職人の採用、育成を阻むジレンマ。

令和元年11月30日晴れ

明日から師走。

11月もとうとう今日でおしまい。あれよあれよと言う間に今年も明日から師走がやってきます。今月も出張が多く、事業所にいる時間がほとんどなかったので、本来片付いておくべき仕事がたんまりとたまったままで、さすがにやばいと気づいて、今日は東京で催される中村天風先生の生誕100周年記念の式典に参加するつもりでしたが、ぐっとこらえて1日事務所にこもってデスクワークに勤しみました。

学びは実業のためにある。

事務所にいたらいたで、あれこれと仕事はあるもので、手を止められることも少なくありません。予定通りに全てが進んだかというとそうはなかなか問屋が卸しませんが、それでも集中してパソコンに座る時間を久しぶりに持てて良かったです。東京に行けず、皇居に作られた大嘗祭の神殿を見に行くことができなかったのは残念ですが、実業に生かしてこその学びなので、学んでばかりと言うわけにはいきません。

職人の将来の見える化。

今日片付けた作業の中に、12月16日にイベントを立ち上げた職人のキャリアパス構築の人事制度の帳票を使ったセミナー資料の作成があります。長年すみれで運用してきた給与制度と等級制度ではありますが、他社の経営者さんが見てももう少しわかりやすいように整理をしなおし、セミナーイベントでその帳票を配布することにしています。イベントにご参加いただくと、自社の職人の仕事内容と給料との関係を整理して、5年先10年先に成長とともに職人の業務範囲を広げ、それに伴って当然所得も増えていくのを見える化する取り組みです。

若者の職人離れの理由。

私の持論ですが、この20年の若者の職人離れは3Kと言われるきつい、汚い、厳しい職場だと言うだけではなく、たいして稼げず、保証がなく、未来が見えないのが大きな要因だと思っていて、その部分を解消しなければ深刻さを増していく職人不足に歯止めがかかる事はないと思っています。ちなみに、30年近く前、私と同年代で職人になった人達は一人前の職人になったらもっと稼げる環境にあり、実際、大工にしても左官にしても今の1.5倍くらいの所得がありました。年収1000万円くらい稼げれば保証など無くても自己責任で何とかやれなくもないと思いますが、分業化が進み、単価が下がりきった今の建築業界では構造的に人は集まらないのだと思っています。

1人前の職人の所得。

昨日の職人起業塾の研修でも、若手の塾生たちに1人前の職人になってどれぐらいの年収が稼げるようになるのか?と質してみたところ、皆一様に口をつぐんでしまいました。代わりに私が整理したところ、一般的な職人の日当換算で、神戸界隈ではせいぜい20,000円、25日働いて月に500,000円、年収6,000,000で税金や保険、車両代等の経費をそこから引くと3,000,000円台になってしまう現実が明らかになりました。しかも久我あ病気、天候などでもそれが大きく左右する。何年もかけて技術を身に付け、道具を買い揃えて体力的にもきつい仕事をしてこれではやっておれないと思ってもしょうがないと思います。

建築業の深いジレンマ。

職人起業塾に参加されている職人たちは皆さん事業所から正規雇用されており、一般的な職人と比べて保証の面で随分と恵まれておりますが、それでも社員職人だと言うだけで一般の職人よりも多くの所得を稼げるわけがありません。今後、若者に建築業界に入職してもらい、深刻さを増す職人不足を解消して、建築業界を存続させるには、今働いている職人が若者に憧れられるような暮らしを送ってもらわなければなりません。その為には社会保険や厚生年金といった保証ももちろんですが、所得を上げる必要があります。しかし、闇雲に職人の給料だけを上げたところで事業所の競争力はなくなり、事業は立ち行かなくなるのは火を見るより明らかです。

モチベーションと対価。

要するに、職人の給料をまっとうな金額に引き上げるには、職人自らが付加価値を生み出す働き方に変化変容する必要があり、現場作業にプラスして事業所の売り上げ利益に貢献する職人を育てることができれば、事業を成長させながら職人の地位を向上させることができ、若者の雇用も進み出すと言うことになります。しかし、職人に決まった図面通りの仕事だけをするのではなく、さらに付加価値を生み出すような働きをしてもらうには、高いモチベーションが必要で、それを支えるのがどのような仕事、どのような役割をこなせばそれに見合った対価が受け取れるかを明確に示すことだと思っています。

職人採用、育成のワークショップイベントやります!

現在、一般社団法人職人起業塾で熱心に取り組んでいるのは、職人がキャリアを積むに従って昇給していく未来の見える化の制度改革と、等級制度のサポートで、これまで数社、個別に行ってきましたが、もう少し広く知って頂きたいとワークショップイベントを12月6日に神戸のウェイアウトで開催することになったと言う次第です。工務店や施工会社は、いくら仕事をたくさん集めたところで工事を進める職人がいなければ全く売り上げは上がりません。これからの急激な職人不足時代に備えて職人の採用や育成をしたいと考えておられる経営者の方はぜひともご参加いただければと思います。きっと何かしらのヒントが得られると思います。参加はこちらから→https://www.facebook.com/events/473115289984977/


現場戦力化 職人キャリアプラン構築ワークショップ  インナーブランディング#2

実際の帳票や運用のファイル等を共有しながら、現場実務者に特化した人事制度の構築の足掛かりを掴んで頂けるワークショップです。職人育成に取り組まれている、もしくは今後、職人の採用、育成に注力したいと思われている経営者の方は是非ご参加下さい。

日時:12月16日(月)15時〜18時 終了後懇親会あり
参加費用:3000円 懇親会は別途5000円
場所:WAY OUT
定員:10名
https://www.facebook.com/events/473115289984977/


2020年1月東京塾締め切り間近、お急ぎ下さい!
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10月31日(金) 卓越の戦略 現場マネジメント改革【6ヶ月研修】
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