知識のパラドックスと茹でガエル。#逆転の時代

令和2年11月16日晴れ

習慣を継続するには執着心がいる。

昨日の日曜日は朝10時から2時間おきに4件の新築やリノベーションのお客様との打ち合わせやワークショップの予定がぎっしりと埋まっており、年間通して予定を入れている、日曜日のルーティーンである午前中のトレーニングの時間さえも取れないとあきらめる忙しさでした。大体、平日はずっと研修事業の出張やら会合で事業所にいないこともあり、どうしても建築実務は週末にまとめてしまいがちで、それも致し方ないのですが、こんなことでトレーニングを諦めていては体調管理などできるわけがないと、今朝は少し早起きをして出社前に昨日のツケを払うべく、10キロ程度のランニングをしておきました。これで今週も飲み放題食い放題の生活を送っても大丈夫です。(笑)

コロナで活性化している不動産業界。

実はこのところ、新築を建てたり、中古物件を購入してリノベーションしたりして住み変えたいと言われるお客さんが非常に増えており、土地や物件探しのお手伝いをすることが非常に増えています。神戸ではどうやら、不動産市場全体がやたら活性化してて、1年前までよりどりみどりに物件が売りに出ていた地域でも、今は非常に品薄になりちょっとした物件争奪戦の様相を呈しています。これもコロナの影響でおうち時間が増えた影響なのか、政府のバラマキ政策で、所得が減少していない層の人たちの預貯金が増えたからなのかは分かりませんが、とにかく消費税増税前かよ?と思える位の活況ぶりです。

行列を見ると並びたくなる。

先週末、近江八幡を訪れた際、クラブハリエに立ち寄って普段食べることのない生大福を私もつい食べたのですが、それはあまりの人気ぶりに興味をそそられたからでした。行列ができているところに人が集まるとよく言われますが、同じ心理かどうか分かりませんが、とにかく神戸市内の売り土地は新しく出た側から次々に売れていく有様で、買い手側としてはじっくり検討する時間もままならない位焦ってしまうような状況です。私たちつむぎ建築舎は不動産事業を行っておりませんので、土地探しの手伝いといっても、提携している信頼できる不動産業者をご紹介する形になるのですが、最近とみに明らかになったのは、レインズと言われる不動産業者専門の情報バンクとインターネットに公開されている情報がほぼ同じ、と言うよりも一般の人が見れる不動産サイトの方が物件が多かったりする現象まで現れていると言うことです。

情報革命で生まれたパラドックス。

熱心にインターネットの情報をチェックすれば、不動産業者と変わらない位の情報をユーザが手にできるようになった時代、不動産会社の存在意義は物件探し、提案よりも取引の実務に重心が移り、非常に薄くなってしまいました。とは言え、先日このブログで書いたように、「自分たちの息のかかった建築会社でリフォームしないとその費用は住宅ローンに組み込みません。」などと、自社の利益を優先して無茶苦茶な嘘の情報を流す業者もおりますし、個人のユーザーが直接問い合わせをして、個人情報を渡してしまうとそこ以外の仲介業者が取引に入れないようになるなどおかしな慣習が残っている業界ですので、物件が探せるからといって闇雲に問い合わせするのは危なかっしいですが、それでも基本的な情報収集ぐらいは個人でも簡単にできてしまうようになりました。もう、個人と専門業者間の「情報の隔たり」はほぼなくなったと言っても過言ではありません。むしろ購入者の方が一生懸命検索することを考えれば逆転してしまっている可能性もあります。

情報リテラシーの変化

一般ユーザの方が専門業者よりも情報量を多く持っているようになると専門家としての存在意義がなくなると書きましたが、それは不動産業界だけにとどまらず、あらゆる業界に置き換えることができると思っていて、特に情報が閉鎖的だった建築業界ではその傾向が顕著に現れるのではないかと思っています。さすがに、世界一厳しいと言われている日本の建築基準法の内容すべてを一般ユーザが把握される事はないと思いますが、それでも施工や行政の手続き、不具合があった際の瑕疵保証など、カテゴリーを絞って検索すれば、1日あればプロと同じくらいの知識を身に付けられるようになっていると思います。もちろん、インターネット上にある情報が全て正しいわけはなく、情報配信者のポジショントーク的なロジックをさもエビデンスのように公開しているサイトもあるので注意は必要ですが、数多くの情報を収集して比較検討すればおのずと正解は見えてくるもので、そのレベルの知識や情報は我々プロの立場の人間は全て把握しておけなければ話になりません。最低限必要な情報に対するリテラシーが大きく変わったのです。

茹でガエル達。

上述のような逆転現象は紛れもなく情報革命の産物で、店舗や商業施設への魚の卸売を行なっている会社がHPを立ち上げて、消費者に直売を始めたら連日大行列ができる盛況ぶりで、コロナ前の売上よりも伸びたとのニュースに合ったように、世の中の変化に適応できた事業所にはビジネスチャンスがあるし、そうでない会社は飲食店の没落と一緒に心中するしかありません。このところヤバイな、と感じるのは、建設業界(不動産業界も)で働く人(自社の社員も含めて)があまり危機感を感じられていないことで、茹でガエルの故事のように鍋の下に火がついているにもかかわらず、熱湯になって大火傷をするまで鍋から出ようとしないのではないか?という危惧です。未来を作るというのは、未来のリスクを叩き潰す状態管理を繰り返すことであり、執着を持って習慣に取り組む姿勢がなければ、アップデートされないサービスも組織も陳腐化して滅びてしまいます。今一度、現状維持は緩やかな破滅への道だと認識を新たにするべきだし、熱く伝えていきたいと思います。


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天秤の街で感じた明るい未来。#四方良し

令和2年11月14日快晴

コロナ慣れ?

昨日は筑後での若手大工育成プロジェクトの講師を終えた後、博多に立ち寄り西新にあるクライアントのお店にメンテナンスの打ち合わせに立ち寄りました。コロナの影響で飲食店はどこも苦戦しているとの印象だったのですが、行ってみるとまさかの満員御礼。焼き台の上にびっしりと焼き鳥が並べられ、大将は額に汗をかきながら黙々と鶏を焼いており、話をするどころではない状態でした。繁盛していて何よりです。と、とりあえず声をかけ、落ち着くまで私もカウンターに座ってビールを飲むことにしたのですが、次々と追加オーダーが入りなかなか大将の手が空きません。このままでは最終の新幹線に乗り遅れると若干焦りましたが、あわやのところで何とか打ち合わせを終えて無事に帰神することができました。11月に入り北海道を始めとしてコロナ第3波の襲来がささやかれておりますが、意外と皆さんコロナとの共生する暮らしに慣れてきたのかもしれません。

観光業応援イベント!

今朝は朝早くから紡ぎ手(社員大工)スタッフとのコーチングを行い、その後そそくさと事務所を飛び出して、コロナの影響で壊滅的な打撃を受けた観光業の方への応援イベントとして企画された近江八幡へのバスツアーに参加しました。ツアーを取り仕切っておられた旅行代理店さんは、私もコロナ騒動が勃発する前までは、毎月の出張で大変お世話になっていた方で、少しでもお力になれればと思いこの度のツアーに参加しました。今時、旅行や出張の予約は誰でもインターネットで簡単にできる時代になりましたが、情報が溢れすぎており、何がいいのか判断を下すまでに随分と時間がかかるようになってしまいました。そんな中、信頼のおける旅行代理店さんの存在は非常に貴重で、行く先と日程を丸投げするだけで確かな旅(出張)を手配してくれます。GOTOキャンペーンもまだ継続されるみたいですし、これを機に観光業界の皆様のご商売が上向きになってくれることを願うばかりです。

近江商人の街

今回、ひょんなご縁で久しぶりに近江八幡の街を散策する機会に恵まれて、建築家ヴォーリズの足跡を辿りながら改めて感じたのは近江商人と言うブランドを街の人達がとても大切にしている事と、きっとその基盤があってのことだと思いますが、街全体がとても豊かに見えました。世界に誇る日本的経営の代表格と言われる三方良しの本家本元は、そこに住まい商いを営まれる人たちが皆、売り手よし、買い手よし、世間よしになるような思考を持っておられ、おのずと良いコミュニティーが出来上がり、商いも活発になって、経済的にも良い街になり、そこに住まう人たちも豊かな暮らしを営まれているのではないかとの仮説を立ててしまうほど、非常に良い気に溢れた街並みでした。

四方良しの世界

私たちは昨年、リブランディングを行う過程で、授業の目的をもう一度見直し、スタッフとのディスカッションやヒアリングを繰り返しました。その結果、信頼できるクライアントと価値の高い良い仕事がしたいと言うスタッフの共通した想いを抽出し、信頼の輪を広げる事でそれを実現したいと事業理念として定め直したのが、「ひと、まち、暮らし、文化を繋ぎ四方良しの世界を作る」の一文でした。その理念に従って常に思考をめぐらし、全ての判断をできるように、社名も株式会社四方継と変更した次第です。近江八幡は長い歴史を積み重ねた上で、豊かな街とコミュニティーが形成されていったと思いますが、私たちも身近にご縁があった方から、四方良しの考えをもとに商売をしている旨の理解を得られるように地道な努力を積み重ねることで、いつか地域に良いコミュニティー、良い街が出来上がるのに寄与できるのではないかと思っています。久々に訪れた近江八幡の街で、とても良い刺激とともに我々が目指す世界に対して力強く背中を押していただいたような気がしました。近江八幡を見習って四方良しの世界を少しずつではありますが確実に作り上げていきたいと思います。本日は、素晴らしいご縁をありがとうございました。


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