職人不足って結局、ビジネスモデルの問題だよね。

平成30年8月8日晴れのち曇り

水曜日は朝活の日。

今朝も相変わらずの朝起きでBNIドリームチャプターの朝のビジネスミーティングに参加してきました。このところ出張続きで私自身はなかなかこの朝会に参加できておらず、スタッフに代理出席をお願いするのが続いておりました。ちょっと久しぶりに参加した朝活は相変わらず活気にあふれ、あちらこちらでビジネス話に花が咲き、やっぱり多くの専門家のメンバーと一緒に仕事ができるのはいいものだなぁと改めて。代理出席に任せなくて済むように水曜日の出張はできるだけ控えたいと思います。

職人不足問題の抜本解決ディスカッション

さて、昨日はとある出版会社からお声がけをいただいて、岡山で開催されたディスカッションに参加してきました。諸事情により詳細は割愛しますが、メインテーマの1つが建築業界の職人不足の解消と言うことで、職人の育成と雇用の促進、すぐそこまで迫ってきている急激な職人不足問題の根本的な問題解決を探る糸口を探せないかと言うことで、その部分に長年取り組んでいる私も呼んで頂けたようで、私としても工務店支援を行なっているメディアの大きな影響を持っているキーマンに対して持論を展開したいと考え、お誘いいただいた際は、一も二もなく参加を承諾しました。

問題提起のブーメラン。

この度の企画が立ち上がった理由というかきっかけの1つに、私がセミナーなどででよく話している「職人問題に向き合わんかったら、これから工務店はいくら工事を受注しても売り上げ作られへんようになるで」と言っていたのを聞いてからそれが頭にこびりついて離れなかった。と事業部長のU氏は言われておりました。私としては期せずして、いい感じで自分が投げたブーメランが帰ってきたわけですが、工務店支援をされている会社の方に喫緊の危機感を持ってもらえたのは嬉しいことで、あちこちでベラベラ喋ってみるのも悪くないと、精力的に(儲からないけど、)セミナーでの啓蒙活動をしているの無駄では無かったと自分自身で得心した次第です。

働き手がいないのではない、受け入れ側がなってないだけ。

職人不足問題の根底にあるのは、あらゆる業態の中で最も酷いと言われる建築職人への若者の入職者がこの20年で激減したことにあり、それは職人がきつい、汚い、危険の3K職種と言うだけの単純な問題ではありません。東京のとあるリノベーションの買い取り再販事業を行われている上場企業が自社社員の職人を育成するのに職業訓練研修付き、キャリアパスの制度を整えて大工見習いの募集をかけたところ100名近くの応募があったといいます。さすがにそんなに採用ができない。となり、応募者に対して協力業者への就職を斡旋したところ、同じ研修制度を担保していたにもかかわらず、誰1人として工務店には就職しなかったと言われていました。職人志望の若者がいないのではなく、リノベーションやものづくりに興味がある若者は大勢いるし、業績が安定しているデザインリノベーションを行っている上場企業には就職したいが、街の工務店には就職は見送ると言う事です。

職人は道具じゃない。

従来の建築業界で職人を育成してきた徒弟制度は完全に崩壊しており、職人が職人を育てることができなくなった今、企業がその役目を担うべきなのは明らかですが、それも若者には全く支持されていない。問題解決の入り口は若者がキャリアプランを持てる様に、まずは職人の正規雇用から始まるべきだと思っています。そして、正規雇用を行う以上、キャリアパスを明らかにして、入職してきた若者たちの将来設計ができる環境を整えなければならないと思っています。5〜6年間、安い給料で下積みをさせて、そこそこ仕事ができる様になれば「独立」という名目で便利に使える下請けにする様な人材育成では若者にそっぽを向かれて当然ですし、(もちろん、本人のやる気やセンス、努力もありますが、)職人として一生安心して暮らせる程度の保証を最低限つけてから若者に職人にならないか?と誘うべきだと思うのです。

実務者向けの人材教育、人材開発に鍵はあり。

職人がキャリアパスを叶え、一生安心して収入を得られる様になるには、単なる現場作業を機械的にこなせるだけではダメで、年齢を重ね、現場から離れた後も同じ様に稼げる力を身につける必要があります。職人は使えなくなったらポイ捨てされる作業員から、豊富な経験と知識を持った専門家として、施工管理、営業、設計、人材育成など工務店の幹部として重用される人財に自らも努力して成長して行かねばなりません。また企業は研修を行い、資格取得を推奨し、職人が作業以外の役割を担える様に人材育成に投資をしなければ成り立たないのです。しかし、現場で叩き上げて技術を身につけた大工が建築士の資格を取得して、現場の工程、品質、予算のマネジメントが出来て、顧客とのコミュニケーションを円滑に行える様になれば、現場作業をしなくても十分に稼げるのは誰が見ても明らかで、役割の多能工化こそが職人のキャリアパスとなり得ます。新卒で大工として就職する際に、地方公務員と同じ生涯賃金を得られる保証(若しくは可能性)があれば若者にとって魅力ある選択肢になるはずです。

職人を正規雇用しない訳

それは、すみれでまさにこの10年来取り組んできているスキームで、その為の社内研修が現場の大工に経営者感覚を叩き込む「職人起業塾」の原型な訳ですが、実はこれはそんなに簡単に出来ることではなく、かなりの決意と覚悟が無ければ取り組めません。7〜8名の大工を外注扱いから正規雇用に(職人の手取りを下げずに)変えると年間1000万円ほど、福利厚生費が余分に掛かります。私自身、「気が狂ったのか?」「ばかじゃないか?」と散々誹謗中傷も受けましたし、まともな経営をされている工務店の経常利益率の平均は3%(全体で見るつもっと低い)のから考えると売上4億円くらいあっても、職人を正規雇用すると利益は全て吹っ飛ぶ計算になります。すみれも実際そうでした。これから需要が激減すると言われる中、もっと売上げ、利益をあげている会社にしか取り組めない高いハードルになりますし、現状と同じ売上げで大工への福利厚生で1000万円余分にかける、しかも少し暇になったら人員の在庫で一瞬にして利益を食いつぶすという馬鹿な経営者は世の中にそんなに多くはいないでしょう。。

それってビジネスモデルの問題だよね、

要するに、職人不足問題の根本はこれまで「筋肉質の無駄のない経営」とか勝手な理屈をつけて人材育成を放棄して他人任せにしてきた工務店のビジネスモデルにあります。これから新たに人材育成に取り組むなら、売上の増大、あるいは利益率の向上、もしくは大胆な経費の削減のいずれかを選択しなければできない訳で、ビジネスモデルの転換を図らなければ職人の育成はできないのです。しかし、今、これが出来ないと今後、いくら受注を得ても人材の手配がつかず、工事が出来ないから売上が上がらないという震災後の被災地で多くの人が経験した厳しい事態を全国の工務店が一斉に味わうことになり兼ねません。とにかく、工務店、リフォーム会社などの企業が職人を育成しなければ誰もそれを担ってはくれないのですから。職人不足問題の根本は工務店のビジネスモデルの問題なのです。

セールス思考からマーケット思考へ

一概に「ビジネスモデルを転換して、利益を増やして人材育成をしましょう!」と言ったところで、それが出来るまで待っている内に圧倒的な職人不足の波に呑み込まれてしまいます。国交相が公表しているデーターを見ると5年後を見据えて今すぐ取り掛かってギリギリだと思っていて、収益構造の改善と人材採用、育成は両輪として走りながら整えるしかないのです。
では、そもそもビジネスモデルの転換とはどの様なことを指すのか?それが、これまで建築、住宅業界に馴染みが薄かった原理原則に基づいたマーケティング思考の会社への転換だと思っていて、一般社団法人職人起業塾ではその、顧客から卓越した存在になることで、未来の売り上げを手に入れる「卓越の戦略」の概念を細分化してお伝えし、それを元にそれぞれの会社に合った計画を立てて、ドラッカー博士が定義した「一切のセリング(売り込み)を無くして売上を上げ続ける」仕組みの構築を図ってもらっています。

現場で未来を作る!

そして、原理原則に則って工務店のビジネスモデルの転換を考えた時、最も重要なのは顧客の評価であり、それは「現場」です。設計やプレゼンが如何に良かろうと顧客の評価は全て現場次第ですし、これまで「売り切り」のビジネスで新築を建てて引き渡したらそのまま顧客との縁を切ってきた事業者が多すぎます。顧客に胸を張って向き合える様に、現場での品質、工程、そしてコミュニケーションの圧倒的な向上は現場実務者への教育しかなく、それをするには職人を正規雇用して、教育するしかありません。しかし、ある程度のレベルから顧客の評価が上がり始め、顧客の予想を超える現場になった時点で、「これから一生、御社にお願いするわ」と、リピート、若しくは紹介を頂ける、既に信頼関係にある質の高い集客のチャンネルが出来上がります。

(事業継承のない)ミニマム工務店では当たり前に成功しているモデル。

この様なビジネスモデルはミニマム工務店と言われる社長が現場の最前線で活躍されている会社では当たり前にうまくいってます。経営者の分身を多く作れば当たり前にうまくいく道理となりますが、ビジネスモデルの転換は工務店の売り上げ規模にもよりますし、人材が育ち、成果を挙げ始めるまではなかかなか収益が上がりそうもない地道な取り組みです。しかし、住宅業界が壊滅しかねない職人不足問題の根本的解決はこれしか無いのではないか、なんて思っています。職人が子供達の憧れの職業になるには、まずは、他業種と比べてそこそこふつーに稼げる選択肢になるべき、雇用する側は、これまで割いて来なかった人材育成への投資を捻出出来るビジネスモデルに転換すべき。と言う事です。以上が私の三段論法です、イマイチぼんやりしててよく分からんなーと言う方は個別にじっくりご説明しますので、お気軽に私(高橋)までご連絡ください。(笑)

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