大工の役割。#職人的マーケティング論。

令和2年10月20日火曜日晴れ

感謝します。

寒暖の差が激しい日が続きます。今日の神戸は日中気温が20度まで上がり、雲1つない真っ青な秋空が広がって表に出るだけで爽やかな気分になる良い天気になりました。今朝は朝早くから、20年来のお付き合いをいただいているお客様から、トイレが流れないとSOSの連絡が携帯に入り緊急出動、急いで事務所に戻って、収穫が終わったぶどう農家さんの住み替えのご相談を受けたり、昼からは何とか工程より前倒しして工事完了にこぎつけたインターナショナルスクールの最終の打ち合わせに出かけたり、夕方からは新たな顧問先の会議に出席すべく奈良県近い大阪の南の果てまで車を走らせたりと相変わらず走り回る1日でした。ほんに、忙しくさせていただくことに感謝です。

最終の定例会議。

今年春からのコロナ禍の中、工事にとりかかった木造新築工事のインターナショナルスクールでは私も基礎工事担当として現場に入り込み、建て方が終わるまで現場監督兼職人として何年ぶりかわからない位、久しぶりにどっぷりと毎日現場に関わりました。中学生レベルの英語ですらおぼつかない私が、アメリカ人の校長先生とコミニケーション取りながら現場を進めたのですが、なかなか意思疎通がうまくいかず、いくつかの工程でクライアントの期待に応えきれていない結果になったりと随分と苦労もありましたが、建物が建ってからは大工スタッフの奮闘で一定の評価をいただき、私が失った信頼を取り返してくれました。

終わりよければ、、

今日のミーティングでは、半年に及ぶ工事期間の中で、校長先生の意向に添いきれなかったこと、コミニケーションがうまく取れず、意思の疎通が測れなかったこと、そしてそれらをリカバリーする努力をしてくれた職人や業者さんへの評価や、未だ納得できていないこと等々、忌憚のないご意見を聞かせていただきました。国が違えば言葉だけでなく、慣習も工事のやり方も違います。コミュニケーションも難しい上に、前提条件となる設計段階の完成イメージにも大きな齟齬があり、非常に難しい現場運営になりましたが、最終的に「次の校舎を建てるときには、同じチームできっと良い仕事ができると思います。」と言った私の言葉にうなずいてもらえたのは本当にうれしく、ご縁をいただけて良かったと心から思いました。

現場こそが最強の顧客接点。

今回、学校建築と言う木造在来工法では大規模な部類に入る建物で、またクライアントが外国人で言葉の壁が立ちはだかり、スムーズなコミニケーションが難しい現場の施工を終えて改めて感じたのは、(手前味噌になりますが)社員大工による施工管理と施工を行う私たちつむぎ建築舎の施工体制の強みです。正直、私が現場管理していた基礎工事で、左官職人の態度が悪いとか、土間の仕上がりが期待していたレベルにないとかのクレームを出してしまい、管理責任者の私のせいで、クライアントの関係は随分とぎくしゃくしていました。そんな状態から上棟後は担当を私から大工の大ちゃんにかわり、社員大工総出の体制で施工にあたり、彼らが真摯に現場に向き合ってくれたおかげで、私が失った信頼まで回復してくれました。感謝をするとともに、現場で顧客の側に寄り添う者には勝てないと改めて思い知らされました。

精魂込めてとは顧客に寄り添うこと。

こんなふうに書くと、自社の社員の自慢をするようで少し心苦しいのですが、決してつむぎ建築舎の社員大工たちがコミニケーション能力に優れていて、卓越したすごい技術を持っていると言うわけではありません。もちろん大工ですから、現場作業にある程度のこだわりを持っているし、職人気質の一面もあります。決して愛想良く誰とでも仲良く話せるものばかりが揃っているわけでは無いのですが、現場担当者としてクライアントの前に立ち、すべての窓口を務め、打ち合わせを任されると、顧客の立場に立って物事を考え、判断してくれるようになります。精魂込めてものづくりに打ち込むと言うのは、職人のプライドをかけて良いものづくりをすると言う意味もありますが、何のためにこの作業を行っているのかと言う目的意識を明確に持つことこそが、現場に全集中できる姿勢につながると思っています。それを理解して、実践してくれるスタッフには心から感謝するばかりです。

大工の役割。

顧客満足は期待値と実際の結果との相対性で決まると言われます。そこから考えると、大工へのクライアントの期待値は正確な作業を決まった通りに行ってくれる事に尽きると思います。しかし、我々つむぎ建築舎では、建築士や施工管理技師の資格を持った現場代理人としての大工がそのまま窓口となり、クライアントが図面では把握できなかったあらゆる齟齬や違和感を現場でチューニングを行うことにより、完成時には全て納得してもらえるようにしています。このように書くと非常に大変な仕事のように聞こえますが、顧客の窓口を務めてコミニケーションをとれば、ある程度の知識と技術がある大工ならその役割を全うできる、そして現場が自分事になりクライアントに喜んでもらえる仕事をおのずと行うようになります。とは言え、やはり作業をしながらの顧客の窓口、現場全体の施工管理は厳しいのもまた事実です。しかし、その先に顧客からの信頼を勝ち取り、喜んでもらえることがイメージできるからこそ厳しい現場運営を頑張ってやってくれるのだと思っています。大工の役割は現場作業のみではなく、顧客の信頼を勝ち取ること。そんな目的意識を持った職人育成が私のミッションです。

第86回【元祖】職人起業塾改め「継塾」#無料オンライン開放

日時:2020年10月21日水曜日 19:00〜21:30

場所:すみれ建築工房改め、つむぎ建築舎

内容:【オンライン、オフライン併用無料勉強会】

◆今回もリアルとオンライン併用での開催とします。今月のテーマは“Start with why
“今一度、目的について深く考え直してみる機会としています。先行き不透明、価値観が真逆に逆転してしまったこれからの時代に事業を継続し続けるマーケティング戦略の基礎について皆様と改めて考えてみます。
◆今回もリアル開催と併せてZOOMを使ってのオンラインで無料開放致します。非公開グループページで事前にルームのURLをお伝えしますので、オンライン参加希望の方はご連絡ください。非公開グループページにURLをアップします。

お申し込みはこちら→https://www.facebook.com/events/3597747676926172/


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職人の地位向上をミッションに掲げた「一般社団法人職人起業塾」のオフィシャルサイト

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