自然経営 JINEN KEIEI

令和2年6月30日雨

令和2年の折り返し。

6月も今日でおしまい。令和になって初めて迎えた新年からあっという間に半年が過ぎ、今年も今日で上半期が終わります。今日の神戸は久しぶりに梅雨らしく、1日中強い雨が降り続けました。激しい雨とともに、風も強く淡路島との橋が通行止めになるほど、令和2年の折り返しは今年の上半期を象徴するかのような大荒れの天気になりました。そんな激しい変化があったこの半年を振り返りながら、今週から半期に1度の社員全員との個人面談がスタートしており、あらかじめ入っていた予定以外は、スケジュールは全てすべてスタッフに向き合う時間で埋め尽くしています。

面談の2つの目的。

経営者が社員全員と膝を突き合わせて1時間近くの面談を行うのは、結構な時間とエネルギーを要するもので、良いか悪いかは別として、我々くらいの20人程度の事業所の規模までしかできないのではないかと思っています。面談の目的は大きく2つあり、1つは役割分担した仕事量の進捗確認とそれに対する評価。もう一つは業務改善提案と言う名のスタッフからの経営に対する批判や意見を聞く場となっており、言いたいことを何でも言ってもらい、出来る限り次の半年後の面談までにそれらの問題点を解決するように努力することをを約束します。もちろん私からの要望を伝えることもありますが、基本的にはスタッフに働きやすい環境を提供するためのヒアリングの時間にしています。

改善を繰り返してきた長い歴史。

今の本社ビルに移転してからかれこれ15年間、毎年繰り返し社員の声に耳を傾け、(最近ではずいぶんマシになりましたが)やもすれば愚痴や不平不満とも取れるようなネガティブな言葉と、私への正面切っての批判を聞き続けています。たまに心が折れそうになることもありますが、それでもスタッフにとって皆がやりがいのある、働きやすい職場環境にしたいとの思いでそれらの言葉を真摯に受け止め、(私自身を含め)改善を繰り返してきた歴史があります。もちろん、未だに組織として成熟し、完成形に近づいてきたとは言い難いし、全く思いませんが、それでも人事制度や評価制度、組織の形態自体も毎年のように繰り返し見直して修正改善を繰り返してきました。

水と油。

私としては、もちろんスタッフから不平不満を聞きたいわけではなくて、スタッフ全員にやりがいを持って楽しく安心して働ける環境を提供し、そして未来に希望を持って豊かな暮らしをしてもらいたい一心で、それが私が事業を行ってきた大きな目的の一つです。そして、建築と言う事業は顧客の意図を汲んで計画する、設計する者、見積もりや発注等の事務処理をする者、実際に現場でものを作る者、工事全体を管理する者、そしてアフターフォローを行って顧客の暮らしを守る者と多くの人が力を合わせてこそできる事業で、私たちはその全てを内製化し、すべての業務を設計者と大工に集約してきました。私の持論では工務店は設計士と大工がいればその他の営業や施工管理などの職種は必要ないと考えており、女性の設計と男性の大工の育成をこの20年続けてきました、しかし、水と油のようなこの2つの部署を取りまとめ、全体最適を目指すのは本当に難しく、創業から20年経った今でも、いまだにすべての問題を解消できたわけではありません。

無管理でシームレスな組織

長年の試行錯誤を経て、スタッフ皆が気持ちよく働けて、しかも顧客からの評価を得て事業として自立循環していくために、私がたどり着いた答えは、部門部署の解体と徹底した役割分担と権限委譲セットのでした。男性の大工と女性の設計者がペアとなり、小さな工務店よろしく、お客様や案件に対して2人でチームを組みヒアリングから設計、見積もり、契約、施工、引き渡しまでを行い、当然年間の売り上げ、利益額の目標設定も行い、主体性と責任を持って事業に取り組んでもらう、非常に変わった形になってます。6つのチームがそれぞれ独立した形で事業を行いますが、当然会社としては1つなので全員が同じ目的を持ち、同じ方向向いて助け合うようにしてもらいながら、今季から新たにスタートさせた建築以外の地域コミュニティー事業はそもそも建築のお客様向けのサービスが中心であることから全体的にシームレスにつながるような組織づくりを目指してきました。

目指すのは自立循環型組織。

部署も、上下関係もなく、リーダーも不在でも、目的を共有し、それぞれが顧客接点で責任を持って役割を全うしながら助け合う組織こそが、全体の事業が回り続けるという、我ながらずいぶんと変わった組織の形になってきたものだと思っておりましたが、この組織形態にして2年が経ち、最近はなんとなくそれぞれが主体性を持って事業を運営してくれるようになってきたように感じています。そもそもスタッフの半分以上が在籍10年を超えており、建築のプロフェッショナルでしかるべき、今更管理するのもおかしな話です。もちろん、うまくいく事ばかりではなく、管理をしていない分、担当者の意識レベルが低い場合はお客様に迷惑をかけることもあります。それは私達の実力だと反省して私が謝罪に出向き、善後策を講じながら、全体の底上げを出来る様に地道な努力を積み重ねています。残念ですが、理論で分かっている事をそのまま実践に落としきれないものです。

トップダウンでも、ボトムアップでもない組織。

近年、ティール型組織と呼ばれる主体性を持った、従来のピラミッド型の管理体制ではなく、個々の個性、才能を遺憾なく発揮できる組織が注目を浴びるようになりました。私としては別にティール組織を目指したわけではありませんが、自律循環型のビジネスモデルを目指せば、結局はスタッフの主体性を認め育むのがごく自然な流れなんだと思っています。最近、改めて組織改革の勉強してみようと思い立ち、そのティール組織をテーマにした書籍「自然経営」を読んでみると、私たちの組織図と全く同じ組織図が掲載されてあり少し驚きましたが、ドラッカー博士が言われたように、最終的には経営者の覚悟と責任を全員が持つ組織を作るべきだとの言葉は、長い時を経て徐々にスタンダードになって来ているのかもしれません。私たちもまだまだ課題は山積みではありますが、トップダウンでもボトムアップでもない個々が輝ける組織を目指して地道な改革を続けていきたいと思っています。


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