「同じ道を通るな!」〜AI時代に心すべき事〜

平成30年5月3日 曇りのち晴れ 風強し

チャリンコ現場パトロール

世間様ではGW後半戦の初日、今日から4連休の方が多い様ですね。すみれは基本的にローテーションで休みをとるシフト制となっており、年末年始と毎週定休日以外は年中無休での営業ということで、黄金週間も関係なく、今日もフツーな一日でした。ただ、ちょっとはお休み気分も味わおうかと午前中は隣の三木市で工事の大詰めを迎えている改装工事の現場の視察に自転車で行ってみました。たかだか50km程度の道のりでしたが、昨年の夏のしまなみ海道でのサイクリング以来、殆ど自転車に乗っておらず、思いの外、乗れなくなっていることに自分でもびっくり!昨年に引き続き参戦する2週間後に迫った安曇野センチュリーライド160Kmのレースへの自信がガタガタに揺らぎました、、今からでは手遅れですが、少し走り込んでおきたいと思います。。

 

行きと帰りは同じ道を通るな

久しぶりに自転車に乗って、(随分と苦しみつつ)往復50Kmのトレーニングをしながら、脳裏に浮かんだのは、ランニングをしていてもサイクリングをしていても気にかけてしまう言葉です。それは、「行きと帰りは同じ道を通るな」という、誰に教わったのかも定かでない格言というか考え方というか、考え方で、いつも復路はつい意識をして遠回りをしてしまいます。その言葉の根源は諸説ありますが、元々はイスラームの教えのようで、モスクに礼拝に行く際にできるだけいつも同じ所に礼拝するのではなく、違うモスクに行き、知らない人と祈る事を推奨したところから、同じ道を行くな→「同じ道を通るな」となったようです。私は毎週一度のランニングを習慣にしており、自宅の近所で海に行くか、山の方面に走るかといくつかランニングコースを決めていますが、毎回絶対に往復同じ道を通ることはありません。走る習慣を持ち始めた6年前からなので、ずいぶん前から意識していたことになります。

小さな大きな収穫。

今日も、国道175号線の幹線を北に登って三木市と小野市の県境の現場に立ち寄って、帰り道は少し道幅は狭くて走りにくかったですが、三木市市街の旧道を通って帰ってきました。あまり頻繁に通る道ではないので、久しぶりに通ってみると知り合いの会社が出店しているのを見つけたり、新しい飲食店ができているのを発見したり、仲のいい同業者が大きな野立て看板を立てて近隣に認知を広げる活動を熱心に行なっているのを知ったり、このシーズンの風物詩、イチゴ狩りを楽しむ大人達を見てGW気分を味わったりと、遠回りしたらそれなりに発見や気づき、良いことがありました。ま、知っても知らなくてもどっちでも良い様な事ばかりですが、地域に根を張って生きている地域密着のスモールビジネスを営んでいる私とすれば、大きな収穫と言っても過言ではありません。

遠い世界に学ぶ姿勢。

そして、「同じ道を通るな」という言葉は単にどこかに行く際に道を変えるというだけに止まらないと思っています。イスラームの教えでいつもと違うムスクに行き、知らない人と出会う事を推奨するとあった様にその考え方には、いつも通りの世界に甘んじる事を戒め、常に興味と好奇心を持って違う世界を見に行く、足を運ぶ行動を促されます。井の中の蛙大海を知らず、ぬるま湯に浸かった蛙は湯が煮立ったのに気付かずに茹で死んでしまう。との諺にある様に、常に現状に満足してどっぷりと浸かっている事を拒み、遠い世界に学び、そこから新たな挑戦をする気概を持たねば、あらゆるスピードが急激に速くなった現代では、あっという間に陳腐化し、埋没してしまうのがオチです。それを防ぐには普段から同じ道を通らない意識と、好奇心を忘れないことが重要だと思うのです。

効率化の時代。

昨今、国による働き方改革の大号令と共に労働日数、時間の短縮を目指した効率化があらゆる業態で進められています。IT革命、AIの技術革新、Iotの普及でそれが一気に進もうとしていますし、AIを搭載したロボットが人の仕事の8割を奪う様になるとも言われています。私達建設業界も決して例外ではなく、私が起業した20年前は図面はドラフターで手書きで書いていたし、積算、見積も手計算でしたが、今はPCの画面上で間取りを置くだけで自動積算、予め単価を入力しておくと見積もりも自動で出来上がります。実際の建物も大工が墨付けをして刻むことはすっかり稀になり工場で図面データーを入力したらコンピューターが寸法を切って穴をほり、ホゾをつけてくれます。今では宮大工が行なってきた社寺仏閣の刻みさえAI棟梁が行える様になったとのこと、ビルの新築工事では天井ボードを貼るロボットが休憩も、昼も夜もなく作業し続けるとのこと、、人の手を離れた効率化は止まるところがありません。。

魂を鍛えねばなるまい。

そんな農耕から工業へと変わった18世紀の産業革命を凌駕する現代の圧倒的、革命的な効率化の時代に我々が考えるべきことは、AIにできなくて、私達にできることだと思うのです。「AIには心や魂が無い、私達は心や魂を鍛えねばなるまい。」と、私は主催する私塾でよく話すのですが、その一つが遠回りでは無いかと思うのです。最短の道をわざわざ選ばない、気の向くまま、直感に頼って道を選ぶのは効率化とは真逆のAIからするとエラーとしか言いようが無いでしょうが、その好奇心を行動に移す心の余裕こそが、現在自分が置かれている狭い世界から一歩外に踏み出して、新たな刺激を受けて、インスピレーションを誘い、イノベーションの種になると思うのです。

遠回りする心。

ちなみに、井の中の蛙の諺には続きがあるとも言われています。元は中国の思想家である荘子の「秋水篇」に出てくる一説で、「井鼃不可以語於海者、拘於虛也。」(井鼃は以って海を語るべからざるは、虚に拘ればなり。)これが日本に渡って来てから独自に付け足した文があるとのこと、言い出したのが誰かは定かでは無い様で、日本人の独自解釈なので続きがあるという言い方は微妙ですが、「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」と言われて来たとのこと。人間の知識量をAI、インターネットと比べると既に井の中の蛙レベルになってしまっておりますが、空の青さの美しさにAIが感動しない様に私達にはやはりAIに負けない絶対的な強みを持っていると知るべきだと昔の人は前向きに解釈してくれている様です。些細なことに感動する日常を過ごす事こそ、心を鍛錬する入り口なのかもしれません。遠回り、オススメします。(笑)

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