亀の恩返し。#情けは人の為ならず。

令和2年8月7日 晴れ

九州ツアー本格スタート。

昨夜は2週連続2回目と本格的にスタートした、久留米での若手大工育成プロジェクトの講師の後、一人で久留米の路地裏の江戸前寿司で打ち上げ&反省会をしてから、最終の新幹線で帰神しました。半年間、12回も久留米に通い続けることになったこの講習は朝8時スタート、終了は夕方5時で毎回前乗り&最終の新幹線で戻ってくるまぁまぁハードなツアーになっています。いつも職人起業塾で行っている研修は、同じように6カ月間15回のカリキュラムではありますが、小田全宏先生にお願いしているアクティブブレインセミナーや横山桂子先生にご登壇頂く接遇コミニケーション研修など、私の担当外の研修も約半分あり、実質は7回程度しか講師を務めないことを考えたら、今回の若手大工育成研修は倍のエネルギーを使うわけで、しかもフィーは、ほぼボランティアに毛が生えた程度しかないと言う厳しさです。(笑)

大工育成研修の意味と価値。

それでも、建築業界への入職3年程度未満の若者たちが、真剣な眼差しで私の話を熱心に聴き、目をキラキラさせて楽しそうに実施研修に取り組んでいる姿を見るのは非常に嬉しいもので、次世代の大工育成の研修講師は売上や利益だけでない価値があるのだと自分に言い聞かせています。(笑)
実は、JBN主催の若手大工向け研修は以前から全国各地で行っており、3年ほど前には関西での研修につむぎの若手大工スタッフも通っておりました。規矩術や墨つけ、刻み等を座学と実習で学んでいたようですが、残念ながらその当時、実際の業務内容と研修内容があまり重ならなかったようで、当時、、若衆たちに研修に行った感想を聞いてもあまり反応がありませんでした。

信頼が障害を乗り越えさせる。

そんな若手大工があまり積極的な参加をしていない印象だったJBN主催の大工研修事業の講師を私がやるようになるとはつゆとも思っていなかったので、今回のお話を引き受ける際もどうなることかと思ったりしましたが、事務局をされている「一般社団法人ひとにやさしい家を考える会」の方々が職人起業塾の内容を把握されており、私の考え方を深くご理解してくださっていたこともあり、「一応、カリキュラムの内容は抑えながらも、塾長の思うようにやっていただければ良いですから、」との言葉をかけてもらったこともあり、「では好きなようにやらしてもらいます。」とこの度のハードな研修講師ツアーをお引き受けした次第です。(笑)

現役実務者の講師。

昨日で2週連続2回目の九州での研修を終えての私の感想は、講師を引き受けて本当に良かったと思っています。長年、自社内で職人育成を行ってきて、この20年間あまり、若い職人たちに実務を教えながら、顧客からの信頼を得て次の受注につなげる、信頼第一のマーケティング的考えを教え込んで来た私にとっては今まで自社内で行ってきたことをそのまま場を改めて研修会場で行っている感じで、昨日の実習研修にしても、即実践に使える、丸のこの定規の作り方や使い方などをレクチャーしました。若手大工たちにとっては丸ノコは常に定規の使い方を考えて使うものだと言う概念を聞いて目からウロコの面持ちだったので、今日から、今までモタモタしていた作業の生産性を一気に高めているかもしれません。(笑)

技術よりも人としての在り方。

そんな私の研修では、今回は実技も教えておりますが、技術は身に付けて当たり前で、それだけじゃ機械や道具と同じだと繰り返し、耳にタコができる位言い続けています。昨日も、小便をする際に便器に座る座らない問題で、「人が見ていない時にこそ、自分の良心に従った裏表ない行動ができるかどうかが重要で、技術うんぬんを語る前にまず人間として信頼に足る人になるべきだ!」としつこく語り続けました。そんな昨日の講習の余韻を若干引きずりながら、今朝アイドル犬チャックといつもの伊川の河川敷に散歩に出てみると、またチャックが何か小動物を見つけてうれしそうに遊び始めました。

亀の恩返し。

またモグラでも掘り返していびってるのかと思い、やめてあげなさい!と近づいてみると、仰向けにひっくり返った小さなミドリガメが目に飛び込んできました。とりあえず、川に戻れるようにうつぶせに戻してあげて、そのまま未練タラタラのチャックを引っ張って散歩の続きをしましたが、約15分後、帰り道にまたチャックがその亀を見つけてうれしそうに走り出そうとしました。なるほど、亀の歩みは確かに遅いんだと納得しながら、通りがかりの犬たちにいじめられないように甲羅をつかんで川に戻してあげました。亀の恩返しがあるかどうかはさておいて、朝からなんとなく良いことをしたような気分になり、今日は普段より少し機嫌よく1日を過ごすことが出来たように思います。陰徳を積むのはその相手が人である必要はなく、自分の良心が示すことに素直に従い行動に表すことなのだと改めて感じた次第です。

情けは人のためならず、

大工育成プロジェクトの講座の中でも、信頼を得られる職人とは高い志、目的意識を持つ者であり、相手の立場に立ってコミュニケーションが取れる者であり、自分の良心に従った行動を選択できる者だ。と、そんな論語の教えの現代語訳の様な話を繰り返しておりますが、良き行いをするのは、結局、自分の心が軽くなったり、機嫌が良くなったりと、まさに「情けは人のためならず、自分のため」なのだと気づいてもらえたら嬉しい限りです。技術だけでは無い、誰からも仕事を頼みたいと言われる、一度出会ったら最後、一生あなたにお願いしたいとお客さんに言わしめる、本当に良い職人さんを量産できる研修会になる様にしたいと思います。気合を入れて年末まで、足繁く久留米に通い続けたいと思います。(笑)


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四方蟻と森の民。#若手大工育成P

令和2年8月6日 晴れ

大工育成P day2

九州、久留米に来ています。一般社団法人職人起業塾の研修を博多で繰り返し行う際に、現地事務局を快く引き受けて下さった、福岡の有力住宅建材流通卸の株式会社徳永産業さんとのご縁で、同社が事務局を務められているJBNの下部団体、一般社団法人ひとにやさしい家を考える会が主催する若手大工育成プロジェクトの研修講師を務める事になり、先週に引き続き、久留米に通い詰めてます。全国工務店協会JBNが、加速し続ける職人不足、特に若手大工が圧倒的に少ないのに危機感を持ち、国交相からの補助金を使って全国各地で一斉に若手大工、大工見習い、現場監督向けに研修を行う事業をスタートしたのに呼応して、九州でも今回の研修が始まりました。

職人は道具じゃない。

これまでずっと、自分で組み立てたカリキュラムで研修事業を行ってきた私としては、JBNが組み立てた初歩技術中心のカリキュラムに沿って研修を行うのは、正直、違和感が否めません。それは、JBNの構成員である工務店経営者の立場で組み立てられたカリキュラムで、若い大工にとりあえず、少し使えるようになって、現場での戦力になってもらいたいという想いが強く伝わってくるからで、常日頃から「職人は道具じゃない」と言い続けている私にとっては薄っぺらい技術だけ身につけさせて、、目先使えるように、若しくは先輩大工の邪魔にならない程度に教育するなんて、職人不足の根本的な問題解決に対して何の意味もなく、国費、国民の血税を使うような事業ではないと思うからです。

稼げる職人になれ!

そんな想いもあり、講師のオファーを頂いた際に正直少し躊躇したのですが、職人起業塾で行っている研修の理念を理解して下さっている徳永産業からの依頼だということで、研修内容のある程度の変更を許容してもらえると考え直し、お受けすることにしました。そんな経緯もあり、一応、決められたカリキュラムに沿って講座を進めてはおりますが、かなりオリジナル色が強い内容になっています。(笑) とにかく、若手の受講者達に私が繰り返し言い続けているのは、次の世代の若者がこぞって職人になりたい!と思うようになり、圧倒的な職人不足が解消の方向に向かうには、君たちが、若者に憧れられるようなカッコイイ働き方、満足と安心がたっぷりある豊かな暮らしをしてくれるようにならねばならん、ということで、技術と知識は当然のこと、人間力とコミュニケーション能力を高め、現場で顧客からの信頼を勝ち取れるようになり、特命受注が取れる人気の職人いなってがっちり稼げるようになってもらいたいと言い続けています。

テーマは四方継。

そんなこんなで、前回の社会人としての心得はマーケティング理論の基本的な部分を超わかりやすい言葉に置き換えて、熱く語りましたし、今日もその復習に随分時間を費やしました。カリキュラムの時間配分は大幅に狂いましたが、大事なことは3度言え、と昔から言われていますし、丁寧に押さえておくべき部分だと判断しました。今日のテーマは道具の使い方と手入れ、木と建材の使い方と木材加工の実技実習でしたが、前回の振り返りに時間をたっぷり取ったせいで全体的にオシオシになってしまいました。一番時間を割いた実技実習では、丸鋸の定規の使い方、差し金の基本的な使い方、そして、簡単な墨付けと手加工の題材に四方蟻の仕口を作ってもらいました。意外なくらい皆が楽しそうに没頭している姿はやっぱり、モノづくりって誰もの心を奪う力がある良いものなのだと再確認させられました。

日本人は森の民。

座学の中心は、木の使い方というテーマに対して、日本人は古来から(キングダムの)楊端和の山の民ならぬ「森の民」であり、神話の時代、日本書紀にスサノオノミコトが「スギとクスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい。そのためには、たくさんの木の種をみんなで蒔こう」と言ったと書かれている程で、世界第3位の森林占有率の高さを誇り、世界の植林面積の10%が日本に存在しています。戦後、焼け野原になった日本は復興の為に積極的に植林を行い、今、その時に植えられた杉やヒノキが大量に伐採の時期を迎えています。しかし、安い外国産材に押されて、国産木材の消費は進まず、毎年供給過多の状態が続き、森林資源は増え続けています。最近は住宅だけでなく、学校や自治体の施設などでも木造化の動きがありますが、まだまだ供給量に追いついていません。

大工は正義の使者論。

今日の講座で、私は「木の建築こそ正義であり、大工は正義の使者である」と、少し、極端な言い方になりましたが、若い大工たちに誇りを持って、仕事に向き合え!と言い切りました、(笑)
その根拠は温室効果ガスの削減、建築をLCCMの観点で建築を考えれば圧倒的に木造がCO2の排出が少なく、環境に対する負荷が低いこと、国民的疾患になってしまった花粉症の元である成木になった杉、ヒノキを伐採することで花粉の飛散量を抑えることにつながること、一度、人間が手を入れた山を安全に保つには間伐、主伐、植林のサイクルを維持すべき事を挙げました。木を使った建築を行うことは、環境にも人にもメリットをもたらす正しい選択であり、それを推し進める私たちには正義があるのです。

木を知り、木を活かす。

最後は時間が押してしまい、少し駆け足になってしまいましたが、木を知り、材を選択し、適材適所に使う事で建物の寿命も延ばすことが出来るし、現在の建築材の主流になっているKD材(人工乾燥材)ではなく、AD材(自然乾燥材)やグリーン材を効果的に使う考え方、手法を伝えました。どれも基礎的な事ばかりで、実務にそのまま活かせるかというと疑問は残りますが、木に対する考え方、大工の使命についての根本的な考え方くらいは伝えられたように思います。私の少しオーバーな講義を聴いて、若者たちが使命感に燃え、誇りを持って仕事に向き合うようになってくれたらこんなに嬉しいことはありません。そして、この若手大工育成プロジェクトはまだ始まったばかり。先週、今週といいスタートを見れたと思うのでこの先が楽しみでなりません。これから半年間かけて、皆に熱い志を持ってもらえるように闘魂注入して行きたいと思います。(笑)


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仁王立ちで用を足す経営者の是非。#在り方を考える経営革新会議

令和2年8月5日 晴

初久留米。

今日は九州の久留米に来ています。先週からスタートしたJBNの若手大工育成事業で、人に優しい家を考える会主催の研修講師を務めるべく前乗りしてきました。ホテルは久留米駅から在来線に乗り換えて、数駅大牟田側の小さな駅ですが、向かう途中で久留米の街に立ち寄ったことがないのに気づき、久留米駅で途中下車して散策がてら夕食を摂ってみることにしました。こんなご時世なので、関西から来た客は嫌がられるかなと思いつつ、人気がありそうなラーメン店に足を向けてみましたが、残念ながら閉店している店が多く、少し寂しい感じも否めませんでしたが、それでも町並みもふら〜と入った店で提供されているメニューもなかなか面白く、予定通り、久留米ラーメンも堪能しました。あと、街行く人は意外とマスクもしていない人が多かったのも印象的でした。おおらかな土地柄なのかもしれません。

目玉焼きチャレンジ
目玉焼きチャレンジ

経営革新会議

私はあまりコロナに対してセンシティブにならないようにしていて、今週はずっと出かける日が続いています。昨日は夕方からTOTO社の方針説明会と新商品発表会がオンラインではなく会場で対面方式であり足を運びました。その後はTOTOリモデルクラブの定例会、経営者の学びの場として今年から新たな取り組みを始めた「経営革新会議」とその後の居酒屋での懇親会にも参加とどっぷり対面式の会合三昧、コロナなんてどこ吹く風といった感じです。ただ、マスクや手指消毒など、感染予防には留意しています。TOTOリモデルクラブ西神店会の生みの親とも言える初代会長である中尾さんが今期カムバックして、肝入りで始めた「経営革新会議」とは、経営者の本来の仕事とは何かを問い直し、やり方ではなく在り方を考える勉強会で、毎回白熱した議論が展開されており、今回も「経営者の仕事」について随分と熱く盛り上がりました。

傲慢の罪。

会議の後の懇親会でも、居酒屋に場所を移して、仕事に対してどんなモチベーションで向き合っているか、何のための経営なのか、と本質的な話題で随分と盛り上がりました。中には「昨日、いい加減な仕事をする社員を怒鳴り散らしたんですよ」と告白する社長もおり、「できの悪い社員ができの悪い仕事をするのはそもそも仕事の環境を整えられていない社長の責任だ!」と周りから厳しく諌められるひと幕もあったりして、まさにやり方ではなく、在り方を正す良い話し合いの場になっていました。私としては、明日の朝1番に、まず社長から怒鳴り散らした相手に謝罪することをお勧めしておきましたところ、今日になってその経営者から、従業員が先に改めて謝罪してきたとの報告がありました。経営者が7つの大罪の一つ、「傲慢の罪」に気づいたことで、それが相手に伝わったのかもしれません。(笑)

外に出たら仁王立ち。

そんな非常に勉強にもなり、面白い懇親会を終えてそろそろお開きにしようかと言うタイミングで、私はトイレに立って見てふと気づいたことがありました。それは、私の前にトイレに立ったメンバーが全員洋式便器の便座を上げたままで仁王立ちで小用を済ませていただろうと言うことです。席に戻り、トイレに行った数名のメンバーに仁王立ちで立って用をを足したのか?と質してみたところ、情けないことに全員がその通りだと答えられました。「別に目くじら立てるほどのことではないと思うかもしれないが、あなたたちは家でも男らしく仁王立ちで小便をするのか?」と重ねて聞くと、全員が家ではお行儀よく座って用を足すとのこと。おいおい、たった今、経営者としての在り方を議論していたにもかかわらず、そういう所で「自分だけが良ければ良い」的な発想と、行動を変えなければ何の意味もないと厳しく諫めておきました。

まず、イマカネジブン思考の脱却。

私は、経営者としてのあり方の最も根本にあるべきものは、自分だけ良ければ良いと言う考えからの脱却だと思っています。「今、金、自分」ばかりに執着する人間に人は寄り付かないし、当然お金も集まってこないのは誰もがわかっていることで、事業に関わる全員がその部分をしっかりと意識して、目先に囚われた選択、判断をしないように導くのが経営者の最も基本的で重要な役割だと思うのです。人事制度然り、顧客サービス然り、社員教育然り、地域貢献然り、どれも目先の儲けではなく人と未来に対する投資であり、信頼残高を積み重ねることで、未来の経営環境を整えていく事が最も重要だと考えています。もし、自宅のトイレで座って用を出すのなら、外出した際も裏表なく、同じ行動を選択する程度の事は最低限行うべきではないかと思いますし、あり方を見つめ直し、正すってそういうことではないかと思うのです。中尾会長、次回のテーマはトイレの使い方にされてはいかがでしょうか? (笑)


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木と土と人。#目に見えるものと見えないもの

令和2年8月4日晴れ時々曇り

灼熱の現場へ。

毎週火曜日は着工中の新築中学校の定例会議の日となっており、今日も昼前から北区の現場へと足を運びました。このインターナショナルスクールの新築工事は私たちつむぎ建築舎と学生を含めた学校側とで共に力を合わせ子供たちにのびのびと、楽しく、そして健康的に学んでもらえる環境を作り出すとのコンセプトに則って、計画を進めてきており、今、まさにそれが実行段階に移っています。限られた工期での竣工を目指す中、担当の大工にとってはかなり厳しいプレッシャーもかかっているようですが、現場に行ってみるとカリカリしている風もなく、皆が楽しそうに物づくりに励んでいるのを見て、とても嬉しい気持ちになりました。

 DIY本格始動。

学校と言う建物の性格上、当然、住宅に比べて大きな空間が必要となるのですが、構造計算を駆使し、制作金物で接続の剛性を強めたりして、建物のボリュームの割にはとても線の細い、華奢で美しい架構の建物になっています。内外装とも国産の杉やヒノキ、サワラ等の美しい板で仕上げることになっており、私たちのような大工集団の会社にとっては作業自体がうれしく楽しい現場です。この8月に入ってDIY作業も本格化、今日現場に行ってみると大きな壁一面に学校関係者のアーティストによる壁画が描かれており、ストローベイルといわれる藁を土壁で塗り固める断熱、壁仕上げの作業が進んでいました。皆さんとても楽しそうに生き生きと作業をされていて、現場全体が「良い気」で満たされているような印象を受けました。建物の竣工後、ここで学ぶ学生さんたちもその「気」を受け取って充実した学生生活を送ってくれるのではないか、なんて想像してしまいました。

ストローベイル建築

ストローベイルと言う藁を積み上げて土壁で塗り固めていく建築手法は日本ではあまり一般的ではなく、耳慣れない断熱の手法ですが、もともとアメリカの開拓者たちが身近に、ふんだんにあった藁を建築資材として使い始めたのが始まりで、自然由来の環境にやさしい工法であることから、1990年ごろからアメリカでムーブメントが起こったとのことです。日本ではまだまだ施工実績は少ないですが、富山にあるストローベイル研究会では材料の販売とともに施工の指導も行っておられます。今回も、はるばる富山から神戸にお越しになり、材の手配と施工のサポートをしてくださっています。

日本ストローベイルハウス研究会HPはこちら→http://www.sakichi-k.jp/japan_strawbale.html

大事なのは目に見えないもの。

私は、自分自身の職人としての経験から、精魂込めて作り上げた建物には、作り手の想いが乗り移ると信じています。良い「気」が満ちた建物は、そこで暮らす人たちの気持ちに少なからぬ影響を与えて、気持ちよく日々を過ごせることに大いに寄与すると思っています。それが私が大工の育成に注力し、自社社員大工による施工にこだわっている最も大きな理由です。そして、建物を構成する素材にもそれは当てはまり、気持ちの良い素材を使って建てられたものは良い気が満ちるに決まっています。現在、現場で大工の造作と並行して進んでいる藁や土を使ったDIYは大自然の恩恵を受けて育まれたものそのものを利用しており、まさに良き気が溢れ出しています。良い建築は設計と施工とそして気持ちが大事。本来の建築現場はまさに見えないものの価値が具現化される場だと思っています。このようなプロジェクトに携わることができた素晴らしいご縁に恵まれた事に心から感謝します。現場スタッフとともに良い気に満ち溢れた空間を作り上げたいと思います。


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全ての問題を解決する無駄な時間。#効率で人は幸せにならない

令和2年8月3日晴れ

夏到来。

梅雨も明け、本格的な夏の到来を感じさせる8月の一発目の月曜日。朝は最近、私の中で流行っている早朝オンライン会議からスタート。昼まで4時間みっちりと3本のミーティングを行ってしゃべりすぎたからか、やたら空腹感があり、ランチは徒歩2分にある近所のラーメン店「麺屋貝原」さんでいつになく大盛り牡蠣つけ麺を注文してしまいました。元気いっぱいというか、大人気無いというか、とにかく勢いよく1週間のスタートになりました。

事業所でやること。

今週も相変わらず、出張や会合が目白押しで、あまり事業所に入る時間はなさそうです。知り合いの方が通り掛かりにアポなしで事務所に訪問いただくと、ほぼ間違いなく私は不在にしておりまして、最近は事前の約束なしで来られる方はほとんどおられなくなってしまってます。そんな流れで、「いつ行っても事務所におられませんが、おられる時は何をしてるんですか?」とよく質問をされます。もちろん(少しは)建築実務も行っておりますが、 1番時間を割いているのはミーティングと面談だと思います。

会議と生産性。

会議の重要性については考え方によって様々だと思います。ミーティングや会議ばかりしていても、直接的な生産活動には結びついておらず、却って生産性を下げると感じる人もおられるでしょうし、特に最近、会議を効率化すべきだとか、不要な会議を取りやめにするべきといった論調が多く語られているように思います。確かに、ダラダラといい大人が雁首並べて話し込んだところで、たいした意味はないかもしれません。しかし、人は機械ではないし、効率だけを追い求めてうまく仕事が回るとは私はどうしても思えないのです。

効率化は人を幸せにしない。

18世紀の産業革命以降、人は圧倒的な効率化を求め続け、実現してきました。しかし、「人の幸せ」と言う観点で見たとき、果たしてそれは正解だったのかと疑問に思ってしまいます。大工は電動ノコギリが発明されて、作業時間は何分の1にも減りました。その結果、一子相伝と言われた伝統的な技の継承はなくなり、長期間の修行も必要なくなり、卓越した技術者であると言う誇りを失いました。それと引き換えに豊かな暮らしを手に入れたかと言うと、そんな事はなくかえって収入、所得も減るようになったのです。効率化は決して人を幸せにする事は無いと思うのです。

目に見えない効果。

では、逆説的に考えて、非効率は人を幸せにするかというと、それもそんな事はありません。無理、無駄、ムラは事故の元であり、人を不幸にする元凶でもあると思っています。結局、効率という軸で時間の使い方を考えれば、良くしても、悪くしても人は不幸になり、時間の使い方は違う軸で考えるべきだとなります。それが「効果性」であり、テクノロジーの進化が極まりつつある現代においては、時間短縮ではなく、人がそこにいることによる影響力を広げる、目に見えるものではなく、見えない力を磨くべきだと考えています。

全ての問題を解決する鍵。

そんなこんなで、決して効率的では無い、会議や面談に私が時間を費やし続けているのは、コミュニケーションをとる事によって、スタッフが持つ効果性を少しでも高めたい、その結果、会社全体の影響力を広げる事に繋げられたらと思っています。心理学の大家であるアドラーは人が抱える問題、悩みは全て人間関係に由来すると断じられました。それを解決するのはコミニケーションしか無く、電話よりもメール、メールよりもハガキ、ハガキよりも手紙と言った具合に手を掛け、時間を掛けたほうが気持ちは伝わりやすいと言われる様に、その根源的な取り組みに対して効率化なんてそもそもあまり関係がない様な気がします。心に訴えかけるコミュニケーション、体得したいものです。


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苦渋の決断。#人生は選択で作られる。

令和2年8月1日 晴れ

超高速時代。

今週はモーニングセミナーへの登壇や、九州での研修の講師、ワークショップの開催、理事を務める団体の会合などもあり、連日、早朝から夜までびっしりと予定が詰まっていて、ゆっくりデスクに座る時間がほとんどありませんでした、漸く日常生活に戻ってきたなー、と言う感じで、テレビの情報番組はおろかネットニュースさえロクに見る時間を持てずにやるべきことを粛々と行っていると、世間様の動向にあっという間に疎くなってしまう様で、知らないうちに梅雨明け宣言が出されていたし、東京では1日の新規感染者が400人を超え、爆発的な増加、第二波の到来に日本中が震え上がっていたようです。世の中が移り変わるスピードは圧倒的に速くなっているのですねー。

一週間で浦島太郎かよ。

実は、私が代表を務める株式会社四方継では、来週、コロナの影響で延び延びになっていた協力業者会の総会を開催する予定をしておりました。もちろん、コロナが収束の兆しが見えた緊急事態宣言が解除になったタイミングで企画したわけですが、ここにきて新規感染者数が大幅に増えたのを敏感に察知した人たちから、参加の辞退が相次ぎ、社員からも懇親会に出たくないとか、会議もリモートで参加してもいいですか、などの意見が続出。私としては、別に世間から距離をとって田舎に引っ込んでいたわけでもないし、意識して情報をシャットアウトしていたわけでもなく、ただ一週間ほど忙しかっただけですが、積極的に外部からの(私にとって大して重要でない)情報に目を向けなかっただけで、こんなにも世間との意識差が大きくなるのかと正直驚きました。

センシティブなスパイラル。

私にしてみれば、東京で400人越えの新規感染者が出たところで、人口比率からすれば大した事ないし、以前からPCR検査を思うように受けれないと言っていた時点で潜在的な感染者数はもっと多くいると言うのは自明の理だと思っていました。ここにきて大騒ぎするほどのことでは無いように思いますが、連日あれだけメディアが大騒ぎしたら、自治体の首長は反応せずにはいられないでしょうし、重症化数も死者数も増加していないし大したことない、と口に出せば、人の命を何だと思っているのだ!ととめどない批判でネット上がバズり、それをTVが誇張拡散して袋叩きにあう構図は、負のスパイラルの様に大げさなセンシティブな世界に誰もを引きずり込んでいる様に思えてなりません。大騒ぎになればなるほど、儲かると勘違いしているメディアの薄っぺらい慣習に振り回されるのにそろそろ危機感を持つべきではないか、なんて思います。

センシティブ 大辞林 第三版の解説

( 形動 )

① 感じやすいさま。鋭敏。 「 -な感性」
② 微妙なさま。取り扱いに注意を要するさま。 

苦渋の決断

今回の業者総会を中止するのは、正直言って苦渋の決断でした。私としては、株式会社四方継の理念の実現に向けて、今一度、私達の在り方を伝え、取引先、協力業者の方々への貢献をコミットメントしたい、そんな場を持つのが目的でした。コロナの感染者、保菌者は現在発表されている数よりもそもそももっと多いと思っているし、検査数と共に増える新規感染者数の増加で経済を止めてしまうと本当に取り返しがつかない位の深刻な打撃を被ってしまうと思っていて、感染しないように細心の注意は払いながらも、事業計画は粛々と遂行するべきだと思っていますし、コロナ前と同じように、とはいきませんが、新しい環境下で出来る限りの取り組みを進めようとしています。しかし、50人以上もの人を集めて会合を開くとなれば、私の意志、価値観を押し付けるわけにはいかないのも実際で、嫌がる人を無理矢理参加させたところで何の価値もなくなると思っています。この数日、社内外から会合、懇親会ともに参加を辞退したいと言う声が続々と上がり、兵庫県でも感染警戒期から拡大期に移行して、大人数の会合を控えるようにと井戸知事が声明を出された時点でやっぱり中止せざるをえないと判断した次第です。

未来なき、理想なき世界に誰が夢を抱くのか

人生は選択によって作られている。とは良く耳にする言葉ですし、生きていく上での基本原則の一つだと思っています。今の自分は10年前の選択の結果ですし、10年後は今の選択によって作られるのは間違いないと思うのです。ただ、凄いスピードでめまぐるしく変化する現代にあって、常に10年後を意識して判断を下し続けるのは至難の業、つい、目先や直近を見て、どうあるべきか?ではなく、どうするべきかを考えてしまうのは私を含め、誰しもだと思います。しかし、理想も未来への希望もない世界では誰もが夢を描く事さえ無くなってしまいます。緊急で重要な事に注力するのは大事ですが、あくまでも重要度で判断すべきなのは自明の理、苦悩を重ねながらも、緊急性の高い課題と重要度が重い取り組みの両方に力を配分するべきだと思うのです。

極端な思考はろくなことにならない。

日常生活にあまりにも暗い影を落とし始めたコロナ禍は、やもすれば全てをマイナスの思考、動かない、しないと言う判断に人々を引き込んでいこうとします。しかし、脊髄反射型の極端な選択は後々ろくなことにならない事は想像に難くなく、このまま感染者が増え続けたからといって全てを止めて良いわけはありません。中庸の道は神の選択と言われる位に難しいとされますが、感染者増大による医療崩壊と、萎縮しすぎる反動の経済崩壊のどちらでもないバランスのとれた選択をわれわれは日々1つずつ丁寧にしていくべきではないのかなんて思うのです。とは言え、世の中の事象はそれを観る人のパラダイムによって全く異なって見えるもの。決して押し付けではなく、価値観やパラダイムに共感してもらえるように言葉だけではなく行動で見せ続けなければならないのかもしれません。勇気を持って、勇気を与えられる仕事をしていきたいと心から思います。


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