至福の時間と三方少し不満。

令和2年6月6日 曇り

例年より早い梅雨入り。

先日、今週の初めに梅雨入りした九州に続き、四国が昨年よりも5日早く梅雨入りしたと言うニュースが流れました。いよいよ関西も梅雨入りの秒読み段階に入ったようで、今日は朝から重たい雲が空を覆い、晴天続きの爽やかな5月の終わりを示唆しているかのようでした。このところ、現場担当者として携わってきたインターナショナルスクールの新築工事は基礎が終わり、来週の上棟を前に担当者に引き継ぐタイミングとなり、工程通りに基礎工事を終えられたことにほっと胸を撫で下ろしておりましたが、建て方と同時に梅雨入りになりそうな、嫌な雰囲気になっています。

お天気まかせ。

そんなこんなで、午前中は来週の工程について、雨天の際にどのように進めるかの打ち合わせを行いましたが、所詮相手がお天道様であり、私たちのコントロールできる範疇の外、天気予報のみで早々に判断するわけにもいかず、基本的な方針だけを固めて、後は直前の情報を鑑みて来週判断しようと言うことになりました。昔から「土方殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の3日も降れば良い」と言われますが、規模の大きい木造建築では上棟工事に十数人の大工の手配とレッカー車、そして10台にも上る大型トラックを用意する必要があり、日程を変えるだけで大きな損失が生まれます。かといって、無理をして工事を進めれば足を滑らせ滑落する危険もあり、材料を濡らしてしまうリスクもあり、本当に判断が難しいところです。最も優先順位を置くのは何か、だけで割り切って簡単に判断できないのが実際のところ、悩ましい限りです。

至福の時間。

話は変わって、昼からは滋賀県に移動、1年前に新築工事を終えてお引き渡しをしたお客様宅に、1年点検のアフターフォローと、別棟のリフォーム工事の相談をいただいて伺いました。お客様から、家具などの調度品が入ってから、皆さんに見てもらってないのでと社員も帯同しないかとお声掛けをいただき、設計と大工のスタッフも伴ってお伺いしてきました。結局、アフターフォローと言うよりは食事とシャンパンをご馳走になり、おもてなしをいただいた感じになってしまいました。自分たちが設計し作った住宅での暮らしにとても満足しているとの言葉もいただき、至福の時間を過ごさせてもらうことができました。

三方少し不満

おいしい食事とお酒をいただきながらお客様といろんな話題で話は盛り上がりました。その中で、三方良しの世界を標榜し社名を変更して株式会社四方継として新たな活動を始めた私たちのビジネスモデルにも話が及び、海外での不動産鑑定をされているお客様に、不動産の世界では「三方少し不満」の取引が昔から最も良いとされていると教えていただきました。場所柄が滋賀県大津市ということで三方良しの本家本元の地だけに、三方良し研究会なるものが開催されており、そこにも参加されているとのことで、「売り手よし、買い手よし、世間良し」の一筋縄では実現しない、商売の理想とされるこの概念について、深い洞察を繰り返されているのだと感嘆させられた次第です。

建設業界にwin winは無い。

8年ほど前、協力業者さんに集まってもらい、四方良しの会と言うネーミングで、勉強会及び、ディスカッションの場を設ける取り組みを始めた時、とある建設機械のリース業者の担当者さんは「建設業界において、win winの関係など絶対にありえない。」とかたくなに言われていました。確かに、表面的には元請け会社とその発注先は利益相反の関係にあり、特に建設業界は厳しいコスト競争にさらされていたこともあり、ずいぶんと無理難題を押し付けられ、辛い思いを積み重ねてきたのだろうと感じましたが、われわれはそうではないと彼の言葉を強く否定して、今に至ります。今では、その会社の改装工事や彼の自宅や親戚の家のリフォームまでもお声掛けいただけるようになり、非常に良好な関係を保っています。

競争社会にあるジレンマ。

建設工事は多くの専門業者が関わり、力を合わせて工事を進めなければ成り立ちません。そう考えると、目先の利益にとらわれて、無理な値引きを押し付けるなど、取引先や職人さんを泣かすなんて事は長い目で見ると、あってはならないことですが、長年の悪習慣として建設業界に下請け泣かせがはびこって来たは事実です。職人集団からスタートした私たちは、そんな事はあってはならないと協力業者に赤字工事は絶対にさせないと、最低保証を付けて工事の依頼をしています。しかし、自社を含めてすべての両者が適正な利益を得ようとすると、どうしても建築コストは高くなりがちで、資本主義経済の厳しい競争社会の中にあっては、欲しいだけ、不思議なだけ請求してくれば良いと言うわけにはいかないのも実際です。

不断の努力が三方良しを支える。

そう考えれば、お客様、私たち、協力業者のそれぞれが、出来る限りの努力をして、「少し不満、程度の利益確保をよしとしよう」と受容することこそが重要なのだと気付かされます。不動産業界で売り手と買い手と仲介者のそれぞれが少し不満と思える取引が最も良いとされるのは、リアルな商売のシーンを考えれば極めて現実的で、真理なのかもしれません。今は亡き、水口健二先生が主催されていたマーケティング戦略塾で、「すべてのコストは消費者が負担する。これを絶対に忘れてはならない。」と繰り返し言い続けておられましたが、関係する全ての業者が、常に余分なコスト抑えるための努力をし続けることが、三方良しの世界を実現するには欠かせないのだと改めて気付かされた次第です。コロナ明けの、次回の関係業者さんとのミーティングではこの考え方を熱く伝えたいと思います。幡社長、素晴らしい気づきをありがとうございました。


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