3つの鏡 #貞観政要〜古代中国に学ぶ「世界最高のリーダー論」〜

令和2年9月28日晴れ

タイムマネジメントが全て。

神戸は気持ちの良い秋空が広がりました。このところ出張がコロナ前と同じ位に戻ったこともあり、先週はほぼ事務所にいることがなく、その反動で9月ラストの週はぎっしりと予定が詰まってしまっています。今年、私がなかなか上手く出来ないと悩みを抱えるタイムマネジメントの改善で心がけている事は、整える時間をスケジュールの中に織り込むことなのですが、とは言え、次々と入ってくるお声掛けに対して、むげに先送りするのもできなくて、つい、無理矢理予定に入れ込んでしまいます。一旦、予定が詰まり出すと加速度的に過密なスケジュールになってしまい、なかなかタイムマネジメント下手から脱出できません。

インプットとアウトプットのバランス。

研修事業の出張やお客様先での打ち合わせ、プレゼンテーションの機会が多いと言うのは非常にありがたいことで、常に多くのアウトプットの機会に恵まれていると言うことでもあります。出すばかりでは出涸らしになってしまう危機感もあり、アウトプットとインプットのバランスを同じ位に整えたいとの観点から出張の際の移動時間は(本当はもっと仕事をするべきなのですが、笑)できるだけ読書に時間を割くようにしています。最近、四方継の事務所の片隅で運営している「継文庫」なるインターネット図書館に、寄贈本を多くいただいたことが功を奏して、本棚には私が未だ読んでいない本が沢山あり、出張のたびにその書棚から本を持ち出してはインプットに励むようにしています。

読むべき本、学ぶべき概念。

私は基本的に小説しか読まないようにしているのですが、経営者として、と言うより、職業人として知っておくべき素養ととして読んでおくべき書籍があるとも思っていて、半ば義務感に駆られて面白い小説を読むのをぐっとこらえて、ビジネス書の類も少しは読むようにしています。今回の出張のお供は、尊敬している多くの経営者の先輩たちがこれは読んでおくべきだ。と強く勧められていた「貞観政要」でした。古代中国の皇帝が行った政治の要諦を綴った本と言うことで、現代とは随分と時代背景も違うますし、そのまま全て今の生活に当てはまり、参考になる事はありませんが、それでも人心が乱れた時代を、平和にかつ豊かな時代に導いたとされる明君のモノの考え方やあり方はやはり人が生きていく上での原理原則に則っており非常に勉強になりました。

太宗 李世民の教え

歴史に残る明君と称される唐の第2代皇帝、太宗 李世民の言行録であるこの本は、リーダーのあり方、持つべき思想や判断について連綿と記述がされており、後世に偉業を成し遂げた、クビライ、徳川家康、明治天皇などの偉人たちがこぞってそれを読み、参考にされたと言われます。そこに書かれてある内容は多岐に渡り、長大な文章になっているようですが、今回私が手にしたのは、現代の知の巨人と言われる出口治明さんが上梓されたそのコアな部分、インサイトだけを取り上げて解説された要約本です。そして、出口氏が座右の書とされているこの大書の中でリーダーが学ぶべき最も重要な概念は「3つの鏡」を持つべきだと書かれています。

3つの鏡

3つの鏡とはすなわち、「道の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」のことで、銅の鏡とはいわゆる自分の顔を映し出す鏡であり、不機嫌そうな顔、人を寄せ付けない姿をしていないかを自己確認する必要を説かれており、歴史の鏡とは歴史は繰り返すと言われるように、本を読み、先人に学ぶこと、歴史に学ぶ必要性を説かれています。そして、人の鏡とは自分の悪い部分、是正しなければならない考え方や行い等について、広く意見を聞き、諫言を受け入れることの重要性を示しています。特に、太宗 李世民は諫言してくれる重臣を身近に置き、重用した事がつとに有名で、自分にとって嫌なことを言ってくれる人を排することなく、苦言を呈されることに感謝して身近に置くべきだと出口氏は繰り返し書かれておられました。

 

反対勢力ではなく鏡

私も、50代半ばに差し掛かり、若い頃に比べると格段に人から叱られたりダメ出しされる事が少なくなりました。書道や茶道の先生について教えを乞うているときは、当然指導されることも多いですが、こと事業については、曲がりなりにも組織のトップであり、最高責任者である以上、私が判断、決定することが非常に多いのが現実です。ただ、新たな取り組みをするにあたって計画を発表すると、意外と反対意見やダメ出しをスタッフから出されることが多くあります。改革を推し進めようとする私の計画の問題点を指摘されたら、やもすれば反対勢力だと感じてしまいかねません。

古典は古典に学べ。

しかし、それも「人の鏡」だと思えば、会社のことを考えての諫言であるかも知れず、私はもっと喜んでそれらの意見を聞き入れなければならないのだと改めて考えさせられました。時代が大きく変わろうとする現代において、古めかしい古典を学んだところで、劇的な時代の変化に適応できるかと言うと非常に疑問が残る。と言う意見もありますが、シェイクスピア読んで未だに現代人が涙するように、10,000年前から大して人間の脳は進化してないと言う見方もあり、原理原則もしくは人間の営みの真理に基づいて、古来から長年引き継がれてきた古典の教えには、やはり学ぶべきところがたくさんあると思った次第。貞観政要、私としてはそのうち全文読破にチャレンジしたいと思いますが、まずは要約本でも一読されることを強くお勧めします。(笑)


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