大工のリクルーターは18歳大工 #オレ達に明日がある!

令和2年11月12日 晴れ

多可町産ヒノキのショールーム

12月も半ばに差し掛かる週末。このところ毎週土日は打ち合わせや現場確認など、ぎっしりと予定が詰まっており、分刻みのスケジュールをこなしておりましたが今日は久しぶりに一切、外出の予定もなく1日中事務所に篭りきることが出来ました。先月から神戸市のチャレンジ補助金を活用させてもらって、オンラインでもオリジナルキッチンのフィッティングが出来るようにと改装工事を行っていた、3階ショールームがようやくほぼ完成に近づいてきて、今日はほとんどの時間をその兵庫県の地場産材、多可町桧を天井と床に貼った部屋で、精神を落ち着ける効果があるといわれるヒノキの香りに包まれて1日過ごしました。来週末には全て完成して、リニューアルオープンしている予定ですので、近くにお越しの際はぜひ癒しの空間を体感しに来てください。

仕事の中心はコミュニケーション

一日中事務所にいたからといって、(当然ですが、)別段、暇なわけではなくて、早朝7時から大工スタッフとの1on1コーチングをスタートさせたのを皮切りに、zoomを使ったオンラインでのミーティングや、年末恒例のスタッフとの個人面談等々、最終8時までぎっしりと予定が詰まっており、しゃべったり、聞いたりを延々と繰り返すコミニケーションの1日でした。企業は人なり、とよく言われるように、事業所における組織運営の最も重要な基礎は働き手が満足して働ける環境作りであり、その根本である人事制度の構築とその運用です。そして、人事制度の最も重要な三本柱は賃金規定、等級制度、評価制度であると言われており、私にとってスタッフとの個人面談は単なるお悩み相談の時間では無く、リアルにその人事制度の運用の場であり、非常に重要な意味を持っています。

課題を知る、見つける。

今日も一人当たり1時間以上もたっぷりと話込み、年頭に掲げた目標に対する進捗状況の確認や、やりたい仕事ができているか、社内の問題点、個人的な問題点はどのようなものか、それを私に改善できるか等々、役割と責任を全うしているかの確認と同時に、働く環境を整えるためのヒアリングを出来るだけ丁寧にと心がけて行いました。ま、聞いたからといって私が全て解決できる訳ではもちろん無くて、困ったねー、と、一緒に頭を悩ます事も少なくありませんが、4半期毎に全社員と面談を行う中で、次の面談の際に同じ事で悩まなくても良いように、少しでも改善出来る様に努力をしています。職場環境の改善にはキリがなく、しかもその内容は多岐に渡ります。先は長く、皆に納得、満足してもらえる様にするのは非常に険しい道ではありますが、とにかくまず、努力すべきことは何なのかを知る事が重要で、その為にも改まった場でのコミュニケーションがとても大事だと思っています。

若手大工リクルーター活躍中

そんな面談を繰り返す中で、今日は少し嬉しい事がありました。新卒1年目のカズキと話している中で「次の新卒採用を出身の県立工業高校の建築科に行って、先生に大工の良さを熱く語って、後輩をスカウトしてくる様に」と、以前から彼に託している事もあり、「その後の採用計画はどうなっている?」と聞いてみたら、再来年卒業の後輩が、大工になりたいとつむぎ建築舎への就職を考えているみたいです。と嬉しい報告をしてくれました。また、同級生でゼネコンに就職した友人が、仕事があまりにも面白くないので(もはや!)転職を考えており、弊社(というよりカズキにかもですが、)に興味を持っているみたいです。と、少し遅めの第二新卒の話も2件あります。と報告をしてくれました。大工の採用と育成は私達つむぎ建築舎の未来を拓く重要な事業であり、若者が興味を持って、就職したいと言ってくれるのは私にとって非常に嬉しい事で、いつでも面接するからと、機嫌よく答えておきました。(笑)

職人が働く姿を見て憧れる

若者が集まってくれるのはとても嬉しい事ですが、それよりも私が本当に嬉しかったのは、建築科の高校を卒業して、新卒で大工見習いになったカズキを見て、友達が、面白そうやなー、良いなーと大工に興味を持ってくれていることです。今日の面談でも役割と給与が一目で分かる等級表を見せて、来年はジュニア層からステップアップして職人層のレベル1に、4年後は新卒5年生のタクミ先輩と同じ様にリーダー層のレベル1に等級を押し上げていけ!とハッパをかけましたが、本人もすっかりその気になっており、「必ずできるようにがんばります!」と明るく答えておりました。その調子で順調にキャリアアップを重ねると、地方自治体に就職するより生涯所得は多くなり、しかもお金が欲しい若い時に他業種に比べて稼げる様になります。ただ、高卒の大工の見習いから、役割等級をランクアップしていくには、ただ単に現場作業を熱心に行っているだけではなく、技能検定を受けたりして技術を身に付けるのはもちろん、建築士の資格を取得したり、お客さんや協力業者の職人さん達とのコミュニケーションを円滑に行えるスキルを身につける事も重要です。決して低いハードルではありませんが、そこは職人向けの研修事業を行なっている一般社団法人の母体の会社ですので、万全のサポート体制を整えています。(^ ^)

オレ達には未来がある!

創業時から職人の地位向上をミッションに掲げて来た我々が目指したのは、簡潔に言えば、若者に大工になりたいと思われる環境を整えて、それを若者に伝えて受け入られる状態を整える事でした。そのために安定的な仕事量を確保できるように、マーケティングやブランディングに取り組んできたと言っても過言ではありません。若者に入職してもらうには、今現在働いている職人が、未来に希望を持ち生き生きと楽しそうに働いていることが絶対条件です。また、1年生のカズキが弊社に入社した最も大きな理由の1つに、私の旧知の知り合いでもあり、お客様でもある彼のお父さんが「大工はいいぞ、大工になれ」と強く推薦してくれたことがその背景にありますが、それは就職先として最低限の条件である、職人の正規雇用とキャリアプラン構築を行ってきた成果に他なりません。地味で成果に結びつくのに時間がかかる人事制度を起点とした組織運営を地道に継続してきた結果だと思っています。若者が集まる業界、事業所には未来があります。18歳のリクルーター、カズキに「なんて大工って仕事は素晴らしいんだ!」と感じてもらい、後輩や友達に熱く語ってもらえるような環境をさらに整えていきたいと思いました。カズキ、頼んまっせ!(笑)

 

 




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協力業者会って必要ですか?

令和2年12月11日晴れ

早めの打ち上げ。

昨夜は九州筑後での若手大工育成プロジェクトの講座終了後、来週は年末が迫ってきて予定が詰まっていることもあり、少し早めの打ち上げと称して事務局の方々と食事に行くことになり、当然最終の新幹線には間に合わず博多のお気に入り温泉宿に泊まることになりました。建築業界の未来を見据えて、若手の職人を育成する必要性を強く感じて、実際に活発な活動されている「人にやさしい会を考える会」の事務局の皆さんは、高い志と、理解したこと、やらねばならないと感じたことを愚直に実践できる素晴らしい方々で、本質に真摯に向き合う姿を見て、私も常日頃から大いに刺激をもらっています。昨夜も熱く、楽しい素晴らしい時間をいただきました、心より感謝しています。

協力業者会の必要性

懇親会場の居酒屋に向かう道すがら、そんな事務局の方々から突然質問を受けました。「塾長の会社でも業者会をやっておられるのですか?」と訊かれたのは、以前から協力業者さんを集めて会合を開きたいと思いつつ、未だ実現させていないのを、なんとかせねばと考えてヒントを探されていたようでした。私が一般社団法人で研修講師やセミナー事業を手掛けながら、本業は工務店をやっているように、一般社団法人 人にやさしい・・・の事務局の皆さんも本業は建材商社、いわゆる流通店を断熱や外構の工事も含めて販売、受注されておられています。近年、職人不足の顕在化につられてか、材工共で受注する案件が増えているようで、新たな職人さんとの取引を始めたりもあり、自社で発注する工事を施工する職人の意識レベルを揃える必要性を強く感じられている様でした。

何のための会合か?

私達、株式会社四方継では創業当時のかなり前から、年末年始に懇親会をメインにして、協力業者さんに集まってもらう会合を開催してきました。10年程前に、もっとしっかりと繋がりを深めたいとの想いで組織化を図り、当時、「四方良しの会」と命名して一年に二回、定期的な会議の場を持つ事を始めました。その際に最も気を付けた事は、私自身職人時代に大手ハウスメーカーの業者会に強制的に参加させられて、面白くもない、為にもならないくだらない話を延々と聞かされ、居眠りをしていた経験と同じような事だけは絶対にすまいと言う事で、そのために主催者側のこちらからの情報提供やお願いや規則の押し付けをするのではなく、業者さんの言葉に真摯に耳を傾け、自分達の身を正す事でした。説明会として開催したキックオフミーティングの際に私が協力業者の皆様に伝えたのは、「我々は決して自分達だけが良ければいいとは考えない。お客様も我々も業者さんも、そして地域社会や業界全体が良くなる様に考え、行動したいと思っています。」と、現在の理念と同じ目的を熱く語りました。

在り方を示すところから。

その上で、皆が良くなっていくように必要なアクションをみんなで考えてみんなで実践と検証を繰り返すプロジェクト会議を立ち上げたいと訴えました。まず初めに協力業者の皆さんに私がお約束したのは、弊社との取引で絶対に赤字の工事はさせない。発注書を交わした後でも、現場の段取りが悪い等で思うように工事が進まず、発注金額を割り込むような事が有れば、かかっただけ請求してください。と、私たちの関係が元請け対下請けではなく、対等な立場であると明確にする事でした。その上で、業者さんに対してあれこれとお願いや押し付けをするのではなく、まず我々に対して改善点を忌憚なく言ってもらいたいと、スタッフを交えたグループディスカッションでの我々に対するダメ出し大会を行ったのが、四方良しの世界を目指すプロジェクト会議の皮切りでした。今年は残念ながらコロナの影響で中止、延期を繰り返して開催出来ていませんが、それ以後延々と四方良しの世界を作ることを目的にして毎年二回の会議を続けています。

直感を信じろ。

私自身の協力業者会の立ち上げや運営の経験談を披露しつつ、相談を受けた協力業者会発足の担当者さんには一刻も早い段階での企画のまとめ上げと、早期の業者会の立ち上げ、開催をオススメしておきました。その方は、運営の方法論や出席してもらう人選、どのような内容で行うべきかのコンテンツ等、随分と考えなければならない事が山積しておられる様で、そろそろ始めなければならない、でも準備も整っていないのに見切り発射は出来ないと悩まれているご様子でした。私は、考える程人は動けなくなる。人が動くのは感じて心が動く時である。との感性哲学論を紹介して、直感的にいつ開催するのが良いと思いますか?と問いかけてみたところ、来年の2月だと思います。との返答を貰いました。じゃあ、2月開催を目標にして逆算してスケジュールを立てて進めていきましょう!と勢いだけで業者会の発足と第一回目の開催が決定しました。(笑)

職人の立場に立って考える。

実はワタクシ、これまで結構な頻度で建築会社の協力業者会、総会、安全大会で講演を依頼されており、全国各地の工務店、リフォーム事業者主催の会合で話させてもらっています。別に講演業を生業にしている訳ではないので、積極的に売り込んでいる訳ではないのですが、口コミで伝えられて、遠方からも多数のご依頼をもらいます。その理由を聞いてみると、よくありがちな元請けの言葉を代弁してあれをやれ、これをやれと職人たちを縛り付けるタイプの講演ではなく、職人の立場になって自分たちの価値を最大限に生かすにはどのようにすべきかと言った職人目線の講演やレクチャー、もしくは厳しい問いかけを行うかららしく、珍しさもあって職人さんや業者さんには強い刺激があるようで、居眠りをされる方は殆どおられません。私が昔、毛嫌いしていたように職人さんは強力業者会に対してアレルギーを持っておられる方が少なからずおられます。前述の担当者さんが新たに協力業者会を立ち上げるに際して悩んでいた理由の一つでもあり、不肖私がお手伝いに行きますよ!と珍しく自分から売り込んでおきました。明確な目的を持ったいい業者会が立ち上がることを祈っています。(笑)


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