カリスマ左官と職人自助論。

平成31年3月21日 春分の日 雨のち曇り時々晴れ

古民家ワークショップ2Days

今日も終日丹波。昨日の夕方スタートした、初めての出張開催となった元祖職人起業塾のホットシートのワークショップの後はそのままディスカッションを続行しつつ、猪鍋と丹波産の地酒に舌鼓を打ちまくる懇親会になだれ込み、「合宿」と定義されていた通り、参加メンバーと夜中遅くまで話し込んでそのまま寝袋で就寝。非日常的な熱く、楽しい時間を過ごしました。今朝はその流れのまま「古民家から再生プロジェクト」のDIYワークショップを行いました。決して丹波に移住したわけではありませんが、どっぷりと田舎暮らしを堪能しています。(笑)

カリスマ左官の手ほどき。

今日のDIYワークショップは、当初の予定にはなかったのですが、急遽カリスマ左官の植田親方が現場に来てくれることになり、親方にご指導いただきながら漆喰を塗ると言う類稀な機会に恵まれました。以前、Facebookで植田親方が但馬の現場に来ると告知したときは、親方に会いたさに多くの申し込みがあり、DIYワークショップと言うよりは、「左官なんでも相談室」の様相を呈してしまうほどの大人気ぶりで、今回は事前の告知をしていなかったにもかかわらず、風のうわさで親方が丹波に来てると聞きつけた建築女子が突然、押し掛けてくるなど、あいからず植田親方人気は絶好調です。実は、私も鏝捌きを少しばかり教えてもらいたいと思ったりもしましたが、大人気無いのでやめました。(笑)

カリスマ左官の話。

日本の左官のトップレベルの技能と知識を待たれた植田親方は、全国で「日本の指間を考える会」という技術研修会を主催されており、明日開催のたびに全国各地から多くの左官職人さんや新素材を求める設計事務所やデザイナーさんが植田親方に手ほどきを受けたい、話を聞きたいと集まられます。そんなカリスマ職人を丹波ワークショップで10時と3時の休憩と昼食の時間を独占して、様々な話を聞かせていただけるのは本当にありがたいことで、私のような町屋の大工には経験のない左官による伝統工法の詳細をご教示をいただけるのは本当に幸せな時間です。ま、建築とは関係のない職種の方も熱心に聞かれているのでそれだけ親方の話が面白いと言うことなのでしょう。

職人の思考。

そんな植田親方の話の中で、「磨き」と言われる左官の伝統工法は現場に行く前段階の仕込みに非常に手間と時間がかかり、実際に現場で施工している時間は短時間でもかかる費用は高額になり、1m2あたり10万円を超える事も少なくないと言われていました。それが高いか安いかは伝統工法に価値をおくか否かで人それぞれとは思います。しかし、日本でトップクラスの技術を持っておられたら、何人かかったかと言う人工計算ではなく、自由に値決めしたらいいと思うのですが、金額を日当計算を基準にして決められるのは流石は職人で商いとは一線を画す実直な姿勢に好感と共に改めて尊敬の念を抱きました。

職人の単価を再考すべき理由。

先日、大阪での職人起業塾オープンセミナーの後の懇親会で、セミナーの感想を皆さんに一言ずつ話して頂きました。その際に元大工の経営者さんが口にされたには私が「職人がもっと稼げる様にならないと、建築業界は職人不足で立ち行かなくなる。」と言う持論に諸手を挙げて賛成で、「今や設備関係の職人よりも大工の方が収入が少なく、それをなんとかしたいとずっと思っていた」との事でした。上述の植田親方の値決めの根拠、日当計算の延長線上で施工費を決める方法を私も含めて職人出身者はついとってしまいがちで、その根本である単価(日当)を世間一般の通り値で考えてしまいがちです。しかし、昔ながらの徒弟制度が崩れ、若い職人もそれなりに稼げなければ離職してしまう今の時代、次世代の職人の育成を見込んだ単価への修正が出来なければ建築業界は衰退の一途を辿ることになります。

自助の精神が建築業界を救う。

ただ、それぞれの業界にはそれぞれ通り値があり、一社のみが飛び抜けて値段が高くなると一瞬にして競争力が無くなり、売り上げを上げる事が難しくなります。売り上げ不振に陥り事業所が破綻してしまう様な事になれば本末転倒であり、このジレンマが解消出来なかったから、建築業界は圧倒的な職人不足に陥った訳で、今まで業界が手を付けて来なかった根本的な問題解決を行なうべき時期に来ています。私は自分自身がそうしてきた様に、職人が若者に憧れられるくらい稼ぐ様になるには、自らが稼げる様になる努力を行うべきで、また、実際にどの様にすれば良いかの教育をすべきだと考えて、全国で職人をはじめとする建築実務者向けにマーケティング理論を教えている次第です。「天は自らを助くる者を助く。」サミュエル・スマイルズが唱えた「自助の精神」を日本中の職人達に伝えたい。そんな風に思ってます。伝われば良いんですが、、