日別アーカイブ: 2019年6月1日

職人を取り巻く現実とミッションと蹉跌。

令和元年6月1日晴れ

6月の御朔日。

2019年度半期最後の月もいつものように近所の氏神さん、総社のお朔日参りからスタート。毎日目まぐるしくスケジュールに追われて予定をこなすだけの日々になりがちなのを、ひと月の初めにお参りすることでリマインダー効果というか、少しだけ全体を俯瞰する視点を持つことができます。今月で今期も半分が終わると言うことで、先月の感謝とともに来年以降への布石を含めて今年度の計画を着々と進めなければと決意を固めました。

懐かしい顔。

今日は週末と言うことで新築やリフォームのお客様の来店が多く、私も打ち合わせに同席したりしてバタバタと忙しく過ごしました。一通りの対応を終えて夕方からmtgに出かけようとすると、会社の玄関先に見覚えがある姿を見つけました。それは20年近く前の創業時のまだその前、私たちがすみれ建築工房ではなく「高橋組」と言う屋号で大工集団として活動していた頃から一緒に働いていた元社員大工のK君で、忘れかけた頃にいつもぽろっと顔出しにやってきます。

老婆心。

「久しぶりやなぁ、元気にやってるか」と私が声をかけると「まぁ、ボチボチやってます」といつもの返事をしながらも人懐こい笑顔を見せてくれておりました。知り合いの大工さんの紹介で彼が当時の高橋組に来たのは20年以上も前の話で、その当時は若者でしたがよく考えるとずいぶん歳を重ねているはずで、年齢を質してみると40歳も半ばになったとのこと。何とか元気そうな姿を見て安心すると同時に、現役の大工として活躍できる期間がそう長くないのを感じ、少しだけ心配になりました。ただ、「暇になったらいつでも来いよ」と声をかけることしか出来ませんでしたが。

コストカットの波。

私の「仕事は順調か?」と言う問いに対して彼は、「忙しかったのも最近は少し落ち着いてきた」と微妙なニュアンスの答えを返してきて、よくよく聞くと最近は大手リフォームチェーンのニッカホームの下請け大工として同じ現場監督から声がかかる仕事を日当でしているとのことで、単価の安い大工さんが見つかるたびに仕事はそっちに流れていき、その大工さんがクレームを起こしてはまた仕事が戻ってくるといった繰り返しのようでした。とは言っても彼も大して高い単価で日当の設定がされているわけではなく、車や保険やガソリン代や駐車場等経費を差し引くと大した稼ぎにならないとのことでした。

お日さん西西の幸せ。

とは言え、彼が将来を悲観したり、現状が辛そうかというと決してそんなわけでもなく、気楽に9時から5時で大工仕事を毎日していることにそれなりに満足しているように見受けられました。価値観なんてものは人によって様々ですし、何が正解かはその人がどう思うかによるだけで、事実は1つでも解釈は無限にある。と言われるようにいわゆる「お日さん西西」と言われる気楽に暮らせること自体が幸せだと思う人もいるわけで、私がとやかく言う筋合いはありません。しかし、必ず来る未来に目を向けることなく今だけにとらわれてしまうのはやっぱり問題がある気がします。

流れの応援大工。

大工と言う職業柄、自由に働きたい、自分が親方になりたい。と思うのは自然な流れで私も(自分もそうでしたし)それを悪いことだとは思いません。しかし、自由とは大きな責任を伴うもので、稼げる実力がなければ結局見せかけの自由で、人様にしがみ付き、様々なしがらみに縛りつけられる事になってしまいます。手に職をつけて自由に働ける大工になりたい。と思ってこの業界に飛び込んできたときに私も嫌と言うことをそのことを突きつけられました。すみれでもこれまで20数年間の間に多くの大工が独立すると言って辞めていきましたが、結局下請けや応援の大工としてなんの保証もなく日当で働いている者が少なからずおり、そんなことなら社員大工としてすみれに居てもらったほうがよっぽどよかったのに、と思わずにはいられません。

職人を取り巻く現実。

神戸では一人前の大工の日当は2万円程度が相場です。日曜日と祭日以外25日働いて50万円、正月や盆休みが噛めば20日を切ることもざらで平均は45万円/月くらいの収入になるのが一般的です。街中の現場に行くのに高速道路料金に1000円、駐車場に1000円、毎月の車の任意保険と車検代、ガソリン代、道具の消耗品等を考えると最低でも10万円、下手すると15万円程度の経費を使います。そこからまだ保険や所得税を払うので結局、一人前の大工が手取りで30万円を切るのが現実です。これでは貯蓄など出来ないのは火を見るより明らかで、しかも年金は国民年金のみとなり、(現状で)6万5千円程度しか支給されません。一人親方と言われる職人の置かれる環境は本当に厳しいものです。

ミッションと蹉跌。

私は創業時から「職人の社会的地位の向上」をミッションに掲げ、職人の正規雇用化を15年前から取り組んできました。経費を会社で負担して社会保険、厚生年金に加入することで、職人でも将来に不安を抱えずに働ける環境を目指してきました。事業所での負担が大きい分、年金の支給額は国民年金の倍以上になるのは当然で、日当で働く職人とは全く違う待遇にすることで、若者にも安心して入職してもらえる様にしました。しかし、その代わりに建築士や施工管理技術者といった資格取得や、顧客の対応、現場管理等々、いわゆる現場作業以外の業務をこなしてもらう様にしています。そして、このハードルを越えられなかった多くの職人が私と袂を分かち去って行きました。職人を守ると言いながら振り落としできたのが実際で、本当にそれで良かったのか?他にもっといい方法はなかったのか?と今でも自問自答を繰り返すことがあります。ただ、過去と他人は変えられない。と言われる様に終わったことをクヨクヨしても始まらず、これからミッションに対して出来ることを考え、行動するしかない。と思った6月のお朔日でした。


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場所:栗東ウィングプラザ 〒520-3031 栗東市綣2丁目4-5
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FAX 0749-26-0297   mail  takedream0277@yahoo.co.jp   TEL 090-4192-9833
担当 西田、岩川、西村

☆☆内容☆☆

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第2部 『ITをフル活用したプレゼンの極意 実践編』
『IT導入補助金を活用した引き渡し後も満足度120%のプレゼンテーション方法』
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『厚生労働大臣認定事業 職人起業塾とは、、、』
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