令和2年12月22日晴れ
木づかいの勉強会。
今週いっぱいは北極圏から広がってきた最強寒波の影響でずいぶんと寒い日が続くとの天気予報でしたが、今日の神戸は気温は日中でも10度にも達しませんでしたが、それでも暖かな日差しが差すいい天気で、幾重にも着込んだ上着を脱いで、セーター1枚で過ごせる位の小春日和になりました。そんな今日は、午前中から設計と大工のスタッフを引き連れて、ひょうご木づかい王国学校の大工を内製化している工務店メンバーと一緒に株式会社宮下さんの新築された物件の完成見学会にお邪魔して、兵庫県の地元の木材と、ひょうご木づかい王国学校で提携している屋久島から送られてきた屋久島地杉を使った内装インテリアや、造作家具の勉強をさせてもらいました。
地財地消を推進する団体活動。
ひょうご木づかい王国学校はもともと兵庫県林務課が作ったハーバーランドのモザイク内にあった地元産木材利用の啓蒙活動のための施設の名称で、創設から1年が過ぎ、林野庁の助成金が枯渇した段階で、運営を民間に移譲したいとの申し出を受け、私たち工務店と、関連するメーカーや材料屋さんに加入いただいて、資金を出し合って運営を続けています。これまで地元産木材を使ったワークショップや、イベントを主催したり、メンバーの事業者が行うイベントの告知を行いながら、木の家に暮らす良さをSNS上で配信したりして、興味を持たれたエンドユーザーさんに事務局の池川さんが第三者的な立場に立って、工務店をアテンドするなどのサービスも行っています。
山とつながる活動
今年は、当初の予定では啓蒙活動のイベントを活発に行う予定になっておりましたが、新型コロナの影響で残念ながら全くイベントを行いませんでした。その代わりにと取り組んだのが、オリジナル商品の開発と、その拡販のための研修会の充実です。先日ようやく完成にこぎつけたつむぎ建築舎のショールームに使った多可町ヒノキの産地である兵庫県の中部にある多可町の山に行って、樹齢100年でもあまり大きく育てるのに厳しい環境にある植林地を見たり、丁寧な低温乾燥庫での乾燥状況や、製材、完成品への加工まで1連の工程を見させてもらったり、11月には屋久島でも同じように生産者さんとつながって様々な話をお伺いしたりしました。
屋久島の杉を使った家。
そのような取り組みは、すべて我々がエンドユーザーの住まい手に地場産の材木を使う意味と意義を熱く伝えるための取り組みで、実際に建てる家でそれらの材料が使われて初めて実を結ぶことになります。今回、株式会社宮下さんで建てられた新築住宅には、屋久島から送ってこられた屋久島地杉の1枚板のカウンター材がテレビボードや洗面台などに使われており、また、壁にもヤクイタが貼られたりと、ひょうご木づかい王国学校で取り組んできたことが、住まい手への価値となって昇華した事例になっておりました。
自分だけよければ良い家づくり。
兵庫県の地元の木材を使う啓蒙団体と屋久島に何の関係があるのか?と疑問に思われる方もおられるかと思います。地産地消から外れているじゃないか、と。確かにそれもその通りで、我々はもっと兵庫県の杉やヒノキを熱心に使うべきと言う見方もありますが、大事な事は何のための地産地消か?と言うその問いにあると思っています。そもそも県産材を使いましょうと言うのは、自分だけがよかったら良いのではなく、地域の環境も考慮して家を建てませんかと言う提言です。実際、現在の住宅業界で使われている米松やホワイトウッドなどの木材はほとんどが外国から輸入される安い材料が中心で、コストだけのことを考えると、外材の方が安いのが現実です。しかし、日本の国土の70%を占めるといわれる山に植えられた杉やヒノキを使わなくなったせいで、山は荒れ果て、土砂崩れのリスクが高まったり、伐採されるべき樹齢に達した木が切られないことから花粉をまき散ら子ことになっています。住宅は地域に根ざすもの、その地域が荒廃していけばせっかく建てた家での暮らしも良いものにはなりえません。家は地域と共にあるのです。
屋久島の杉を使う理由。
自分だけ良ければ良いわけではない、との観点から考えれば、地産地消もあまり凝り固まると自分が住む地域さえよければ良いと言うことになってしまいます。離島の屋久島に植林された杉はそもそも党内で消費されるだけでは供給形になってしまいます。本州に供給することを想定して植林された山は堂内の将棋だけでは循環する事はありません。しかし、日本全体的に安い外国産木材に市場は占領されており、原木を流通させたところで会場での運搬費を考えると山に収益が還元される事は無いのが現実で、それを解消すべく考えられた仕組みが屋久島内でフローリングや羽目板に製品化して、付加価値をつけて販売することで林業家にも収益を歓迎し循環型ビジネスモデルとして成り立たせようと言う屋久島共同宣言の取り組みで、同じ志を持つ仲間として、私たちひょうご木づかい王国学校でもその共同宣言に調印してヤクイタの供給を受けることになりました。兵庫県産材を使うのと全く同じ価値観、世界観を持った取り組みなのです。
ちなみに、
株式会社四方継、紡ぎ建築者の事務所では、床一面に屋久杉由来のDNAが生きていると言われる屋久島の地杉で作ったフローリング「ヤクイタ」が貼っています。日本国内のすぎの分布の南限と言われる屋久島で育った杉は本州の杉に比べて、余分が多く、匂いも強く、防虫効果も耐水性も高いと言う試験結果が出ています。見た目も色や木目がやっぱり少し違い、目にする人にダイナミックでワイルドな印象を与えます。私自身、非常に気にいっていますし、多くの方に知ってもらい、使ってもらいたいと思います。そんな一般的には流通していない特集で貴重な材料を取り扱えれるようになったのは非常に嬉しいことですし、ひょうご木づかい王国学校の活動を続けてきて本当に良かったと思っています。興味がある方はいつでもご覧いただけますのでお気軽に遊びに来てください。(笑)
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