ほんまに中長期の経営計画は無意味か?

令和2年10月30日晴れ

コロナのおかげ

今日も神戸は秋晴れ、最高に気持ちの良い天気が続きます。昨日は久しぶりに一般社団法人職人起業塾のサービス内容を事細かに紹介する事業説明会を行い、オンラインとオフラインを併用して、コロナの影響で今年度、これまで事業の中心だった集合研修を取りやめて、そのかわり今まで職人起業塾に参画してくれていた事業所向けに行ってきたワークショップの内容を中心にご説明しました。私は以前から、従業員向けの研修を行っても、研修終了後、数年で離職する若者が一定数出ることに非常に残念な思いを抱いていて、現場実務者の意識改革の前に、事業所の人事制度や評価の仕組みを改革する必要性を強く感じておりました。コロナで、活動自粛を余儀なくされたおかげでその部分にやっと手をつけれるようになったのは本当に良かったと思っています。

曖昧すぎる中長期事業計画

昨日のブログでもコロナによる変態と題して、人事制度やキャリアプランの構築のサポートや、経営者とリーダーが一緒になって参加してもらうマネジメント改革のワークショップの内容をご紹介しましたが、これらを行う理由というか、その着地点は、参加される各社における中長期経営計画の策定を行ってもらいたいと言うところにあります。そもそも工務店、建築会社は一件あたりの単価が大きく、リピートでの注文の周期がとても長い業種です、安定して受注を積み重ねるには、常に新規顧客を一定数集めることが必須だと考えられており、中長期の事業計画といっても、新規顧客を集める方法論に終始することが少なくありません。VUCAと言われる先行き不透明で、複雑曖昧な現代において、アナログ、デジタルにかかわらず、広告反響の手法はコロコロと変わるものであり、それを計画と呼ぶのは非常にリスクがあります。

一朝一夕にはできないブランディング

そのような観点から見ると、中期経営計画は数字だけの、希望的観測に基づいた根拠のない数字を書き並べる、鏡に描いた餅になりかねないと思っていて、ストック型のビジネスモデルへの移行を目指す古典的マーケティングや、事業所の地力や信頼性を高めるブランディングに対する継続的かつ、上っ面をすべらない本質的な取り組みに対する事業計画を立てるべきではないかと考えています。これらはどちらも目先の売り上げ、利益には反映されにくいため、ついおざなりになりがちですが、安定的なビジネスモデル構築のためには、必要不可欠だと思います。しかし、事業計画とは期限を決めた行動を明らかにし、そこからの成果を推し量るプランであり、決してぼんやりと思い描くだけでは絶対に実現するわけがありません。先行き不安定な時ほど、明確な計画を立てるべきですが、実際は先が読めないことを理由にその緊急性の低い、しかし重要であるはずの未来への計画の策定に対する時間を割愛してしまいがちです。

共創のプロセス

私も長年、その問題に悩まされてきましたが、数年前に解決する方法論にやっと気づき、少しずつですが中長期の事業計画を立てられるようになってきました。気づいたのは、計画を実行に移すのは経営者ではなく、実務にあたるスタッフであり、その実務者の腹に落ちる計画を策定すること、計画の元の段階からスタッフを巻き込んで目的を共有し、目指すべき理想の姿を強烈にイメージした上で目的の達成のために行うべきことをつまびらかにして、目標を定める「対話のプロセス」が必要である。と言うことです。そのために必要なのは、現在の事業と未来にあるべき姿とのギャップを全て棚卸しし、優先順位を決めて実行する担当者に割り振るとともに、進捗の確認を継続的に行う。といたってシンプルな内容です。現在、一般社団法人職人起業塾で行っているリーダー層と経営者が一緒に参加してもらうマネジメント改革のワークショップは、圧倒的な進化を遂げたマインドマップを使って、目的や役割、そしてそれを達成する方法論を細分化し、ガンツシートに移して時系列を決め、事業計画に転化させるグループワークです。経営者の頭の中にある未来へのビジョンを、リーダー、その他の従業員から引き出し、明文化することで情報を共有し、確実に行動に移してもらうのがその趣旨で、4回のワークショップが終了すると同時に、マーケティングやブランディングに対する中長期の事業計画が完成する段取りになっています。

わからないからしょうがない。では済まない。

今から5年前を振り返ると、現在私たちが置かれているような状況になるとは誰も予想だにできなかったのは事実としてあり、逆に5年後を今、イメージしても全く予想がつかないのが正直なところです。だからといって、成行きまかせ、行き当たりばったりではスタッフの人生を預かる経営者としてはなんとも頼りなく、「しょうがないよねー」と済ますことはできないと思います。外部環境の激しい変化にさらされるのは大前提としても、今、未来に対してできることを少しずつでも確実に進めていくのは、経営者として大きな責任だと思うのです。そんなこんなで、中長期の事業計画がぼんやりしたままでいまいちリアリティーがないと思われている方は是非ともいちど一般社団法人職人起業塾のワークショップに参加してもらえればと思います。経営者の頭の中にあるぼんやりしたヴィジョンをスタッフが率先して実現してくれるようになるかも知れません。来年からは、九州博多でも開催する予定ですので、興味のある方はお気軽に以下のサイトからご連絡もらえたら幸いです。(笑)


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