しでも参考にして頂ければ幸いです。

 


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