3.11 に思う。原点回帰とコミットメント。

平成31年3月11日 晴れのち曇り

あれから8年。

今日で東日本大震災が発生して8年目を迎えました。8年前、神戸の元町のビルでチームビルディングの研修を受けていて、ゆっくりとビルが揺れて、地震だ!と研修を中断してネットニュースで情報を見たのを今も覚えています。その時はまだ、あまり情報もなく、とにかく東北がえらいことになっているかも知れないのが心配だね、と、ご実家が宮城の石巻だと言われる研修講師と話していました。それから数時間後、街が津波に飲み込まれていく信じられない光景がTVの画面に映し出されるのを息をのみながら観て、どうしようもない無力感と、今自分がいるところが安全であることの安堵が入り混じったなんとも言えない複雑で嫌な気持ちになったのを今も鮮明に思い出します。神戸の震災の時も遠方に住まれている人達はきっとこんな印象を受けたのでは無かったかと、冷静に考える自分がいました。死者、行方不明者、関連死を含め、2万2131人が犠牲となり、今も約3100人がプレハブ仮設住宅で過ごし、約5万2千人が避難生活を続けるという未曾有の大災害に改めて哀悼の意を表します。

覚悟を決めた関東出張。

東日本大震災は神戸から遠く離れた東北の地が震源地で、私達には殆ど影響が無かったと言っても過言ではなく、まるで映画のような目を覆いたくなるような映像を見ながらも、自分にはどうする事も出来ないし、やっぱり他人事だという意識がどこかであり毎日無力感に苛まれていました。そんな中、福島第一原発のメルトダウンの噂がニュースよりも前に飛び込んできて、関東の現場に出張に行っていたスタッフに「今すぐ現場を放り出して神戸に帰ってこい!お客さんにはオレから事情を説明するから!」と電話して呼び戻し、工事中だった店舗のオーナーに連絡を取って、「放射能汚染の危険がなくなるまで現場を止めさせて下さい。」とお願いしたのでした。しかし、それからひと月経っても原発事故の現場ではなんの進展もなく、放射能が垂れ流しの状態が続いているにも関わらず、東京では計画停電の中、営業を再開する店舗が増え始め、これ以上、現場を放っておく事ができない状態になり、結局、工事を再開すべく北関東の現場には私が戻り、残りの大工工事を行う事になりました。今では考えられないし、大げさに過ぎますが、ひょっとしたらこのまま生きて神戸に帰ってこれない可能性もある。と覚悟を決めて上京したのを覚えています。

震災の日に思い出すべき想い。

神戸に限らず、一応、東日本大震災の時も程度は軽かったにしても 自分自身が被災地で働くことになった事もあり、今日、3.11は考えさせられる事が多くありました。ただ、大きな災害は全国各地で起こっていて、その当事者、被災者になった人は誰もが、何気ない毎日繰り返される日常は決して当たり前のものでは無く、ある日突然、なんの前触れもなく失われる事を否が応でも認識されたでしょうし、いかに毎日が平和に何事もなく過ぎていく事が幸せなことかを身にしみて理解されているのではないでしょうか。ただ、今日で東日本大震災から8年、阪神淡路大震災は大学生になった娘が生まれるまだその前で、発生から24年が経ちました。やっぱり、その時の記憶が全てそのまま残っているかと言うとそんなわけは無く、時間は残酷に人の記憶を薄めて行きます。今日の震災関連のニュースを見ていて思い出したのは、15年くらい前にホームページのトップに掲載していた「ご縁を頂いたあなた様へ」と言うタイトルの私が書いた文章です。丁度、マーケティングの勉強を始めた頃で自社の存在意義、強み、ミッションなどを考え直して創業時の想いを書き綴ったもので、今もリニューアルしたHPの片隅に「初めての方へ」と言うリンクが貼られて残っています。青臭く、少し恥ずかしい文章ではありますが、再度読み返して見て、初心に戻らねばと改めて感じました。そんな自戒を込めて、以下に転載しておきます、長文ですが、よかったらお付き合い頂ければ幸いです。

ご縁を頂いたあなた様へ

私のことについて。

はじめまして、すみれ建築工房の代表取締役 高橋剛志と申します。初めてのご挨拶として自己紹介がてら、少しだけお話をさせて頂いてもよろしいでしょうか。
私は生まれも育ちも、今までの人生のほとんどをこの地で過ごして来た、根っからの神戸っ子です。その性分と言いますか、特徴はと言いますと、片田舎の小都市であるにも拘らず、古くから港町として栄えて新しいもの、珍しいものを早くから取り入れてきたことの名残りが街の随所に見られるように、異文化を柔軟に受け入れることだと思っております。目新しいものにはなんでも興味を持って、すぐに飛びつく、と言ったあまり良くないような風にも言われますが、本当に価値があるものか?使えるものなのか?広く受け入れられて定着するものなのか?と言った、本質に目を向けて判断するバランス感覚は知らず知らずのうちに養われてきた様に思います。関西に在って、大阪のような経済の中心でもなく、京都のような歴史の中心、表舞台だったような風格もなく、港が栄えたことによって幾ばくかの産業をもたらされただけの小さな町はとても窮屈な感じがして、若い頃はあまり魅力的には感じずにこの地から離れて暮らすことを選んだこともありました。しかし、離れてみると、住んでいた時には感じなかった良さが見えてくるもので、神戸の小さい町特有の仲間意識や、海と山がいつもそばにあり気軽に自然に親しめるロケーションが実は好きでたまらないということに気付き、何年も経たずにこの神戸の地に舞い戻ってくることになりました。

被災地での経験。

神戸に帰ってきてからの私は様々な仕事につきました。学歴も、資金も、コネクションも持たない自分が将来を切り開いていく方法を懸命に考えました。そして、たどり着いたのは、ありきたりですがやはり手に職をつけるということでした。それからは大工の見習いとして小さな工務店に働きながら、将来の独立を夢みて独学で建築の勉強をする日々が続き、数年後には建築士の資格を取得することができました。そして、奇しくもその翌年に、あの大震災が起こったのです。その時、私も被災者の中の一人でした。水道もガスも一月以上復旧せずに、神戸市外の親戚の家までお風呂を使わせてもらいに通いました。母親が住んでいた団地は玄関ドアの開閉が出来ないほどの損傷を受けて、全壊の判定を受けましたし、震災の当日に見舞いに行った長田地区の友達や知り合いの家や事務所は瓦礫の山と化していました。あの地震でたくさんの方が尊い命を亡くされ、神戸の経済が壊滅的な打撃を受けたのはご存知の通りです。実は、震災前の神戸の建築業界は構造不況とも言える大不況の真っ只中にありました、小さな工務店などは息も絶え絶えな状態のところが本当に沢山ありました。それがあの震災を期に、捌き切れないほどの仕事が突然舞い込んできて、神戸の建築に携わる者全員が息を吹き返したのもまた事実なのです。まずは仮設住宅の建設、次には膨大な数の倒壊した家屋の解体撤去、そして街が少し落ち着くと資金がある人は我先にと新しい家を建てたり被害にあった部分を直したりしました。私はその頃はまだ大工職人として工務店に勤めておりましたので、休みも無くがむしゃらに働くだけだったのですが、今考えると、そんな中でより忙しくしている会社に転職をしたりもして、独立への基礎を固めた時期でもあったようです。私の人生もあの地震で大きく変わったのは否定することは出来ません。『すみれ建築工房は、阪神・淡路大震災がきっかけで出来た工務店である。』というのもまた事実なのです。

私たちの存在意義。

私たちはとても小さな会社ではありますが、その誕生のきっかけの底辺に神戸の人たちの大きな悲しみがある以上、ほんのちっぽけなことでも、何かお返しをしなければならないと考えます。そして、その悲しみの原因は天災だけではなかったのです。震災後、私たちは瓦礫の山になった住宅を押し分けるようにして家を建てていきましたが、倒壊しなかった家というのは特別な構造の住宅では決してありませんでした。現在では震災の教訓を生かして建築基準法は改正され、検査での技術的な水準は大きな進歩をしましたが、その当時でも、昭和56年に制定された新耐震基準と言うものがありました。実際、倒壊した建物のほとんどがその基準を満たしていなかったのですが、それはただ、築年数が古かったというだけの理由ではなく、構造的な根拠を持たない建築業者や大工が安易にリフォーム・増改築を行ったことに起因して壊れてしまった建物も沢山あったのです。それは完全に旧態依然の悪しき慣習にどっぷりと浸かった建築業者による人災だったのです。震災の復興事業は誰が想像したよりも早く進みました。しかし、それは表面上だけで、被害が大きかった地域に少し入ると基礎だけが残されて、更地にもならずに放置されたままになっている土地が未だ随所に見られます。それと同じように日本全国から建築業者が集まってドサクサの中で行われていた建築の震災復旧では、実は表面上だけの繕いに終始して、本質的な問題解決をなされないままになっている建物もいまだに多くあるようです。震災前までの長年の間、神戸の産業の中心だった港湾関係の活気は震災前の面影には戻りません。真の震災復興と言うのはありえない、と言っていいほどあの地震は取り返しのつかないほどの深い爪あとを神戸に残して行きました。そんな表面的な震災復興が終ったタイミングで創業した私たちは自分たちの存在意義を考えます。建物の作り手として、設計者として、建設業者として、人として、何のために存在しているのか、何のために存在を許されているのか、その答えを探すことが、神戸で震災後に生まれた建築業者としての事業そのものであると考えております。
・私たちは、お客様の命をお預かりしていることを、認識しています。
・私たちは、お客様の生活の基盤を作るお手伝いをしていることを理解しています。
・私たちは、お客様の楽しく、明るい、幸せな家庭を築くために神戸の地で建築の仕事を続けていきます。

ご縁を頂いた方との約束。

小さな町神戸で、私をはじめ、すみれ建築工房のスタッフ一同は、生涯をかけて、私たちに関わって頂く、すべての方々の楽しく心地よい暮らしと、安心と安全の住まい、そして明るい未来に向かえる生活の基盤つくりのお手伝いに情熱を傾けることを決意すると共に、固く約束致します。この約束を守ること、この約束を継続し続けることが私たちの存在意義となって行くのだと思います。そして、この約束を守るために、私たちは考えうること全てに取り組んでいきます。まずは、はじめの接客窓口からご希望を真摯に伺うヒアリング。そして設計、プランニング、積算、見積りを一貫して行える設計部門の内製化と、スキルの向上への絶え間ない努力。次に、思いをカタチに具体化する、建築現場での作業を自社の社員で行う内製化と、技術基準の平準化、そして厳正な社内検査による品質の確保。工事が終わってからも、普段からお住まいに関するあらゆる問題点をいち早く解消出来る様に、常時専任の担当者が半年に一度以上の頻度で定期的に無料メンテナンスに巡回する仕組みも構築してきました。私たちはとてもちっぽけな会社ではありますが、ものづくりを自らの手で行うことにより、私たちと関わり合いを頂く皆様に安心・安全・ココチよい、を確実にお渡しすべく、固い志をもってこの神戸の地にゆっくりと、そしてじっくりと根を張ってきました。あなたさまが私の思いを聞いて下さったこと、そして、このような出会いがあったことに心から感謝致します。ありがとうございます、そして今度は私たちにあなたさまの思いを是非お聞かせください。ホンモノの時代がもうすぐきっとやって来ます!

以上、長文にお付き合い頂きましてありがとうございました。明日からも気を引き締めて、すみれの存在意義、原点に立ち戻った仕事をスタッフ一同と共に行って参ります!

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◆職人起業塾2019東京オープンセミナー【建築業における真実の瞬間】

日時:2019年2月13日水曜日 14:00~17:00 場所:株式会社シップ 〒112-0004 東京都 文京区後楽1-4-14 後楽森ビル3階 www.shipinc.co.jp お申し込みはこちらから→https://www.facebook.com/events/239954583566295/

◆職人起業塾2019 大阪オープンセミナー「建築業界が抱える諸問題の根本的解決へのアプローチ」

日時:2019年3月18日月曜日 14:00~17:00 場所:カラフル会議室 新大阪 大阪市淀川区 西中島 6-2-3 チサンマンション第7新大阪 1102号室 主催者: 一般社団法人職人起業塾 お問い合わせ:www.shokunin-kigyoujyuku.com お申し込みはこちらから→https://www.facebook.com/events/543933566013947/

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◆初の出張開催!丹波にて無料の勉強会【元祖】職人起業塾開催します!

今回はホットシートなるワークショップを行います。以下に丹波の藤本が配信されている「サスライプロジェクト 公式メールマガジン」でご紹介してもらってたので内容を転載します!

改装中のcommuneca(コミュンカ)で3/20に職人起業塾を開催します。

職人起業塾とは古民家再生でお世話になっている神戸の工務店のすみれ建築工房の社長である高橋さんが
神戸を始め全国各地で開催しているマーケティングの勉強会です。

建築業界の方対象で受講料はひとり50万円するんですが月一回すみれさんで開催されているのは参加費がなんと無料で建築業界の人以外でも参加することができます!一応飲食業の私も1年ほど参加させてもらっていますしアロマ、エステ、保険、IT系、農家など様々な業種の社長さんや社員さん、これから起業を志している人など色んな立場の人たちが参加しています。

高橋さんの勉強会は小手先だけのマーケティングではなく会社、組織、個人のあり方を問う内容なので
業種や立場は違えど勉強になるし実践に役立つし異業種の人たちと交流できたりするとても有意義な会です。
・将来独立起業を考えている方
・今すでに起業している方
・起業はしていないけどマーケティングを学びたい方
・これからの生き方働き方あり方を考えたい方
には特におすすめです。

祝日の前日である3/20(水)の19時から21時までで希望者は起業塾終了後、懇親会にも参加することができます。懇親会はおひとり3500円で猪鍋や丹波の地酒などを飲み食いしながら高橋さんをはじめ参加者同士の交流を深めることができます。

3/16(土)の古民家再生のワークショップで3部屋ほど宿泊可能になる予定なので寝袋や布団を持参してもらったら無料で泊まることもできます。500円で貸布団も手配することができます。(必要な方は前日までにお申し付け下さい)

起業塾の翌日の3/21(木祝)は古民家再生のワークショップも開催しますのでセットで如何でしょうか?

職人起業塾の詳細、お申込みは
https://www.facebook.com/events/309700836402020/?ti=as

★古民家から再生プロジェクト
リアル劇的ビフォーアフターワークショップ@丹波

3/16(土) https://www.kokuchpro.com/event/190316/entry/

3/21(木祝) https://www.kokuchpro.com/event/190221/entry/

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◆一般社団法人職人起業塾オフィシャルサイトリニューアルしました。

原理原則系マーケティングに取り組んで見たいとお考えの方は一度のぞいて見てください。 実践型現場マネジメント理論、動画なども公開しています。 その他、研修のお申し込み、問い合わせ、補助金の活用などの情報も集約しています。 https://www.shokunin-kigyoujyuku.com

◆最新の情報と共に学び続ける場の提供としてメールマガジンを配信しています。

無料登録はこちらから→https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=ylTbGxqzg

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