令和2年12月23日 晴れ
風の時代
水曜日、つむぎ建築舎設計部は定休日。私はいつも通り朝活からのスタートで今朝も夜明け前に起きだして、ゆっくりと白んでいく空を見ながらBNIのビジネスミーティングに参加しました。6時半のスタート時点ではまだ真っ暗だった空も2時間後の終了時にはすっかり明るく日が昇っており、日の出と共に1日が始まる感があります。良いことが起こる予感一杯で1日のスタートを切りました。
占星術の世界では、なんでも今日から地の時代から風の時代に変わったそうで、250年に一度のパラダイムシフトが起こるらしいです。占いにそんなに興味を持っていない私としては、ふーん、という感じで聞いておりましたが、朝の情報番組のコメンテーターに田坂広志塾長が登場してズバズバと本質に切り込んでいくコメントを発しているのを見て、あ、風の時代になったのだと感じました。私も何か新しいことにチャレンジしてみたいと思います。
明るい見通し
昨夜は顧問先である宍粟の山間にある工務店の全体ミーティングに参加してきました。mtgを終えてから、社長に少しだけ私が使っている資料を差し上げて提案スキームのアドバイスなどをしてから帰途に着きましたが、自宅に戻ったのは午後11時を回っておりました。出勤日数も残業時間も一切制限が無く、働きたいだけ働ける経営者ってお得です。(笑)
今年最後となるその会社の全体ミーティングでは社長が今年の振り返りと来年に向けての見通しを話されて、まずは足元を固めようと基本的な業務の徹底をしていこう!的な内容を話されました。どこの会社も基本は同じですね。そこでは、秋口から随分と集客の状況が随分と好調らしく、来年に向けて明るい見通しを示されておられました。素晴らしいことです。
変化に適応した者だけが生き残る。
ただ、風の時代になったからかどうかは別として、世界は大きく変わりました。顧問先の工務店が現在、好調なのも実はその変化の一つであり、またそれが長く続くかどうかはわかりません。私としては、昨年に来年から世界は大きく変わると確信して、20年間慣れ親しんだ社名を捨てて、新規事業を立ち上げて、建築請負業から脱却するくらい大きな変態を目指して、コロナ前の今年の1月からブランディングを一からやり直しています。その結果は、来年の夏以降に現れると思っているのですが、VUCAと言われる不透明、不安定、複雑、曖昧な時代には何が正しいか、間違っているかは時が経ってみなければわかりません。昨日の会議でも、時代の変化、顧客の行動の変化に適応して我々も変化しなければ生き残れないと熱く語らせてもらいました。
大工ブランディング
この混迷の時代に、来年の受注見込みがしっかりとあるのは非常に喜ばしいことですが、それにあぐらをかいていては来年以降どうなるかはわからないどころか、今の状態もたまたま風が吹いただけかもしれません。今のうちに社員総出で本質的な価値創出とそれを伝えるブランディングに取り組む必要があると強く訴えた次第です。そして、それが社員大工さん達の所得を上げ、地位を向上させ、次世代を担う若者が働きたくなるような会社となり、事業所が継続していく力を蓄える根本だと申し上げ、社長1人で孤軍奮闘している大工工務店、ものづくり企業としてのブランディングを全員で取り組まないかと提案させてもらいました。そして、大工工務店のブランドとは大工個人個人のブランディングにおかなりません、みんなの力が会社の力だと熱く語った次第です。
顧問の役割。
ブランディングへの取り組みについての提言をする前に、私がだいくを中心とした社員さん達に改めて説明したのは、同業の経営者である私が顧問に就任している理由です。今年度から一般社団法人職人起業塾では、従業員向けの研修だけではなく、そのモチベーションの根源となる人事制度改革のワークショップを開催しており、等級制度や評価制度を導入してもらうことで、役割と責任と給与をリンクさせてもらうい、やる気を出して新たなことに取り組んで、成果を上げた現場実務者に正当な評価とそれに見合った所得を得てもらうような仕組みを広めています。その運用のサポートで顧問に就任していると言う事は、ぶっちゃけ簡単に言っちゃうと従業員さん、特に大工の給料を引き上げに来ているようなものです。ただ、給料を引き上げるにはその原資となる利益を増やさなければならないのは当たり前で、それを全員で少しずつ取り組むことで現実にしようと言うのが私の立場であり、役割です。
職人の厳しい現実。
大工さん達に聞いてみると、しそう市で大工同士で応援のやりとりをする入り口あたりの単価は1万8000円位が標準とのこと、1ヵ月に25日働いたとして、450,000円。そこから車両代、ガソリン代、各種保険、道具代を引くと350,000円あるなしの計算になります。今は大工でも10年も修行の期間は入りませんが、それでも低賃金で働いて技術を身に付けて一人前になった挙句、実質年収は4,000,000前後しかないと言うのはあまりにも厳しく、夢のない職業になってしまっています。この先の事業所は正規雇用を押されて社会保険や厚生年金に加入されているのでずいぶんとマシな労働条件ですが、1人親方で働いている大工には若手を育成するような余力は全くないと言っても過言ではありません。これでは若者が職人になろうなんて思うわけがありません。
大工は自分の家を自分で建てるべき。
私としては、他業種との比較から、30代後半から40代位の、住宅を取得しようかと考える年齢になったときに、しっかりと社会保障を受けた状態で年収500万円以上は稼いでもらうようになりたいと思っていて、大工に自分の家を建ててもらえる状態になってもらいたいと思っています。実際、家を建てる仕事をしているのに、自分の家を自分で立てられない大工が圧倒的多数で、それでは家づくりをする小瀬主様の気持ちが本当の意味でわからないと思うのです。とは言え、一般的な大工と同じ仕事、同じ役割しかしない大工には、同じ給料しか払えないのは世の中の道理です。もっと稼いでもらうためには、大工として丁寧で美しい仕事をするのはもちろんのこと、付加価値を生み出してもらう必要があり、今までの職人として行ってきた仕事内容+何かしら役割と責任を引き受けてもらう必要があります。その内容を分かりやすく明記して、全員が把握できるようにしたものが我々が提唱している等級制度であり、人事制度改革の大きな柱です。
理屈は簡単、やるのも簡単。
大工が現場作業以外で付加価値を生み出し、会社の利益に寄与した分、所得を上げていく。理屈は非常にシンプルで簡単ですが、実際はどのようにすればいいのか?と頭を悩ませてしまいそうですが、実践する内容も実はそんなに難しくはありません。取り組んでもらう内容は会社によってそれぞれですが、今日の会議では会社で取り組んでいるInstagramの写真投稿を全員で見て、建物の完成写真の自慢げな写真よりも、大工が手刻をしていたり、原寸を引いたり、建前をしていたりと作業している風景のほうがいいね数が多いのを確認してもらいました。情報が溢れかえる時代になり、何が本当かわからない位、あらゆる情報が氾濫している現代、見た目がきれいなどこにでもあるような写真よりも、現場のリアルな情報にこそ価値がある、せっかく神社仏閣の仕事までできる高い技術を持った社員大工がいるのだから、経営者1人で行っている情報発信を全員でやれば大きな成果につながる可能性があると熱を込めて伝えました。理屈は簡単、やるのも簡単、後は継続して取り組むことで徐々に質を上げていくことができれば想いは必ず形になると思います。
1点突破で風穴を開けろ!
職人の社会的地位の向上をミッションに掲げた一般社団法人職人起業塾の活動を通して私がやりたいのは、先行き不透明で、成熟期を過ぎて淘汰の時代に入る建設業界で職人をむやみやたらと独立起業させることではなく、経営者感覚を持って起業しても立派に事業ができる位の知識とスキルを持った職人が、理念を共にする事業所の中で活躍し、やりがいのある働く環境と、豊かな暮らしを手に入れながら、次世代の若手の育成や事業の継承を担ってくれるようになることです。一般社団法人設立からこれまでの4年間、全国各地でセミナーや講演、研修事業を行ってきましたが、職人が意識を変え、働き方を変え、事業所の収益構造を押し上げるのに寄与して良い暮らしを手に入れたと言う事例はそんなに多くはありません。コロナの影響もあってこれまでの路線を転換し、広げるのではなく狭いところに深く深く入り込んで参画企業の経営者やその従業員さん達と一緒に汗をかき、1つずつ丁寧に改革を推し進めていくのが本当に私がやりたかったことであり、やるべきことだったのかもしれません。風の時代は量から質への転換が加速するとも言われます、その風に乗って私たちの取り組みが大きく成果に結びつき、建築業界の旧態以前の構造に風穴が開くことを願ってやみません。
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