令和2年11月7日雨
繁忙期なのか?
このところ週末は新築や中古住宅を買ってフルリノベーションをお考えのお客様との打ち合わせずっと続いており、全体的な資金計画のアドバイスや土地の選定、住宅ローンのアテンドなど私が受け持っている部分のご相談を非常に多くいただいてます。これもコロナの影響なのか、繁忙期なのかはさておき、とてもありがたい事は間違いありません。今日も張り切って先週、中古住宅を購入する予定のお客様と一緒に物件を内覧しに行き、改修工事の相談を受けていただけにもかかわらず、購入自体をやめたほうがいいとアドバイスしたお客様宅を訪問しました。結果、土地探しからやり直して、新築を建てる計画に変更することになりましたが、その過程で体験された耳を疑うようなひどい話をお客様の口から聞かされ、非常に驚いたとともに、住宅業界の深い闇を今更ながら感じさせられた次第です。
まともな人?
私が中古物件の購入をやめておいた方が良いとアドバイスした理由は大きく2つで、1つは価格が高かったこと。もう一つは、事故で車いす生活を余儀なくされているお客様が暮らすには、建て売り住宅の中古物件はその方の暮らしに沿った作りになっていないし、改修で問題を解決するには費用がかかりすぎるからです。同じ金額を出せばもっと暮らしやすいお客様に合った住宅を作れると判断したから、急いで中古物件を買う必要はないのでは、と進言しました。物件を見に行った翌日に、その旨を電話で告げたのですが、今回、嬉しかったのは、私が電話を切った後にご夫婦で「やっと、まともなアドバイスをくれる人と巡り会えた。」と話していたと伺ったことです。本当は気乗りしていなかったにもかかわらず、不動産仲介の営業マンにぐいぐいと押されて仕方なしに購入しようかと話していたのが、思い止まれたとの事でした。
自己破産したら大丈夫!
最も衝撃的だったのは、物件購入価格と改修費用を合算すると、予算的に返済の心配があるとお客様が不動産営業に告げると、その営業マンは「もし旦那さんに何かがあって返済できなくなったら奥さんは自己破産したら返さなくていいですよ。4〜5年カードが作れないくらいですから」とアドバイスされたと聞いたことです。(もちろん全てではありませんが、)不動産会社や、分譲住宅販売会社は住宅を売ってしまうと、後はどうなろうと関係ないと言うスタンスの人が少なくないのはわかっていましたが、そこまでひどいことを言ったのは聞いたことがありません。憤るのを通り越して驚いてしまいました。そんなありえないような言動が不動産仲介の営業マンの口から飛び出す背景には、住宅を取得する人は素人で、プロである自分は何を言っても、そんなものか、と受け取ってもらえるという驕りが見え隠れします。こんな営業マンがあるから、金利がこんなに下がっても住宅ローンを払えなくなって任意売却する人がいつまで経っても無くならず、一定数出てしまうのでしょう。
仁義無き販売
おまけに、その営業マンは中古住宅を買ってリフォーム工事をするには自社の紹介する業者じゃないと住宅ローンと一本化できないと嘘をついて、自分の息のかかった業者でリフォームするように勧めたとのことです。お客様もさすがにこれは騙しにかかっているなと思い、私たちに声がかかったようで、今回は私たちをご紹介いただいて事なきを得ましたが、そのまま不動産仲介の営業マンの話を鵜呑みにしていたらとんでもないことになったかもしれません。てか、そんな人も多くいるから営業マンもこのように言ったのだと思います。更に、私が現場を見に行った際にも、もうすでに一番手の買い付けが入っていて、ローン審査中の顧客がついているとの事でしたが、その人は自営業者でローン審査に時間がかかっているので先に審査が通ればその人を断ってこちらに販売しますと、長年この業界にいる私でさえ初めて聞く、耳を疑うようなことを言っていました。とにかく今、金が儲かればそれで良いと言う社風の表れなのかもしれませんが、人の道も仁義もあったもんではありません。
全て我々の責任。
そんなひどい話を聞かしてもらいながら、私が大いに反省したのはすぐ近所にお住まいの方に、我々の存在を知ってもらう機会を作れていなかったと言うことです。自分たちとご縁をいただいた方には、絶対に後悔のない家づくりを提案しているつもりですが、それは紹介をいただくなどのごく限られた人を対象にしており、我々が根ざしている地域に自分たちの事業内容や存在をアピールできていないことがそもそもの原因の一端であると深く反省した次第です。住宅業界の深い闇を嘆いていても悲しい思いをする人がいるわけではなく、もっと積極的にまともな業者が地域にいることを知ってもらえるような場づくりをしなければならないと改めて感じた次第です。これまでの10年間、宣伝広告の類を一切やめてきましたが、今一度それも見直して、決して売り込むのではなく、正しく、まともな情報提供者として地域の人たちにアプローチする方法論を考えたいと思います。NPO法人ひょうご安心リフォーム推進員会活動や、ひょうご木遣い王国学校、JBN(全国工務店協会)そして神戸空き家対策プロジェクトチームなど、私たちが所属している各種団体での啓蒙活動を更に活発にするとともに、自社での地域の方への認知拡大を中期経営計画に落とせるように今一度考えてみます。それにしても、世界はなかなか成熟に向かわないものなんだ。。