BMC(ビジネスモデルキャンバス)が順番通り使えない理由。

平成30年8月31日 晴れ

夏の終わり。

8月も今日でおしまい。子供達は明日から新学期なのでしょうか、私には全く関係ないですが日の出が少しずつ遅くなり、朝夕がめっきり涼しくなって来たこの頃、なんとなく寂しさを感じるのは子供の頃の名残なのか、幾つになっても子供っぽさが抜けきれないのか、夏休みがあった訳でもないのに過ぎ行く夏を惜しむ気持ちが芽生えるのは不思議なものです。そして夏が終わり、秋になると台風のシーズン。先週、神戸を直撃して多くの被害をもたらした台風20号に引き続き、21号も来週に直撃するとの予報が報じられ、今日もてんやわんや。事務所でしっぽりとデスクワークに勤しむつもりが雨漏りや台風被害の確認、次に迫る台風の対策の相談とひっきりになしに電話が入り、その度に走り回りました。来週やってくると言われる21号は日本を外れてくれれば良いのですが、、

BMCの間違った解釈。

さて、昨日のブログでは【元祖】職人起業塾で行なったワークショップ、BMC(business model canvas)でチャネルという伝え方、運び方を変えるだけで手にする成果は大きく変わる可能性があると書きました。その前々日のブログ「ホットシート#3×BMC@元祖職人起業塾」でもBMCの使い方、ダウンロード先のURLなどをご紹介したところ、数人の方がダウンロードされておられた様なので、誤解がない様に(間違った使い方のままにならないように)もう少し説明を加えておきたいと思います。私がUXデザインを教えて頂いているXデザイン学校の浅野先生によると、(解説書にももちろん書いてありますが、)ビジネスモデル・キャンバス(というフレームワーク)は順番が非常に大事だと言われます。そしてその順番の1番はじめにくるのは「顧客セグメント」であり、誰に対するサービスなのかをまず明らかにする事だと言われるのです。

BMCが順番通りに使えない。

実は、これが非常に難しい事でして、これまでマーケティングを学ばれて来た人は(私を含めて)新しいサービス、ビジネスモデルを考えるとき、まずはじめに①自分達が持っているリソース、強みを考えて、その次に②どの様な価値を提供できるか、そして③それは誰が求めているか、という順番で思考を巡らします。「それではダメだ。順番通りにしなければ意味ない」と浅野先生はいつも厳しい口調で言われます。それは、①顧客、②提供できる価値、③リソースの順番で上記の全く逆です。しかし、長年染み付いた思考はおいそれと変わるものではなく、私もずっと苦戦し続けているのが正直なところで、【元祖】職人起業塾でのワークショップでも順番通りに片付けられず行ったり来たりされているグループが数多く見受けられました、というか全員でした。(笑)
それはひとえに私の説明不足というか、BMCの使い方を詳しくレクチャーしていないのが悪いのですが、大人の学びの場なのである程度自習もされるのがフツーだという思いもあり、これまで流して来てしまっています。自習はこちら→https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798136967

(今は)逆の順番で良い理由。

なぜ、順番通りにできないか?というと、その理由はBMCはマーケティング思考ではなく、UX思考をビジネスモデルにまとめる為のフレームワークであるからで、UX(User experience=ユーザーの体験)から商品、サービスを考えようというスタンスが理解できていないとさっぱり訳が分からなくなってしまいます。ま、【元祖】職人起業塾はUXの勉強会ではなく、マーケティングの勉強会なので、USP(競合に対して優位な売りが効く強み)を見出してそれを最大限振り回す事で新たな顧客を得たり、既存の顧客との繋がりを強固にしたりするプランを考案する。というスタンスで問題ないし、それが先ずは出来ていないとUX思考で新たなサービスやビジネスモデルを考えても意味を為さないと思います。ただ、来月で6年目に突入する【元祖】職人起業塾に何年もかけて通い続けておられる方はソロソロ、マーケティングマインドと言われるあらゆる問題解決に対して常にマーケティング思考を発揮する力を身につけられて、実はじわじわと進んで来ている次のステップへの手がかりを掴んでもらいたいと密かに思っております。

逆になる理由は“inside out”ではなく“outside-in”だから。

私はマーケティングとUXは対極にあるわけではなく、マーケティングの次のステップがUXになると思っていて、この3年近く浅野先生に師事して熱心に学んでおるのですが、デザイン思考の入り口がリフレーミングだと繰り返し耳にし続け自分なりに考えて見た所、逆転の発想をしなければ、マーケティング思考からUXデザイン思考への脱皮は出来ないのだと(2年以上もかかって)最近になって漸く分かりかけて来ました。私達が実践しているジェイエイブラハム氏がまとめられたマーケティング体系はその根本をスティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」におかれています。そして、コヴィー博士が最も基本として提唱された概念は“inside out”であり、自分自身から変わる事から全てを始めようとその著書の冒頭に書かれています。対して、UXでは一切のバイアス、思い込みを排除して客観的にユーザーの行動を観察、調査してその分析からユーザーがまだ気づいていない潜在的なニーズや問題“insight”をあぶり出し、それを解決するサービス・デザインを提供するという“outside-in”のアプローチに他ならず、そりゃ、BMCの順番も逆になってしまうってもんです。

概念を実践で裏打ちして知恵、哲学を身につける。

そんな風に考えると、「マーケティングの勉強会とは別に、UXの勉強会を開催した方がいいのかも、」なんて考えたりもしますが、残念ながら私自身がUXを人様にレクチャーする程、理解出来てもいないし、学んだ概念も実践での裏打ちを始めたばかりのひよっこです。もう少し、UXデザイン思考を建築実務に落とし込み、「概念」を使える「知恵」に昇華させ、その「哲学」を経験の積み重ねから理解できるようになってから次のステップの勉強会を始めたいと思います。とは言え、新しい試みは時代の半歩先でしかマネタイズが取れず、遅れてしまうのは言語道断ですが、一歩先になってしまうと商売にはなりません。難しいタイミングですが、時代の流れと、他業態に比べて圧倒的に遅れているいまだに「モノ思考」が蔓延る建築業界の動向を見ながら、自分自身の知見の蓄積、思考の研鑽を重ねたいと思っている次第。でも、一人じゃなんとなく寂しいので、建築業界の方で一緒にUXに取り組もうという方がおられたら私(高橋)までお声がけ下さい。是非とも共に学びましょう!(笑)

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「乾太くん」に学ぶ、何をやるかではなくどうやるか。

平成30年8月30日 晴れ

ハツリは細かく順番に。

今日も朝から現場へ。久しぶりに着工の立会いに行き、細かな注意点を担当者に引き継いだり、若衆に出来るだけうるさく無いハツリのコツをレクチャーしたりと実務からスタート。同じ工事を行うにしても少し気を配るだけでお客様に与える工事のストレスは全然違うと、やれば良いのではなく「どの様に」にやるかを考える様に口うるさく伝えてから「あとは任した」と、現場を後にしました。私が着工現場に出向いてアレコレと口を出すのは稀なのですが、今回は「事業所のトイレを改装したい」と問い合わせの電話を頂いたのが定休日の水曜日でたまたま電話番をしていた私が電話をとった流れでそのまま現場に確認とヒアリングに出向き、連絡をもらったキッカケが、10年前に仲が良かった左官の親方が近所で串カツ屋さんを開業するお客さんを紹介してくれたことがあり、その串カツ屋さんの娘さんが勤められている先だった事、その娘さんの紹介で私達を勧めてくれた事が分かって担当窓口をスタッフに引き継がずに着工までやりとりをさせてからで、10年前に一生懸命にお客さんに向き合ってお店を作ったのがこの様に返ってくるのだと、感謝と共に現場に向き合う事の大切さを改めて感じながら工事の段取りを進めさせてもらってきました。完工後の打ち上げは久しぶりに湊川に串カツを食べに行きたいと思います。

当たり前の業務の精度の見直し。

帰社後はリフォーム産業新聞の福田氏が取材がてら遊びに来社され、様々な意見交換の場を持ちました、リフォーム業界の集客、売り上げの中心になっているチラシ、イベントの反響が年々鈍くなっており、新たなビジネスモデルを考えるべき転換期と言われる今、一般的な業務の流れを分解して顧客獲得のためのヒントを模索されているとのことで、御社ではどの様にされていますか?と「近隣への認知拡大」「近隣挨拶」「アフターフォロー」について細かく訊いて行かれました。それぞれ、私が10年くらい前に重点項目として取り組んだことばかりだったので、時代は本質的な方向、原点回帰に向かっているのかという印象を持つ事になりました。ちなみに、すみれでの取り組みとしては、近隣への認知は近所のメイン道路に圧倒的に大きな看板を出して社名と私たちが大事にしているコンセプト(=家は建ててからがスタート)を知ってもらう様にしており、工事現場の近隣挨拶は担当する社員大工が工事中のコミュニケーションをとる入り口として自ら挨拶に回ります。アフターフォローについても社員大工が一年に一度は「無料メンテナンス」と称してお客様先を訪れて困りごとを解決する仕組みを整えました。リピートと紹介が増えて宣伝広告を一切やめる様になった大きなキッカケです。福田氏は「確かに素晴らしい仕組みですが職人の育成とセットですよね、、」と簡単に出来ないと指摘されていましたが、顧客との信頼関係を構築するというP:成果(Performance)を得るには、PC:目標達成能力(Performance Capability)を高めなければならないのは自明の理、モノづくり企業がモノづくりの担い手を育てずに顧客の信頼を得られる筈がないと原理原則論を熱く説いておきました。参考にして頂ければ幸いです。(笑)

何をやるか、ではなくどうやるか。

上記の事例は、一見どこの会社も同じ様に行っている業務でもその内容を見直し、精度を高める事で全く違う結果、成果を得られる様になる非常に分かりやすいマーケティング理論の活用の仕方ですが、顧客から圧倒的な信頼を得られる素晴らしいPC:目標達成能力(Performance Capability)を持っていたとしてもそれを顧客に伝える事が出来なければ世の中に存在しないと同じです。刃を研がない大工はろくな仕事が出来ませんが、作業場に引きこもって刃物研ぎだけをシコシコやっていたところで、腕を発揮する機会には恵まれません。先日の元祖職人起業塾のホットシートに座られた夫婦二人で営まれている大工工務店の秋田建築社もその類いだと非常に勿体無い印象を持ちましたが、当の本人たちは自分達の価値を伝える、認知を広げる、知ってもらう取り組みの精度の足らなさを微塵も感じず(感じているかもしれませんが、笑)に何か新しい事に取り組まなければならない様な強迫観念に囚われておられる様に見受けられました。BMC(business model  canvas)では「チャネル」(=運び方、伝え方)の部分を変える、そこに注力するだけで圧倒的に結果を変える事ができるのではないかと感じた次第です。そもそも、お客様から支持され、喜ばれ、人気を博している成功事例を持っているのですから全体が悪いのではなくボトルネックの解消さえ出来ればbusiness modelは回り出すのではないかと思うのです。

「乾太くん」の知られざるperformance

最近、その様な事が自分自身の体験としてありまして、「やること、ではなくどうやるか」を考える事の重要さを噛み締めているところです。先日、NPOひょうご安心リフォーム推進員会の会合でリンナイ社のショールームに初めて行き、今までじっくり聴いた事がなかったリンナイ製品のプレゼンを聴き、実物を目にしました。そこで、リンナイ社独自の製品で非常に人気のヒット商品「乾太くん」の存在を知りました。それはガス式の衣類乾燥機で全くいい印象を持っていなかった電気式衣類乾燥機とは全く違う性能、高温乾燥で雑菌が死滅&短時間で乾燥&ふわふわの仕上がりというのを聞いて、なるほど、さもありなん!と大いにイメージが出来たのです。実は、我が家では洗濯物が一年通してずっと部屋干しでして、家事を全くやらない私が文句や不平不満をいう口はないし、毎日洗濯してくれる妻に感謝もしているのですが、見ていてスッキリしたものではありません。なんとかならんかな、とは思いますが、今時外に干すと花粉やPM2.5が飛散して来て埃っぽくなるし、何より干しに出るてま、取り込む手間が増えることを考えると口が裂けても部屋干しを止めようなんて事は言えませんでした。そんな潜在的な毎日の暮らしの中のストレスを解消してくれる商品だと直感的に感じて、即購入を決めたのです。

概念を学び、実践に落とし込む。

よくよく聞くと、この「乾太くん」は10年くらい前からある商品で、じわじわと人気が高まり口コミが広がって毎年売上を(地味に)伸ばし続けて来ているらしく、ガスサービスショップ系のリフォーム店では顧客満足の非常に高い人気商品としての地位を確立しているとの事。しかし、私たちの様な建築系の会社には認知度が低く、殆ど知られていない、販売されていないの現状との事。勿体無い事この上なしですが、この度、リフォーム団体に加盟し、その会合をショールームで開催してプレゼンテーションを行う機会を持つというこれまでと違うアプローチをされた事によって、私を始め多くのリフォーム事業者にその良さを知らしめる事になったのは、「チャネル」の見直しとその精度を高める活動以外の何物でもなく、今まで通りの販路の中に引きこもってシコシコするのではなく、外に出て、リアルに人と出会い、自分達の持つ価値や強みを伝える場を作ることこそが重要だという事ではないか、と改めて感じた次第です。同じ手法をそのまま使えるかは別としてその概念は秋田建築さんにも再度取り入れて考えて貰いたいし、私自身も今一度、すっかり当たり前になっている業務全般を小割にして、そのやり方と精度について見直す機会にしたいと思います。「乾太くん」が我が家にやって来たらそのレポートはまたここでアップしますので、楽しみにしていてください!(笑)

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