令和2年3月9日快晴
春到来とブラックマンデー。
いい天気になった月曜日、このところ新型肺炎の暗いニュースが続いており、気持ちも塞ぎがちですが、ようやく日差しも春らしくなってきて今日は外に出るだけで少し気持ちが明るくなりました。昼にとある物件の完成の打ち上げに芦屋にある自然派料理のレストランにランチに行くと麗らかな天気の中、子供達が公園で遊んでおり、本格的な冬の終わりを感じる事が出来ました。とは言え今日はブラックマンデーといっても過言ではない位、株式市場は大荒れで日経平均もですが、特にアメリカのナスダックでは史上最高の大暴落を記録したとの事、国内景気の低迷だけではなく、世界的な大恐慌の予感が現実のものになりそうな雰囲気に恐怖を募らせました。
インターネットの功罪
不安が不安を呼び、消費活動を控えるのが増大して、さらに事態を悪化させていく負のスパイラルが加速している背景に、世界をカップリングさせたインターネットの普及があるのは間違いありません。誰もがあらゆる情報を入手できて、また発信できる今の世の中は良いことも悪いことも両面あると思っていましたが、ここにきて人は良いことよりも不安や恐怖の方に敏感に反応し、拡散させる傾向が強いのだと感じています。一般的に「景気が良い状態」とは国内における消費意欲が高い状態のことを指しており、消費を控える、消費者のマインドが下がれば不景気になると考えると、長期的な観点で考えれば、インターネットの普及は便利さで消費を刺激することよりも人の心を冷やす効果の方が高いのではないか感じてしまいます。
偏った情報収集の怖さ
今日、そのインターネットによる情報収集の危うさをとても身近に感じる出来事がありました。これから新築で家を建てようとするある人と話をしていて、住宅ローンの話になったところ、その人曰く、「変動金利の住宅ローン1本で借り入れをすると決めている。」ときっぱりと口にされたことです。日銀のタブーなき金融緩和策で既にマイナス金利となっている現状から鑑みると、今後、金利は上がるしかないのが確実で、しかも全期間固定型の住宅ローンも以前からは考えられないほど低金利になっている今の時代にきっぱりと変動金利に決めている。と言われたのには正直かなり驚きました。金利で利益を上げる銀行が、殆ど無金利状態の変動金利を勧めるのは、金利が上昇する大前提にあり、金利が上がる見込みがないのなら、現状で少しでも金利が高い固定型を勧めるはずなのですが、そんな当たり前すぎる情報はオブラートに包まれて目にしないようになっていると言う事です。
情報は偶然示されるのではない。
その理由を聞いてみると、「金利が上がると多額の借金を抱えている日本は破綻するので、金利は上がるわけがない。」とのことで、多分、インターネットで情報収集をする中でそんなことを様々な角度で、しかも強い論調で書かれてある記事を何本か読まれて、共感？納得？されたのだと思いますが、前提条件として金利は国が決めるものではなく、カップリングした世界経済の中、資本主義の論理の中で決定されるものだということが全く理解されていませんでした。検索機能はあくまで営利団体である企業が提供しているサービスであり、そこでの情報収集は実はアルゴリズムの意図が働いて、ユーザの属性によってセグメントされた広告を出されている企業の都合の良い情報が提供されるのにほとんどの人は気づいていないまま、目の前に多く出てくる情報を鵜呑みにしてしまう傾向があるのではないかと思った次第です。
絶対に上がるしかない金利のリスク。
会話の中で私が「近年で最も金利が上昇した国はどこですか?」と問いかけても、その人は答えに詰られておりましたが、その答えがギリシャだと聞くと、経済破綻した国ですよね、日本がそんなことになるはずがない。と鼻で笑われておられました。私が伝えたかったのは日本がギリシャと同じようなデフォルトの危機に陥るか否かは別として、景気が良くなっても、悪くなっても金利は上がる可能性があると言うことで、この度の新型コロナウィルスの経済への悪影響を緩和するために、政府が公言している財政出動もその財源は国債であり、日本経済全体への不安感が広がれば日本国債は買い手がつかないようになります。国債を売りさばいて資金を集めるには運用金利を上げるしかなく、その他に経済を回す方法がなくなれば、上がるはずがなかった金利も上昇する可能性があるのは明白です。
インターネットに表示されなければ存在しない世界。
そんなやりとりをしていて、あらゆる価格は需要と供給のバランスで決定される。との資本主義社会の大前提さえ忘れ去られるというか見逃される情報のるつぼと化したインターネット社会は本当に恐ろしいと感じるとともに、当たり前の判断がしにくい世の中になったことを理解して、我々のような専門家がもっと丁寧にわかりやすく、上っ面の情報では無い潜在的なリスクについて周知してもらえるような情報発信を心がけなければならないと強く感じました。そして、いくら本質的な情報を配信したところで、ユーザの日に届けることができなければ何の役にも立たないと考えれば、今の時代に沿った情報を届ける手法も習得する必要があるのかなと改めて感じた次第です。同時に、自分自身もインターネットの情報に惑わされず、頼り過ぎずに生きていく指針を早々に見つけなければならないと危機感を募らせた次第です。
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