自己欺瞞と他山の石、その予防法①

5月26日曇り

鹿児島弾丸出張

今日も夜明け前に飛び起きて始発の電車に乗り込んで朝一番の飛行機で鹿児島弾丸出張。いよいよ後半戦を迎えた第9期職人起業塾@鹿児島の検証研修を行いました。厚生労働省の認定を受けて補助金を活用して受講してもらっているこの職人起業塾の六ヶ月コースは主にマーケティング理論を切り口に職人や施工管理の研修現場実務者に現場マネジメントを通して売り上げ利益を上げて会社に貢献するとともに自分たちの明るい未来を作り上げてもらえるようにと研修を行っています。

学ぶこと、知識を得るに意味はない。

私が塾生さん達に繰り返し言い続けてるのは「知識なんぞ何の価値もない、行動に移せなければ何も変わらないし、三日坊主の人間には何もできない。学びを行動に移し、継続して定着させてこそ学ぶ意味がある」と言うことで、知識→行動→習慣を研修の1連の流れであると開講時から申し伝えています。講座が中盤に差し掛かるとそれまで学んだことを糧に塾生の皆さんにはアクションプランなる行動計画を立ててもらいます。残りの期間はその彼らが立案したアクションプランの検証と問題解決を中心に進めて行き、卒塾時には継続して取り組んでいくべきアクションプランをスタートすべく、それぞれに仕組みに落とし込める計画を固めてもらうようにしています。今日はその1回目の検証の日となっておりました。

時事ネタの事例に学ぶ。

研修の冒頭に前回の振り返りをするにあたり、グループでディスカッションをしてもらいました。前回の講座では日本式マーケティング論と言うテーマで「上杉鷹山の経営学」を学んでもらっており、マーケティングのあり方からと言う原理原則は日本的な価値観、世界観にそのルーツがあると言う私の持論を披露して、つまるところマーケティングは愛や思いやりがその源泉になっているといった話をしておりました。それを具体的な事案で考えてみるのに格好の話題、時事ネタがあったので日大アメフト選手の悪質ファール事件についてその問題の本質と、リーダーである監督はどのような記者会見をしていたらあんな大騒動にならずに済んだかについて考えてもらい、発表していただきました。

原因は在り方とコミニケーション。

若手の職人さんを中心としたグループワークで発表いただいた私の問いに対する答えは、各チームそれぞれよく似た内容になっており、事件の根本的な原因は指導者のあり方がなっていないこと、コミニケーション不全の二点に大きく絞られました。これは上杉鷹山が改革に着手する前に洗い出した改革を妨げる問題点として浮かび上がっていたそのものズバリであり、この部分を解消するところから改革をスタートしたというエピソードと非常にリンクしておりました。あり方を見直すところから破綻しかけていた財政を立て直した上杉鷹山の教えが皆さんの腹にストンと落ちておられたように思います。

20歳の大工見習いでさえわかること。

続いて各チームに発表してもらったのが、監督の記者会見でこのような会見にしたら一気に事態は沈静化してこんな大騒ぎにならなかったやろ。と言うような記者会見をしてください。ということでした。これも各チーム共にあらかた同じような発表で、「とにかく全責任が私(元監督)にあり、他の者には一切の責任がないと言い切るべし。」との事でした。これは私も同意見ですし、「悪質な反則を犯した選手には何の罪もないから助けてあげてもらいたい」と自分の首と引き換えに嘆願するべきだったと思っています。さすればここまでの騒ぎにはなってなかったのではないでしょうか。

分かり切っていることができない理由。

では、20歳そこそこの大工見習いの若者が考えても分かりそうなことが、名門大学のカリスマ監督がわからないはずもなく、にもかかわらず何故できなかったのか、その理由は何か?と今回の超大炎上騒ぎの本質に踏み込んでもらいました。「そもそも分かってない!」などと、元監督に対する批判的な意見が色々と出ましたが、私が申し上げたのは私自身を含め、人は自分の過ちをできれば認めたくなくて、保身を図りたい生き物である。誰しもが常に自分が正しいと思う通りの行動を起こせるわけではなくて、自分(の良心)を裏切り、誤魔化しながら日々生きているのであり、よっぽど気に留めて注意していないとすぐにそっちの楽な方に流されていくものである。ということです。

自己欺瞞との戦い。

それを防ぐのが自己欺瞞との戦いとなるわけですが、私も10年以上も意識してこの戦いに取り組んでいるにもかかわらず、いまだに自分の箱の中に閉じこもって悪いのは全て他人のせいだと言いながら自己正当化を繰り返してしまったりすることがあります。日大元監督と同じ世界観ですね。(笑)
塾生さん達が自分はそんなことないと言うような顔しているので聞いてみると、明日使う牛乳でもわざわざ冷蔵ショーケースの奥の方にある賞味期限の長いものを購入するし、20歳過ぎの若者のくせに複合施設の広い駐車場に行ったら入り口に1番近いところに車を止めるしと、自分さえよかったら良いと言う行動を取ってる人がほとんどで、挙句、リフォーム工事に行くように指示を出した職人が決められた工期に間に合わないからと夜遅くまで残業して近隣からクレームが来たら「確かに工期を絶対に守れと言ったのは事実です。しかしそれはあくまで作業時間内一生懸命やって守れと言う意味であって、夜中遅くまで近所の方々に迷惑をかけてまで工事をやれと言う意味ではありませんでした。伝達不足で申し訳ありません」と言って謝ると、ほぼ日大元監督と全く同じ思考を持っておられる方もいました。(笑)

他山の石とすべし。

マーケティングとは信頼をベースにして自分から売り込まずに次々とオファーをもらい売り上げ利益を上げる仕組み作り、それは信頼性を担保する自分自身のあり方を正すところから始めるべきで、その部分の根本的にわかっていなければ何を一生懸命やったところで今回の日大元監督の事例のようにふとしたきっかけで一瞬にして何もかも失ったりすることになりかねません。今回の日大アメフト騒動を他山の石、反面教師、実につまされるべき失敗事例として学ばせていただいて私も含め塾生さんの未来につなげたいと思います。また、そんなことにならないように予防に努めるべきだと講座の最後にディスカッション・ワークをしましたが、それについては明日ののブログに書きたいと思います。

続く。。

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